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山崎与次兵衛アーカイブ:山本家狂言鑑賞記録

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これまでWebで公開してきた、大蔵流狂言師山本則俊師の舞台を中心とした山本家の狂言の鑑賞記録を、2023年11月に逝去された山本則俊師を偲びつつアーカイブ。
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ハゲマス会「第8回狂言の会」を観て

「柿山伏」山本東次郎・山本則俊 「那須」山本則俊 「木六駄」山本則俊・山本東次郎・山本則直・山本泰太郎 小舞「暁の明星」山本則直 小舞「蛸」山本東次郎 「六地蔵」山本則重・山本則秀・山本則孝・遠藤博義 麻生文化センターを会場とするハゲマス会主催の大蔵流山本家による狂言の会は、第7回を一昨年拝見している。 1月29日の第8回の番組にお誘いを受けて出かけた。番組は「柿山伏」、「那須」、「木六駄」、「六地蔵」に、小舞二曲と いう盛りだくさんなもの。 「柿山伏」は一見、物まねの演

喜多流職分会2004年10月自主公演

狂言「鎌腹」 シテ・山本則俊 アド・山本則秀 アド・遠藤博義 狂言「鎌腹」の充実感はとてつもない。山本則俊さんの狂言を拝見していると、自分がとてつもなく 貴重な舞台に接しているのだという思いを強く抱く。全体の構成、細部の仕上げ、どこをとっても 最高度に完成された芸術品なのだ。緩むことのない、見所にとっては心地良くさえある緊張感。 無駄なく、完璧に均整のとれたかたちとことば。(小道具の扱いさえ、疎かにならないのだ。) そして、その裡から溢れ出てくる諧謔味。山本家の狂言は、型の

シェイクスピアの舞台で山本家の狂言を観る(2005年明星大学「狂言の会」)

「鎌腹」山本則俊・山本則重・山本則直 「月見座頭」山本東次郎・山本則重 「武悪」山本東次郎・山本則直・山本則俊 明星大学の日野校舎にはシェイクスピアホールと名づけられた舞台がある。 天井こそ吹き抜けにはなっていないが、あのグローブ座を模したつくりのホールである。 そこで山本家の狂言を観賞する催しがあったので参加した。 番組は「鎌腹」「月見座頭」「武悪」。狂言の会ならではの重厚で変化に富んだ番組である。 山本則俊さんの「鎌腹」は実は昨年の秋、喜多流の自主公演の際に目黒の舞台

ハゲマス会「第20回狂言の会」を観て

「三番三」山本則俊・山本凛太郎・笛 松田弘之・小鼓 住駒充彦、森貴史、曽和伊喜夫・大鼓 佃良勝 「しびり」山本泰太郎・山本則孝 「唐相撲」山本則秀・山本則重・山本東次郎他・笛 松田弘之・小鼓 住駒充彦・大鼓 佃良勝 2019年1月20日(日)川崎市麻生文化センター 1年あけて2017年の第19回に引き続き「ハゲマス会」の公演を拝見した。今年もまた天気にも恵まれ、行き帰りとも徒歩で会場との間を行き来する。前回も書いたことだが、1年が経つのはあっという間でも正月の日々の歩みは遅

ハゲマス会「第7回狂言の会」を観て

「附子」 山本則重・山本則俊・山本則秀 小謡「お茶の水」山本則直・山本則俊 小舞「祐善」 山本則秀 ハゲマス会という名称で、狂言大蔵流山本家の山本則俊さんを中心とする会が開かれる というので拝見することにした。5月23日、場所は麻生区民ホール。仮設舞台での公演。 番組は附子、惣八、御田に、小謡・小舞と囃方による楽がつくというもの。 山本則俊さんは、藤戸のアイと水掛聟という今まで観た間狂言、本狂言それぞれ 最も印象に残っている舞台をつとめられていて、期待して出かけた。 狂言の