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Vol.3 映画を作るという覚悟

Vol.3 初監督作品 映画「雨とひかり」ができるまで

映画「雨とひかり」をつくってきた僕の環境は

①普段は映像の制作会社に勤務(ディレクター)
②映画の準備は監督である僕が基本ほとんどやる
③スポンサーはいない(お金は自ら用意)

です。
それがどんなことか。
僕がこの初監督映画制作を振り返った時に思うのが


今までで一番幸せな時間を過ごしたと思う

今までで一番苦しかった時間を過ごしたと思う


です。(2020年5月29日時点の気持ちです。笑)
それぐらい、濃密な時間を過ごしました。

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①普段は映像の制作会社に勤務(ディレクター)

スクリーンショット 2020-05-29 4.23.18

大切な場所 bird and insect!!!

僕は
bird and insectという写真と映像の制作会社のメンバーです。
そこでディレクターを務めています。

映画の準備は、もちろん僕が動かないとほとんどのことは進みません。
そしてもちろん、制作会社の業務は通常通りあります。
幸せなことに、bird and insectで忙しくさせてもらっており、朝から晩まで業務はあります。その合間に、映画の脚本や準備を進めていくのです。
本業のディレクターの業務を、「映画の準備があるから滞る」というのは絶対にやってはいけないというのが僕のモットーです。

なぜなら、クライアントさん(お客様)が関わっているから。
クライアントさんが求めることに対して、制作会社のディレクターとして、100%の力で応える事が使命です。
「映画の準備があるから少し遅れます」なんて、そんなことは絶対にやってはならない。もしクライアントさんや仲間に本業の制作で迷惑をかけるのであれば、映画はつくらない方がいいです。
「俺は大作の映画を撮ってるんだ」なんて、本業には一切関係ありません。


そしてもう一つ、映画をつくっていることで本業が怠ってしまい、「映画なんてやってる場合じゃないでしょ」というのは絶対に言われたくなかったから。映画に関わってない人からすれば、言いたくなるのもわかります。
でも、それを言われるのは絶対に嫌でした。
それは、自分の大切な作品を「映画なんて」って言われるのも嫌だし、自分の行動のせいで、「映画なんて」っていう言葉が生まれるのも、絶対に嫌だったからです。


業務が終わってから脚本や映画の準備を進めていきました。
映画の準備に、どうしても昼間ではないと行えない事があるなら、その分、夜、深夜、早朝に、本業の時間を取り戻しました。

当たり前かもしれませんが、これまで、映画のことを考えない日は一切ありません。そしてこれからも
本業や映画制作、この二つのに対して「きちんとした」情熱があり、好きだからこそ、続けていけたと思っています。
とはいえ、完璧に全てを気持ち良く進めていけたわけではありません。
本業でいっぱいいっぱいになってしまう時は、映画制作が思うようにいかなくてフラストレーションが溜まったり、映画制作の準備が滞ってしまうことも多々もありました。

結果的に、原因は様々ありますが、1回目の撮影スケジュールで撮り終える事ができず、プロデューサーやキャスト事務所の方、スタッフ、多くの方にご迷惑をかけたと思っています。
いや、思ってます。じゃなくて、確実にご迷惑をかけました。

(ここら辺の具体的な苦悩やお話は、無事映画が完成したら書きます!)

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②映画の準備は監督である僕が基本ほとんどやる


スクリーンショット 2020-05-29 4.20.54


前のブログで書きましたが、脚本はもちろん、キャストさんオファー(メインスタッフ、サブキャスト)ロケ地のロケハン・申請・決定、スタッフコーディネート、衣装手配ピック、機材ピック、香盤表、運転、クラウドファンディング関係、など、できるかぎりのことを自分でやりました。
(プロデューサーと二人三脚)

これ、自分のミスが原因なんですが、撮影中に会社から借りていた機材をどうしてもその日中に返さないといけなくて、撮影終わりに地元から会社の事務所がある東京に届けにいきました。

他のスタッフさんに頼むことなんてもちろんできません。
スタッフさんも、その日1日を必死に撮影してきたのです。
そもそも、自分が会社から借りた機材を、他の人にお願いするなんて、できない。。

そして東京に着き、機材を戻そうとすると、バッテリーがついていなかった・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

僕は地元にもう一回もどり、また東京へ行く、そして、地元に戻るという。。
これは本当に地獄だった・・・
帰りは本当に死んでいたかもしれない蛇行運転を何度かしました、、、。

