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いつかどこかで会うことができたら、たぶん泣いちゃう。

ほんとうに何度も辞めたくなった。「エキシビションをやります」だけしか知らない状態で、招待され参加したミーティング。蓋をあけてみたら、先方2名、主催側は私ただ一人。これが怒涛の日々のはじまりだった。

エキシビションでどんな展示が行われるのか、どんな作品や動画を販売するのかも知らないなかでお手伝いをする日々。分からないことばかりで、その事実をすぐにシェアすればよかったのだけど、一緒にプロジェクトを進める仲間がどんな人なのか、どんな空気感で進められているのかも分からず、やるべきことができないまま時間だけが過ぎ、厳しい言葉をいただいたこともあった

とにかく6月2日から昨日までの21日間は、朝から夜までパソコンにかじりついていた。寝ているときも休憩しているときも、いつ鳴るか分からないスマホに神経が休まらなかった。数分見ないうちに畳み掛けられるように重なるメッセージ。1時間あまりで完成させたチケットページとオンライン展覧会のページ。たった30分で5000文字を超える文章の校閲。気の遠くなるほど細かく地道な入力作業。毎朝受付リストを作成し、毎晩手書きの受付リストをデータにまとめなおし、売上を計算して金額に間違いがないか確かめて、何十通のお客さまの問い合わせに30分以内には返信した。

何度も辞めたいと思ったし、できることなら逃げ出したかったし、私なんかが手を挙げるべきじゃなかったとさえ思った。それでもなんとかすべてが具現化されたのは、「何かできそうなことがあったら言ってくださいね」と言って実際に手を動かしてくれた人たちがいたから。

毎日の購入者数をエクセルに入力したり、500名近くの人に個別にメッセージを送る仕事など、これだけ果てしない怒涛な地道な作業でも、ふたつ返事で「やりますよ〜!」と快く手を挙げてくれた人たちが5人もいた。

彼女たちの存在とかけてくれる言葉が、本当に支えだった。一人だったら到底できない量の仕事が目の前にあって、それがすさまじいスピードでできあがっていく光景が信じられなかった。ほんとうにありがとうの言葉では伝えられない思いがあって、このプロジェクトに参加した一番の財産は彼女たちとの出会いだったと思う。いつかどこかで会うことができたら、たぶん泣いちゃう。


そんな財産ができたのは、このエキシビションをやると決め、どこの馬の骨かも分からない私を信じてすべてを託してくれたある女性のおかげ。最大のピンチから予想もできない方法で救い出してくれたのも、これまでの人生で見たこともない熱狂を見せてくれたのも彼女だった。「ありがとう」「ナイス」その言葉が折れそうな心をまた前に向かせてくれた。

こんなご時世でエキシビションには600名以上の人が来場し熱狂して心動かされたメッセージが今も止まないのは、彼女にしかできないことだと心底思う。

最後の打ち上げではテレビ電話をつないでくれて、現場での役割を担ってくれたスタッフたちの歓声と笑顔が画面越しに一点に向かってぐわっと届いたとき感極まった。「やってよかった」と思えた。ずっとパソコンを前に必死にくらいついてきたけど、現場では彼らがイベントを成功に導いてくれて、そんな彼らが自分をメンバーの一人として迎え入れてくれたようで、それが心の底から嬉しかった。


***


この21日間は怒涛のような日々だった。足がガクガク震えて顔面蒼白になった日もあった。だからこそやりとげたときは泣けるほど嬉しかった。

まだもう少しやることは残っているけど、今日からまた新たな日常がはじまっている。

安堵と安心感と、そしてどこか寂しく切ない気持ち。

この熱量と喜びを、またどこかで活かせる日がくるだろうか。忘れずに持ち続けられたら、自分の持ち場で関わってくれる人に手渡せたら、最高だなと思う。それがずっと背中で導いてくれた彼女への恩返しになったらいいな。






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