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将門(まさかど)の最後(その3 全4回)

「これは、この中に本物はいないかもしれぬ」
秀郷が考え込んでいると次から次へとそっくりな将門がつれてこられてきたんだ。
全部で8人の将門になってしまった。
「将門よ。おまえは大した者よ。こうして命をおしまずおまえのために死のうという家来がいてくれるのだからな」
秀郷はぼそりと言ったよ。
そこへ、家来が娘をつかまえてきた。
「この女が本物の将門を知っているに違いありません。将門の侍女じじょのようでございます」
色の白いきれいな女の人だったんだ。
「名は、なんという」
秀郷は聞いたよ。
「ききょうにございます」
小猫がなくように小さな声で言ったよ。
「この中に本物の将門がいるな。それはどの者じゃ」
「・・・」
娘はきゅっと口をつぐんで下を向いていたよ。何度か聞かれたけど黙っている。
「ええい、言わぬか」
娘の肩に棒が振り下ろされたよ。それでも何も言わなかったんだ。
「将門は敗けたのだ。本物が分からぬではここの8人の首をねるとする」
これを聞くと、ききょうの顔色が変わった。秀郷はこれを見て、この8人の中にたしかに本物がいると確信したんだ。

今日はここまで、読んでくれてありがとう!いよいよ明日は最終回!お休み、ポン!

#日本史 #平安時代 #平将門

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