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【往復書簡/7通目】門出を祝って、乾杯!


みやうへ

もう10月も終わりに近づいて、今年も残すところ後2か月ちょっと。来月には、関西に引っ越しするみやうとしては、忙しい毎日を過ごしていることでしょうね。私たちくらいの年齢になってからの引っ越しは、これまでの暮らしとの別れの、身体的、精神的しんどさも多少伴うものなのかな。例えそうだとしても、これから始まる新しい生活への希望が、きっとそれを上回っていることだろうと想像します。ワクワクするね。

さて、「トマトと万願寺唐辛子のソテー」ごちそうさまでした。
万願寺唐辛子は大好きなのだけど、京風に、じゃこと煮ることしかしなかったので、トマトと合わせるのは実は意外でした。考えてみたら、ピーマンの仲間だから合うのは当然なのに、和風じゃないと、て考えていたのは思い込みだね。タイトルにあるように、夏野菜が終わる頃の名残りの味、「うんうん、わかる」って頷きながら読んで味わいました。ピチピチはじけんばかりの盛りの味と違って、最後の栄養をふり絞って出したような、凝縮した味なのかな。自家採種して栽培しているその農園の味は、どんなだろう。トマトの旨味と、万願寺唐辛子のちょっとした苦味が、どんな風に交わっているんだろう。色々と想像します。

スープ・ポタジェの夏の名残りと言えば、モロッコインゲンでしょうか。このインゲンは、生だと少し紫がかった色をしているのが特徴で、茹でるときれいな緑色になり、実が柔らかくて、美味しいの。ご近所で長年家庭菜園をしている宮田さんに種をいただいてから、毎年育てています。まず、6月末に数百個の実をつけて、その後いったん枯れ、今再び芽が伸びて、二度目の実をつけています。秋の収穫量は、夏の10分の1ほどしかなく、とてもわずか。そのわずかなモロッコインゲンを、先日収穫してきて、一回目の収穫と同じ時期に採れた、ジャガイモと一緒にソテーにしました。それぞれサッと茹でた後、ひと口大に切って、ニンニクとオリーブオイルで炒めたもの。とてもシンプルながら、この鉄板な組み合わせが大好きで。黒胡椒の塩水漬けのみじん切りを、隠し味に使ったのがポイントです。
この日は、近所の美味しいお肉屋さんでゲットしたランプ肉のつけ合わせにしました。お肉もオリーブオイルと塩胡椒で味つけしただけで、肉本来の美味しさだけで十分味わえる一品です。これは、新しい生活が始まる、みやうのための祝福の食卓。夫が選んだ、アルゼンチンワインのマルヴェックで、乾杯!

今度我が家に来てくれた時には、11月頭に完成する新しいキッチンの、カウンター席に座って、ワインでも飲みながら料理ができるのを待っててね。
それでは、どうぞ召し上がれ。

「モロッコインゲンとジャガイモのソテー」

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五十嵐 洋子