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2020/4/22 さらばジャカルタのインド

6月5日で今の部屋の契約が切れる。娘の進学先の都合で、本来ならあと少しで引っ越さなくてはいけない。引っ越し先はまだ探してもいないし、当然このタイミングでそんな大作業をしたくないので、エージェントの女性に月ごとの延長はできないか問い合わせた。

「オーナーがちょっとアレだから、聞いてもらえるかわかんないわよ。だったら仮に私の持ってる別の物件に移っておけば?」

どうアレなのかよくわからないが、さすがにそんな面倒なことはできない。

「この状況で長期で借りる人も購入する人もなかなかいないのが、わからないオーナーが多いのよ!こないだも短期で借りたいっていう韓国人がいたのに、それを蹴ったオーナーがいてね、バカよね~!日本人と韓国人はお部屋をとてもきれいに使ってくれるのに」

とかなんとか言いながらも、私のオーナーとはきちんと話をつけてくれて、無事3か月延長に合意してもらうことができた。9月に引っ越せる状態になっているとよいのだが……。

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ここは北ジャカルタの築20年以上の古いアパートメント。住んで4年になるが、そもそもここを選んだのは、友人家族が住んでいたから。私が仕事で留守がちなので、娘も仲良くしている一家が近くにいると心強いと思ったからだ。そしてそれは本当にその通りで、この4年間非常にお世話になった。

ここはインドネシアらしからぬ一風変わった集合住宅で、住人はインド人家庭が大半を占めている。いわばLittle India。敷地内にあるミニマーケットは「ボンベイマート」と呼ばれ、中に入るとインド料理のあらゆるスパイスが混ざった香りに包まれる。ヒンズー教の祭典であるディーパバリには各家庭で扉やベランダにつけた飾りつけがきらめき、おしゃれをした老若男女が爆音とともにテニスコートで踊りまくる。去る3月22日、モディ首相の「公共サービスに従事する人たちに拍手を送ろう!」という呼び掛けがあったときには、このアパートメントも拍手や声援に包まれた。
ちなみに、この街はグルメタウンとしても知られていて、おいしい店があちこちにある。華人も多く、豚料理にも事欠かない。同じ棟に住んでいるインド人のおばさんがやっているインド料理屋もとてもおいしい。

私は、ジャカルタでは古いアパートメントのほうがつくりがしっかりしているし、間取りにゆとりがあって好きだ。ここもまさにその通り。ただ、古い分ボロい部屋はあまりにもボロいし、オーナーの趣味が悪いと備え付けの家具が変なロココ調だったりする。友人に手伝ってもらってこの部屋を見つけたときは、私も娘も一発で気に入った。フローリングの床も珍しい。窓のある一角とソファーの感じから、「ブルックリンのアパートメント」と勝手に名付けた。OASISのアルバムカバーの部屋にもなんとなく似ている。

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(住んでいる間、壁に次女の成長の記録をつけていた。4年でこれだけ伸びた→右側部分)

次に引っ越す先も、だいぶ前に他の友人が住んで気に入っていた古いアパートメントを狙っている。条件に合う部屋が見つかればいいなと思うが、今から探して9月に引っ越しということを受け入れるオーナーは通常いないので、入居の1か月前くらいでないと探し始めることはできない。そこに住めば、開通間もないジャカルタ初の地下鉄(MRT)の駅が近く、私の通勤がだいぶ楽になる。

ここには愛着があるから離れるのは寂しいけどね……。

(トップ写真:アーティストのアワンさんによる、ジャカルタのバジャイという三輪タクシーをモチーフにした張り子の作品。マットレス、ガスボンベと飲料水の容器が括り付けられ、「引っ越し中」の設定になっている)

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