#20意外と知られていない、確定拠出年金のもうひとつのメリット

もっと会社を良くするための、確定拠出年金制度の有効な使い方とは!
中小企業経営者様にそのポイントを解説いたします!

今回は、確定拠出年金の数あるメリットのうち、意外と知られていない「掛金の金額変更」について解説します。

掛金は1年に1回変更できる

企業型の確定拠出年金では、社員が任意で追加できる掛金は2種類あります

1 マッチング拠出
2 選択制の掛金

どちらも、毎月積立で、金額は社員が自分で設定します。
以下で詳しく見ていきます。

1 マッチング拠出
会社の掛金(退職金部分)を超えない範囲から追加で積立できます。
会社の掛金と同額まで。

例えば、会社から毎月10,000円の積立をしてもらっている社員は、
10,000円の範囲で、年1回、掛金の変更ができます。
金額の単位は一般的に1,000円刻みが多く、500円刻みの企業もあります。

2 選択制の掛金
あらかじめ決められた選択部分の範囲から追加で積立できます。
企業によって掛金の範囲が異なります。

一般的には千円刻みが多く、中には5,000円刻みの企業もあります。
また、下限・上限も企業によって様々です。
下限3,000円~上限55,000円、下限5,000円~上限30,000円など、その企業によって異なります。
こちらも、マッチング同様、年1回変更ができます。

ちなみに個人型の確定拠出年金は、下限5,000円から千円刻みで積立できます。
こちらも同様に、年1回、金額の変更ができます。

保険で老後資金を積立している人

先日の記事で、老後資金の積立は保険商品を使っている人が多いと書きました。

保険商品で積立をしている場合、毎年毎年、金額を変更することは簡単ではありません。(アカウント型の保険は除く)

とくに、掛金を増やしたい場合よりも、減らしたい場合に注意が必要です。
ここでは、老後資金の積立によく使われている「積立型の終身保険」で考えてみます。

積立型の保険の掛金を減らしたい場合

例えば、月10,000円の掛金を5,000円に減らしたい人がいたとします。
いくつかの方法がありますが、誰にでもできる一般的な方法として「減額」があります。(契約の最低金額によりできない場合もあります)

掛金を10,000円→5,000円にしたいので、契約の半分を中途解約することになります。
すると、その時点での解約返戻金が半分戻ります。
これで、翌月から掛金は半分の5,000円になりますが、当然、将来受け取れる額も当初の予定の半分となります。

しかしここで問題なのは、減額した時点の解約返戻金は、そのタイミングによって元本を下回るところです。

もともと、積立型の終身保険の解約返戻金は、以下ようになっています。

解約返戻率イメージ2

解約した場合の、元本に対する返戻率が決められています。
返戻率は、早期であるほど低く、払込終了に近づくほど高くなっていきます。
しかし、返戻率が低いからといって、必ずしも、損失が大きいわけではありません。

解約返戻率と実際の損失額のちがい


仮に、月10,000円の掛金の人が経過年数3年で、半分減額したとします。
(計算には上記の解約返戻率のイメージを使います)

元本は10,000円✕12ヶ月✕3年=36万円
36万円✕2分の1=18万円 減額部分に対する元本
18万円✕46.7%=84,060円  減額による戻りは84,060円
18万円-84,060円=95,940円 ∴ 95,940円の損失

注)本来の減額時の計算方法はもっと複雑ですが、ざっくりとしたイメージと解釈ください

一方、月10,000円の掛金の人が、経過年数17年で、半分減額した場合は

元本は10,000円✕12ヶ月✕17年=204万円
204万円✕2分の1=102万円 減額部分に対する元本
102万円✕69.4%=707,880円  減額による戻りは707,880円
102万円-707,880円=312,120円 ∴ 312,120円の損失

減額は一部を途中で解約したことと同じ意味です。
返戻率は早期であるほど低く、払込終了に近づくほど高くなります。
しかし、実際の損失額の大小は、減額のタイミングにより異なります。
契約期間が長ければ、損が少なくなるとは限りません。
また、一旦減額すると、元に戻すことはできません。

他にも積立型保険の掛金を減らす方法としていくつかありますが、これはまた別の機会にお話します。

ライフプランから考える老後資金の積立

保険商品を使った積立では、毎年毎年、掛金を変更することは現実的には困難です。
その点、確定拠出年金は、毎年1回掛金を変更できます。
単純に、今年は10,000円だから年12万円、次の年は5,000円だから年6万円というように積み上がっていくだけです。
実際には毎年毎年、掛金を変更している人はあまりいませんが、何かあった時には、非常に便利です。

そもそも老後資金の積立は、何十年先のための貯金です。
その何十年のあいだの人生にはいろいろな事が起こります。
例えば、結婚・出産・子育て・介護など、家族の状態や働き方によって収入も支出も変化していくでしょう。
老後は先だからまだいいや。といって、準備が遅くなれば十分な資金が確保できなくなります。
なるべく早く取り掛かったほうがいいけど、途中で払えなくなるのも不安だという方も多くいます。
だからこそ、不安定なライフプランにも対応できるような、老後資金準備が必要です。

確定拠出年金の積立は、年1回、自由に金額を変更できるところが魅力のひとつではないでしょうか。

今回は、掛金の金額変更のしくみから、ライフプランに合った老後資金準備を考えてみました。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。

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