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本を買う行為をもっと楽しくするために始めたこと
amazonで本を買うことを辞めました。
正確に言うと、Kindle本はamazonで買いますが、紙の本は街の小さな書店で買う新たな試みをはじめました。
以前から、本を買う行為をもっと楽しくできないかなと考えていて。
というのも、野菜を農家さんから直接買う機会があるんですけど、買うときのやりとりも楽しいし、食べるときも顔が浮かぶから、美味しく幸せなごはんの時間を過ごせるんですね。
だから、本も売ってくれる人の顔を直接見て買いたいと思うようになったのです。
そして実現しました。ある街の小さな書店との出会いがきっかけでした。
今日は、その出会いについて書いていこうと思います。
売ってくれる人とのやりとりを楽しみたいと思ったら、小さな個人経営のお店がいいと考えました。
でも、チェーン店とは違い、どんなお店があるのか、どこにあるのか、全く知りません。
なので、グーグルマップで「本屋」と検索することからはじめました。
検索結果を、ひとつひとつ見ていきます。
チェーン店が多いなか、これは個人経営だろうなという名前の書店を見つけました。
レビューも2件のみ。ストリートビューで見たお店の外観も、まさに昭和の本屋という佇まいです。
実際に訪れてみると、本屋の外には、昔ながらの鉄の本棚に雑誌が並べられて外気に触れています。
入ると、レジに座っていたのはおじいちゃん。
私たちの訪問にびっくりした様子でした。
店内は12〜15畳くらいでしょうか。壁ぎわの本棚と、その間に棚が2列あるのみです。
結構過激な大人向けの本も、1コーナー分、棚に並べられていました。コンビニでは販売停止になっているはずなので、「これはちょっとな…」と思いつつも、確実にあった時代を感じます。
思った通り、欲しかった本は置いてなかったので、取り寄せをお願いすることに。
「一冊だけ取り寄せをお願いして、逆に負担にならないだろうか?」
「そもそも取り寄せとかしてるのだろうか」と、あれこれ迷いが押し寄せるのはいつものこと。
でも、エイヤッと声を掛けます。
「あの、取り寄せってお願いできますか?」
「できますよ」
できたーーー!!
すんなりと穏やかに答えてくれました。
「タイトルと出版社を教えて」
「あ、ここに書いてもらおうかな」
眼鏡を下にずらしたおじいちゃんから手渡されたのは、自家製のメモ帳です。ちょうどいい大きさに切られた100枚くらいの紙が、クリップで束ねられています。
スマホでamazonのページを見ながら、タイトルと出版社を書き込みます。
「ISBNも書きますか?」
「それが分かってたらはやいね」
「ISBN-10と13あるんですけど、どっちを書きます?」
「知らん」
(笑)
「一冊につき、ひとつのはずだよ」
「あ、末尾の番号は一緒でした」
「そうでしょ」
いつもの5倍くらい大きな文字で書き終えたメモ帳を渡すと、おじいちゃんはそばにあった冊子を取り出し開きました。
どうやら出版社が、あいうえお順に並んでいるようです。本の出版社を一緒に探します。
「あ、これじゃないですか?」
「そうだそうだ。お店には置いてないと思うから、WEBで取り寄せてあげるからね。届いたら電話します」
「代金はそのときでいいですか?」
「うん」
「じゃ、お願いしまーす」
そうして店をあとにしました。
帰りの車中、なんだかおかしくなって笑いが止まりませんでした。
だって、スマホでamazonのページを見ながら本の情報をメモ用紙に書き込みましたが、そのままスマホで「購入する」をタップすれば、翌日か翌々日には紙の本が届くわけです。
でも小さな書店で買うには、スマホでamazonのページを見ながら本の情報を書き込み、おじいちゃんがその情報をWEBかなんかで打ち込み、本が書店に届き、おじいちゃんが私に届いたことを電話して、私が本屋に車で出向き、やっと本が手に入るのです。
なんだこの工程の多さは!!
そして「購入する」をタップすればすぐ買えるのに、押さずにこの工程を踏むなんて!!!
自分がめちゃくちゃ滑稽にうつって、一連のやりとりを夫に報告しながら笑けていました。
でもね、楽しかったんです。
非日常感。
「昔はこうやって本を買ってたんだな」と祖父母や親、そして子どものころの自分に思いを馳せたり。
そして買った本を読むたびに、おじいちゃんとのやりとりを思い出すでしょう。
小さな書店の閉店が増えているなか、本当に僅かでしかないけれど、財布から出すお金がおじいちゃんの手に渡ると思うと、納得感とあたたかみを感じます。
amazonで本を買わなくなるわけではありません。
急いで買いたいときはもちろんお世話になるし、本を置くスペースがいらない電子本は、転勤族にとっては本当にありがたい発明です。
それと同時に、小さな書店で顔を見合わせて買うことも、日々に取り入れていきたい。
買った本を、書店まで取りに行くのが楽しみです。
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