風景2 素描(2021.4.8)

音楽を聴いて
電車が走る

一定のリズムと重なり合い
生起する朝の町並み

豊かな反復は
ここそこの電柱を
大きくしたり小さくしたり

小さくも確実なビートは
すべて細長く
弾みを用いながら絶えず通底する
重低音のスジは
鈍くかがやき
あちこちの建物をつくりだしていく

そうした反復の
確かな同一性は
小さくも目には見えない
もつれや余力が働いており
変化はここよりほとばしる

人がビートを刻み
低い地鳴りを止めないのは
こうした根っこからの欲望があるからだ
それは恐怖としても映る

意味のない音楽の連なりはそれぞれは
互いにかけ離れていて
寄り合うものとしては
生まれてきてはいないが
建物と電柱がそうであるかのように
それぞれが身体でまぐわい
呼び寄せ合うことで
ここに一つの厚みがつくられ
全く個別の本性たちは
関わりを始めようとする
ひとつの意味はここに始まる

今まさに
遠近の町々はかがやこうとしていて。

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