助監督や制作のスタッフがいない現場では、こういうことは監督が動かないといけません。と思っています。
むしろ名が通っている監督でもないし、僕がつくりたい映画にみなさんを巻き込んでしまっているという気持ちが強い分、そういうことを思って撮影に臨みました。

ほぼ寝れないまま、次に日の撮影を迎えることもありました。

撮影期間が終了したら、スタッフさんを自ら運転して送る。
制服衣装を運送会社に持っていって送り返す。
レンタルした上履きは自分で雑巾で拭き、返す。
レンタカーを返しに行く。
機材も自分で運転して返す。
ギャラの振り込みは自分で振り込む。
etc

撮影をしみじみ振り返りながら、片付けをしていましたね。
返却するものがなくなっていくたびに、寂しいという(笑)そんな感じです。

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③スポンサーはいない
(制作資金は自己資金+クラウドファンディング )

スクリーンショット 2020-05-29 4.17.28


おそらく、映画をつくりたいと思ってもなかなか動けない人は、このお金関係が一番大きいのではないでしょうか。
優れた人や著名な方ならば、スポンサーや、お金の集め方をしっかりして映画をつくるのに対し、僕は制作当初、全て自己資金で用意をしました。
はい。お金持ちでもありません。貯金が潤沢にある人間でもありません。

そうなると

・家族・友人に借りる
・金融機関にお金を借りる
・クラウドファンディング をする

が必要になってきます。
オススメは家族・友人に借りることですが、何百万も貸してくれる人はそこまでいないと思うので、クラウドファンディング がオススメです。
金融機関にお金を借りることも、僕は全然悪いことじゃないと思っています。ただし、自分が月に稼いでいる金額、定期的に稼いでいる金額、それがいつまで続くのかをしっかり考えられない人は、絶対に借りないでください。

金融機関からの借金は、
計画性を持って借りられる人と、そうじゃない人。というのはもちろんですが、「どんな職場についても努力して働ける人」と「そうできない人」の二分化とも思っています。

今の仕事がクビになったらすぐにどこかで働ける?そういうことも、考えなければなりません。

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「僕はあまり低予算で素晴らしい作品を撮った!」っていう全然美徳じゃないのに、その事が称えられる表現が嫌いなので、制作費がどれぐらいかかったのかを言うつもりはありません。

追加撮影に関しては、クラウドファンディングを実施させていただき、
本当に有難いことに(感謝・・・では足りない・・・ありがとうございます!)目標金額を達成する事ができました。

ご支援いただいた皆様のお陰様でございます。
そして、この映画を魅力的に仕上げてくれた現場スタッフの皆様、
自主映画にも関わらず、素晴らしいWEBサイトを制作してくれたこと、
僕の想いが詰まったメインビジュアル・タイトルグラフィックを制作いただいたことが、クラウドファンディングの達成につながっています。

この経験から一つ思うのが、「自分がつくりたい理想の映画があって、でもお金がないから今は作れない」って言う人は、おそらく一生つくれないかと思っています。

タイミングを待っちゃいけないと思うんです。

自分が作ろうと思ったら、できない言い訳をつくらないで、つくるにはどうすればいいか考える。
だからこそ、その時の自分が思い描いた通りの映画が作れると思うし、説得力があるものを作れると思っています。

特に「お金」と「時間」の問題で「つくれない」って思っている人は、考え方を変えた方がいいかもしれません。

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今振り返ると、いろんな事がありました。笑

映画作りには、それなりの覚悟が必要です。
映像の中では
「体力」・「時間」・「お金」を一番使うジャンルじゃないかな。
とも思います。

特に自主映画は尚更です。
誰からも求められているわけではないものに、自分の時間やお金を膨大に使うことや、それにはじまり、監督業の他にも自分でやらなければいけない事が沢山ある事(これは僕のやり方が悪かったのもありますね:)

それが一年以上続くこと。などなど。

あくまでここに書いたことは、僕の例です。が、多くの自主制作映画でも同じようなことはあると思います。

この記事が、いつか映画をつくる誰かの参考や、反面教師になることができたら良いなと思います。

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これは自信があるのですが、日本で一番、アフタートークの内容に困らない日本映画になるんじゃないかと。笑

リアルタイムのその場でしかお話しできないアフタートークを、いつか皆さんの前でお話しできるよう精進します。

それでは、またよろしくお願いいたします。