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100%のありがとう、でも、やっぱり足りてない気がする

うまく受け取って、うまく返せる人になりたい。


学生の時、とある市のイベントに参加した。
友人達と色々作って売って運んでを一日中。

お昼になって、友達が会場で売られていたうどんの券を買ってきてくれた。

しかし、私は魚介アレルギーがあるから、うどんの出汁や、かまぼこ等の有無を確認しないといけない。

……食べられない可能性の方が高い。
しまった、先に言っておけばよかった。

でも、せっかく買ってくれたから、お金を出して、食べられないものなら家族(手伝いに来てる)に譲ろう。

そう思って、券を売っているおばちゃんに、何の出汁か聞いてみた。

「あらっアレルギーなん! そうか〜。ここじゃわからんから、一緒に行こか!」

そのうどんは、イベント関係者が飲食する休憩室で作ってるらしい。
食べられなくても、友達とそこでお喋りするつもりだった。

長机がいっぱいある、広い部屋。
お昼を摂る人達と、カセットコンロ上の大きな鍋でうどんを作る人達に分かれていた。

こっちこっち、と手招きされる。

料理の原材料を聞いて、厨房前まで案内されることはまれにあったが
(※アレルギーによっては調理中の蒸気も危険なので、ホントはしない方がいい)
お鍋の前まで来たのは初めてでちょっと笑った。

「この子、魚アレルギーなんやて。何入ってるか教えたって!」
「へえ、おつゆはこれ(ボトル)やねんけど、どうかなぁ」
「原材料読んでみますね。えーと……あぁ、魚入ってました(汗)」
「あかんかったか〜!!」

ほんなら券出して! と、おばちゃんが券販売のところまで走ってくれて、お金を返してくれた。早い。止める間もない。

私と、うどん券を買ってくれた友達と、おばちゃん達とで、ありがとう〜ごめんな〜ありがとう〜と言いあって。

(話を聞いていたらしい)休憩中のおっちゃんが、
「お昼無いんやったらこれ食べ!」
と、コンビニのおにぎりをくれた。
いっぱいこおた(買った)から。魚あかんのやったら、梅と昆布やったらいけるんちゃうかと。

知らない人達とのこういう交流は久しぶりで、嬉しさと、どうこたえるのが正解なのか戸惑う。

すごく嬉しいが、すぐには受け取れない。
実は梅とか昆布でも魚介が入ってる商品があって……と説明して、原材料を見せてもらう。

「あぁ!梅いけました!食べられます!」
「おお良かった!はよ食べ〜!」

お昼を摂るにはちょっと遅めな時間だから、めちゃくちゃ空腹な子と思われてる。

ほんまにええんですか〜?!と言いつつ、ちゃっかり2個いただく。
これでよかった、のか……? うまい甘え方がわからない……。

お金は受け取ってもらえなかったから、「美味しい」を連呼した。
実際めっちゃ美味しい。お米も梅も大好き。

そこから、部屋にいたみなさんがアレルギーに興味を持ってくださって、色々お話をして、とても楽しい時間だった。

アレルギーの話をする時、自分にも相手にもプラスになるような内容にしようと気をつけているが、どうだったろう。

戻る時もお礼を言ったと思うけど、もう記憶があやふやになってる。ほんの数年前なのに。


 ***

あの時の私!ちゃんと伝えた?!
と思うことがよくある。

何か食べに行くときに合わせてくれる家族、友達。
学校の先生や栄養士さん、宿泊学習の旅行会社さんやコックさんにも、とてもお世話になった。

もちろん、アレルギーのこと以外でも、人にやさしくしてもらったなと思うことは沢山ある。

誰かに親切にされると、その時の自分が思いつく限り、いっぱいお礼をしたつもりだけど、何かこう、やりきれてる気がしない。

嬉しかったな〜と思い出すたびに、もっと何か出来たんじゃない? と焦る。

ちゃんと目見て! もっと笑顔で! 口下手やのはわかるけど、頑張って話して!

過去の自分にアレコレ言えたらいいのに。

でも、そんなレクチャーをする私にもまた、未来の私がやって来て「ちゃう!もっと!こう!」と下手くそな指導をするに違いない。

結局、その場その場で思いつく精一杯をやるしかないのか……。

くよくよ考えるより、自分が似たような場面で何ができるかを探して、その時にちゃんとできる自分になるのが良いんだろう。

具体的に何なのかとか、ちゃんとどうするのかとか、なんにも浮かんでないけども。

人生で、何回も思い返すくらい嬉しかった好意には、改めてお礼を言いたいなと思う。


あの時のおばちゃんおっちゃん達には、ひたすらパワーを送っておく。

地元民でもなんでもない知らん学生に優しくしてくださって、ありがとうございます!
みなさん、おいしいもん楽しく食べてはったらええなぁ。


 ーーーーー

以下、念のため書いておきます。

私の場合は、自分で対応できる年齢だったので問題ありませんが、

小さいお子さんに何か食べ物をあげる時は、必ずその子のアレルギーを把握している人に確認をとってください。


このご時世で人に何かあげることなんて、あまり無いかもしれないけど……
子どもには何も渡さないでくれって人もいるだろうけど…… 

(身内や知らない人に渡された食べ物でアナフィラキシー起こすアレルギーっ子多すぎるので!最悪死ぬので!!怖すぎるので!!!)

いただいて嬉しかった経験があるからこそ、受け取れない時もある、受け取れない人もいることをお伝えしていきたい。

ひとからの好意をうまく受け取って、感謝の意をうまく返せるひとになりたい。

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