社長の病死と、廃業までの記憶

こんにちは（＾＾

今日は、結婚前に勤めていた職場の社長が亡くなった時のことを、思い出しながら綴ります。１９９７～８年にかけての冬～春です。

私のことを採用してくれた、土地家屋調査士の社長とは、パソコンのオフ会で知り合っています。

タイミングよく呼ばれ、採用していただき２シーズン目。私にとっては、仕事も人生も、再び軌道に乗りだし、感謝していたころです。

１９９７年秋、社長自身は体調が思わしくなかったようで、社長の母校の大学病院で検査を受け、そのまま入院してしまいます。

しばらく経ち、職場の経理の方から教えてもらい、がんの末期（たしか大腸？）ということを知ります。職場のみんなも、順に知らされていたようでした。

どう受け止めて良いのか、ショックでした...。

その後は、職場の雰囲気が、しんみりした感じだったことを覚えています。

経理の方と測量部長は、社長と奥様、お付き合いのある会社や、調査士連盟と連絡を取り、今後のかじ取りを始めていたのかな...と思います。これまでに見かけたことのない方々が、時折、会社に訪ねて来て、話し合われていました。

私自身は、抱えていた自分の担当する仕事を、ほぼ終了していた、冬。一度だけ、社長の病室に呼ばれています。そこで初めて、社長の奥様にお会いしています。

前より痩せて、少し小さく感じた社長でしたが、まだ指示を出せるぞ...という雰囲気と、いつもの「ニヤッ」としたスマイル、か弱くですが、見られました。

奥様にも手伝っていただきながらノートパソコンを開き、私には、これまでのデータをまとめて、移行しておく指示を出した...と記憶しています。「わかりました、大丈夫ですよ。」と応えて、社長は「頼むね...」と仰られ、ホッとしたような笑顔を見せました。

そのまま、ゆっくりと横になる様子を見守って、そっと病室を後にします。この時が、社長と今生でのお別れになりました。

年が明けた１９９８年、真冬。社長が亡くなったと、連絡を受けます。

お通夜とお葬式、告別式は、奥様と葬儀社により営まれました。私は、夫になる彼と一緒に参列させていただきました。彼も数回、PCネットワーク構築の関係で事務所に出入りし、顔見知りでした。オフ会で知り合っていた方々も、改まった面持ちで、参列された方もいらっしゃいました。

私自身、どんな風に、どんな気持ちで過ごしていたのか...。目の前のことを１つ１つ丁寧に確認することで、いっぱいだった記憶で、詳細はあまり覚えていません。ですが、経理の方に「お給料は支払えるから、最後まで居てもらえると、本当に助かる」的な言葉を受けて、毎日、職場に出向き、電話番や事務所の残務整理などを、次々と手伝っていたことは覚えています。

職場には、私がこの年に結婚することは、以前から伝えてありました。そのため、次の仕事の手配を急ぐ必要がないことも、お互いに確認してありました。

別日に行われた、４９日の繰り上げ法要の時には、社長の奥様が社員全員を、ご自宅に招いてくださいました。そこで伺った、家庭での社長のエピソードは、とても愛嬌があって、ほほえましいものでした。

大学院生の１人娘さんが、いらっしゃることも知ります。奥様は、優しそうでいて芯のある雰囲気。この半年の急激な変化に、相当お疲れの様子でしたが、もうすぐ社会人になる娘さんと２人だから、たぶん大丈夫...と感じました。

２～３月中、職場の方々の大半は、取引のあった他の職場へ、無事に移っていきました。

私は、３月末の廃業手続き完了まで、この職場に籍を置きます。いろんな業者の人が出入りして、業務が引き継がれ、物品が減っていきました。経理事務の方が、本当に最後の最後まで、残務整理している様子を、間近で拝見しました。

経理の大先輩は「まさか、こんな手続きをすることになるなんて、思いもしなかった...」「初めての事だから、わからないことが多くて...」と、色々と言葉と涙、気持ちやエピソードが出てきます。私は、共感するのが精いっぱいで、ただ、雑務を手伝い、そばに居ることでサポート（？）している感じでした。最後には、空っぽになった事務所で、窓ガラスに貼っていた社名を、一緒に剥がした記憶です。

経理の方も、初春ころには廃業等の手続きに、ある程度めどが付いたようです。ご自身の次の職場も決まり「もう大丈夫、ありがとうね。これ提出したら、すぐに失業手当が支給されるから。困ったら個人的に電話してね。本当にお疲れさま！」と、私の役目も、終了しました。

社長の人生を、最後にそばで見させていただいた、今 振り返ってみても、何とも絶妙なタイミングで不思議な、巡り合わせ を強く感じる体験でした。

天国の社長に、感謝を込めて...

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