ハングル普及への国家的な支援を概観する


語学の普及は、外交の一環だ。
一種のソフトパワーと言えよう。
言葉を学んでくれる外国人は、その国の頼れるファン、理解者となる。

日本では国際交流基金が受け持っている。最近私が書いた本の中で、日本語教育が手薄だと指摘した。その理由は、日本が日本語を植民地統治の道具にしようとした影響があると感じる。
国際交流基金の前身は国際文化振興会と呼ばれ、戦前に遡る。
詳しくはこの本を参照してほしい。


例えば、日本が戦争中支配したフィリピンには日系フィリピン人がまだたくさんいるが、地元の反日意識が強いため、最近まで日本語教育ができなかった。
国際交流基金が9月、初めての日系人向け日本語講座をフィリピンで始める

共同通信



その部分はあまり書けなかったが、要するに戦争を引きずっているということだろう。


韓国では、そんなしがらみはない。逆にハングルは朝鮮半島で創造されたということで、愛国心をかき立てるツールになっている。

普及事業を担当しているのは外務省に相当する外交部傘下にある韓国国際交流財団だ。 海外との文化的な交流事業、また海外の韓国文化研究の支援や、韓国文化関連書籍について、各国の出版社への支援などを行ってきている。

中でも、韓国学を学ぶ大学生に対しては手厚い援助を行っており、世界でみても約4万人が韓国学を学んでいるという。


2005年には、日本の文部科学省にあたる文化体育観光部所管の韓国文学翻訳院が生まれた。
韓国文学の他言語への翻訳出版支援が中心で、 漫画、 映画なども含めた翻訳家の養成、 文学者の交流支援なども行っている。前身の法人の時代から2019年までに38の言語の1714点の翻訳出版を支援している。

また海外32カ国(2018年)では、文化体育観光部系列の韓国文化院の活動が韓国文化普及の重要な根拠地となっている。東京の韓国文化院も活発な文化活動を行い、独自の図書館も備えている。

語学に焦点を絞った世宗学堂財団は54カ国(2015年時点)に世宗学堂を展開する。事業は韓国語教育、韓国文化教育を核としている。

韓国の公的機関がハングルや韓国語の海外での研究、普及には重要な役割を果たしている。

2014年10月、ソウルの龍山区、国立中央博物館の隣に国立ハングル博物館が開館した。

地下一階、地上三階で文化体育観光部の所属だ。ハングルに関わる様々な企画展や収集、研究、学術交流、広報などを行っている。日本語のホームページもあるのが素晴らしい。

日本の公益財団法人である日韓文化交流基金の貢献や、在日コリアンによる活動として、二〇ー二年から公益財団法人となっている韓昌祐・哲文化財団の支援事業、また、大学生、高校生への奨学・育英事業に携わる、公益財団法人・朝鮮奨学会の活動も文化普及に貢献している。

韓昌祐・哲文化財団の運営の一部に私も関係している。毎年寄付事業の応募を受け付けている。


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