実はサルも登れるらしい
庭の百日紅の花。
夏だ。夏がやってきた!
階下に祖母が住むアパートの2階に暮していて
その庭は祖母のもの。私のものじゃない。
でも、ベランダから見下ろせばそこにはピンクの花が咲き誇っていて
今年もこの季節がやってきましたか、と毎年感じさせてくれる。
百日紅は、サルもすべると言われるくらい気の幹がツルツルだ。
故に、本来は木登り向きではない。はず。
でも、子どもの頃よく百日紅を登ってた。
亡くなった父の墓があった霊園にお参りに行くたび
大人たちの歓談タイムを待っている間の暇つぶし。
強いて言えば登れそうな木が
墓地の脇には百日紅くらいしかなかったからだ。
運動という運動が苦手な私でも
サルでも落ちるという木を一応登れているじゃないか
という小さな誇らしい征服感と
父の墓参りゆえの少し淋しい気持ちと
小学生の私の胸中にあったいろいろな感情を思い出す。
その頃は、どんな花が咲くかなんて考えたこともなかったの。
今は、このピンクに毎年元気をもらってる。
(Tokyo, JAPAN)
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