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おねさんとよどぎみ(その2 全2回)

「クロユリなんて珍しくもありませんのよ。ほほほ。ほれ、折って持ってゆきなされ、
そこのもどうぞ、お土産にしたらよろしいわ。ほほほ」
これを見ていたおねさんは恥ずかしさと悔しさで顔が真っ赤になっていたよ。クロユリは珍しい物とみなに自慢していたばっかりだったからね。
実はね、よどぎみは佐々成政がおねさんにクロユリを献上けんじょうするようだという話を聞きつけていたんだ。きっとおねさんのことだからクロユリを見せびらかすお茶会をするでしょって思っていたんだね。その時、はじをかかせてやろうっと思ったんだね。そこで、前もってこっそり使いを出して立山までクロユリをたくさん取らせにいかせていたんだ。よどぎみは悔しがるおねさんをチラリ、チラリ見ながらいい気分でいたんだね。
「あら、ほほほ、おねどの、クロユリどうぞお持ちくだされや。クロユリお好きなんでしょ?ほほほ」
二人の間には火花が散っていたよ。
「キリキリキー、佐々成政が、大名の身分に復帰できるように、殿にお願いした後の御礼がこれだとは。キリキリキー、恥ずかしゅうて、恥ずかしゅうていてもたってもいられないわ、キーキー。よどぎみにいいように恥をかかされてしまったわ、キリキリキー」
なんとも、おねさんもよどぎみもこんなことして意地悪をしあっていたんだね。やきもちを焼くと意地悪をしたくなっちゃう。
この後、佐々成正は肥後の国の大名となっていったんだけれど、うまく治めることができなかったんだ。村人たちとの争いが始まってしまったんだよ。おねさんもよどぎみも秀吉のお殿様にはなんのとりなしもしてくれなかったんだ。肥後の国は取り上げられてしまって切腹の命令がきちゃったんだ。戦国時代の武将たちはとってもたいへんだったね。

#日本史 #戦国時代 #豊臣秀吉 #佐々成政

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