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Vol.1 映画「雨とひかり」の脚本ができるまで①

Vol.1初監督作品 映画「雨とひかり」ができるまで

映画「雨とひかり」特報
https://youtu.be/aBcBWPkvBUQ

あらすじ

ーあの頃 自分のことも 他人のことも
わかっていることは ひとつもなかったー

天谷 一真、25歳。霞と結婚し、忙しい日々を過ごしていた。
ある雨の日の夜、一真の電話が鳴る。
「・・・私ね、出産するの」
電話の相手は高校時代の元恋人、雨宮 澪だった。
卒業以来一度も連絡をとっていない澪の唐突な言葉に混乱する一真。
わすれかけていた記憶が脳裏をかけめぐる。
あの頃、一真、澪、裕二、ゆかり、4人が、そこにいたことを ─ 。

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失礼を恐縮で言いますが、僕はシナリオスクールにも、映像の専門学校も、何一つ出ていません。全て独学。(学んでいるのだろうか・・・)

誤解なく言うと、「独学なのに、この映画の脚本が素晴らしく秀逸にできた」ということを言いたいわけではありません。

①は、映画「雨とひかり」の脚本を書くのにあたって、大きく取り組んだことの2つを書きます。

ーお金のことを気にして脚本を書くなー

実は、雨とひかりの脚本は、当初全く違うものでした。

タイトルも内容もです。

一つだけ、高校生の話ということだけは同じでした。
その脚本を書いていた当時も、そこまでお金に余裕がある人間ではありませんでした。
なので、最初はやはりお金のことを気にして書いていました。完全に。

ロケ地も、"このロケーションならあの人に借りられる"とか。
"父親役はあの知り合いの人で"というふうに。

それが仇となってか、シナリオスクールに通っていた方にアドバイスをもらったところ、「何が書きたいのか、何をこの映画で伝えたいのかが全く見えない」と言われました。

おっしゃる通り。。
最初から最後まで、お金のことや、自分がすぐ届く範囲の中だけで成立させる脚本を書いてしまったからです。。

そして、アドバイザーの方に「一旦お金のことを考えずに、書きたい事を書きましょう。お金のことはそこから考えて、どうにかしましょう。」とアドバイスをもらい、改めて、一から書き直すことにしました。

最初の脚本なんて学校内のシーンすら書いていませんでしたから。。笑
何度も言うようですが、お金がかかりすぎるからです。でもそれじゃあ自分の書きたいものは書けない。そういうことを学びました。

もちろん、SF超大作の脚本を、思い切りお金のことを考えずに書いても、スポンサーがいなかったら実現は難しいかもしれません。
ただ自分の書きたいように書いて、そこから現実的な演出方法を考えるというのは、脚本つくりにおいてはとても大切な考え方です。

また、書きたいことを書いて脚本を完成させると、どうにかしてお金をつくる方法を考えたり、周囲に協力をお願いしたりと、行動や思考の幅が全然違います。「お金かかるんだろうな・・・」って思っていたことが、いざしっかり調べるとそこまでではなかったりするなど、「ちゃんと調べる」動機にもなります。学校を借りる、道路使用許可をとる、とか大きなお金がかかる印象ですが、実はそんなこともなかったりするのです。

「実現力」ってやつでしょうか。そんな力がつきます。

そうして、映画「雨とひかり」の初稿が生まれました。

なので脚本に関しては、思いっきり自分の書きたいことを書きましょう。

その方が楽しいし、完成度も絶対高いです。
もしかしたら脚本のコンペに受かるかもしれない、もしかしたら誰かが評価してお金を集められるかもしれません。

【脚本の初稿と最終稿で変わったことをまとめました】
・メイン登場人物 1人 脇役0人 → メイン登場人物 5人 脇役 7人
・エキストラ なし → エキストラ30人へ
・ロケ地 家 / 家の外 / 道の3箇所
→学校 / 家 / 病院  / 予備校 / ガソリンスタンド  / 公園 / 外都会 / 外田舎など多岐にわたり変更

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ー伝えたいことを伝えるためにー

脚本完成まで、大きなところでいうと3回ほど書き直しています。

進めていく上で、一番大きな変更点は、冒頭と最後に大人時代を書き足したことです。

最初は青春時代だけのお話でした。

正式名称はわかりませんが、大人時代を冒頭と最後に入れる手法を「サンドウィッチ方法」と巷では呼ばれているそうです。
この「サンドウィッチ方法」で大成功した映画が「世界の中心で愛を叫ぶ」です。

冒頭と最後に(この作品は途中にも)大人時代の演出があり、大人と青春時代の感情が交差され、物語をさらに感動するものに仕上げています。

・青春時代の感情
・大人になり、青春時代を思う感情と、今生きている自分の感情

そして僕は「セカチュー」の小説も映画もどちらも見ているのですが、原作の小説は、実はあんなに大人時代をしっかり描いていません。
(最近の作品で言うと「きみの膵臓を食べたい」もそうですね。)

アドバイスをしてくれている方に、「雨とひかり」を書き上げて読んでもらった時に、青春時代の話だけだと「ただのお話」になってしまうかも。という感想でした。(「ただのお話」であることに、悪い意味はありません。)
そこで、「大人時代を入れる方法はどうか」とアドバイスをいただきました。

僕は監督としてこの映画を見てくれた人に、見た後に何かご自分の心の中に、もどかしさというか、心の痒さみたいなものが残せたらという思いがありました。

歩いている帰り道、ふと自然にあの頃を思い出してほしい。と。

そうするためには、見ている人と同じ立場の登場人物を描くことが必要でした。観客と一緒に、青春時代を振り返る登場人物が。

そういう経緯や目的があり、大人時代を書くことになりました。

僕は、世界観への没頭感は、小説の方が優位だと思っています。

それは読み手の頭の中で、自由に主人公の形や風景、世界観を作り上げることが出来るからです。想像性。

反対に映画は、想像というよりかは、目にそのまま入るビジュアル勝負の面が強いです。
台詞や演出ももちろん大切ですが、目に映る情報で、いかに鑑賞者の感情を動かせるかが大切です。

この「サンドウィッチ方法」は「世界の中心で愛を叫ぶ」のプロデューサーが考案したそうです。
監督から反対もあったのですが、この映画をどうしたら売れるものにするかを考えたときに、この方法を取り入れることを、強く押したそうなんです。

結果、大成功を収めたわけですね。

僕は「雨とひかり」を先人の方達にならって、完成させました。
つくる映画を、より良く伝えるために、様々な方法があるということですね。

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監督って、やはりプライドがあります。
特にオリジナルの脚本って、「人に色々と言われたくない」っていうのが正直なところだと思います。

だけど、他の人に意見を聞いて、取り入れるところは取り入れるというのも、とても大切なことです。
僕もその能力はまだまだですが、取り入れていける監督でありたいと思っています。

これ以外の細かい脚本の書き方は、ネットにすごく上がっているので調べてみてください。

最後に、僕が使わせていただいた脚本のテンプレートサイトを紹介します。
http://deerstudio.jp/inc/downloads/film-and-video/script-microsoft-word-template.html
ぜひ使ってみてください。


桜屋敷知直  1986年生まれ
bird and insect / Direcor (写真・映像の制作会社)
https://bird-and-insect.com/company/

映画「雨とひかり」公式サイト
http://ame-to-hikari.com/