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発達障害の白黒思考を人に説明してみる

発達障害の人の特徴とも言われる白黒思考。
しかし白黒思考は現時点だけを考えた単純な考え方であり、むしろあいまい思考のほうが高度な知能を必要とする。
発達障害はなぜあいまい思考ができないのか?
それはあいまい思考が未来視という特殊能力だからだ。

白黒思考とは

白か黒かで物事を判断し、曖昧な状況は認められない考え方の癖のことである。
・1か所でもうまくいかなかったら、すべてがダメだと思ってしまう
・他人を「いい人」と「悪い人」のどちらかだけで分けて考えてしまう
・ものごとを「勝ち」が「負け」かだけで評価してしまう
などなど、白と黒の間のグレーを理解できず、極端な思考に陥ってしまう癖のことを言う。
それで、発達障害にはこの白黒思考を持つ人が多いらしい。実際私もそうだ。
というよりもむしろ、あいまい思考ができる人のほうが特殊能力という感じがする。
なぜなら「あいまい思考」とは今は見えていないこと、潜在的な可能性を見通せる能力のことだからだ。

なぜ白黒思考になるのか

白黒思考の一例をあげよう。
数年前、twitterにうつ病を持っている友だちがいた。
「外で働けないし、両親以外と関わる機会もないから寂しい」と言って、よく音声配信をしては聴きに来る人とおしゃべりしていた。
聴く人もメンタル疾患を持つ人が多いため、何気ないような発言が本人にとってつらかったり、言われたくないことだったりして衝突することが少なくなかった。
「耐えられないからブロックする」
ほんの少しの行き違いで、数年かけて仲良くなった人と関係を断ってしまうことも多かった。

確かにストレスになる相手と無理して関わる必要はないし、SNSの仕組み上誰かと距離を置きたいとき使える機能がブロックという究極の白黒しかない、構造上の欠陥もある。
確かにその時点ではブロックすれば不快さから解放され、精神的な安寧を得ることはできる。
しかしただでさえ人数の少ないメンタル疾患+引きこもり+アラフォー+独身界隈、そんなに簡単に相手をブロックして切り捨てていっていいのだろうか?

ここであいまい思考、潜在的な可能性を見つける力が出てくる。
潜在的な可能性とは、今は違っても今後いい方向に変わっていく期待が持てる可能性のことだ。
確かに相手は完璧な人間じゃない。
いわゆる「ふつう」の人とも違う。
やけに思い込みが激しかったり他責的だったり、へんなところもある。
ネットで相談すれば「そんな人縁切っちゃいなよ」「その人おかしいよ」と言われる。
でも、言っちゃなんだが自分も同じ穴の狢だ。
あいまい思考のできる人は、これまでの相手との関わりや今後軌道修正すればうまく付き合っていけるかなど、あらゆる可能性を考慮に入れた上でブロックするかしないかを決めることができる。
現時点だけ(点)ではなく未来の方向性(ベクトル)で物事を見るのだ。
また、今相手をブロックしたら今後わかりあえる相手がいなくなることを想像できるのもあいまい思考の特徴だ。

あいまい思考(未来視)が難しい理由

さて、今後のことを考えてどうするか決めるのはとても大切だが、これがなかなか難しい。
人が今後どうなっていくかの予測なんてつきづらいし、信じて歩み寄った相手に今後ますます増長される可能性もないとは言えない一種のバクチだ。
この「あいまい思考」、言い換えれば未来を予測する能力はかなり高度な能力だ。
あいまい思考が出来ない人は、賃貸の物件や保険の見積もりのようにものごとを考える特徴がある。
駅から徒歩○分、築○○年、広さ○○などなど、現時点の、目に見えている条件だけで決めるのだ。
賃貸の物件は築年数はかさんでいっても今後良くなっていく可能性は基本的にないので、今後条件が変わることを考える必要はない。
しかし人との相性にはここで列挙されてるような徒歩○分、築○年などの要素(因子)がないので、どの因子が重要か自分で考えなくてはならないのだ。
そしてその因子を自分で考えるとなると、ほとんどの人は充分な因子を集めることが出来ない。
その結果ごくごくわずかな、限られた情報だけで人生の選択をしなくてはならなくなる。

白黒思考で選択を誤る理由

あいまい思考、つまり未来視ができない人は目に見える条件でものを考える。
しかし人というのは潜在的な部分が大きいし、目に見えるものはその人の氷山の一角だ。
だから「現時点での」条件をいくら連ねても充分な判断材料にはなってくれないことが多いのだ。
あいまい思考は高度な能力だが、訓練すればある程度使えるようになる。
もちろん見誤ることもあるが、条件でものごとを考えるのと、未来を考えて考えるのと両方が使いこなせるようになれば、今より幅広い人生の選択ができるだろう。

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