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教育・子育てデータ×シビックテック - ガッコムの取り組み in 2020

※この記事は「CivicTech & GovTech ストーリーズ Advent Calendar 2020」の12/09公開記事です。

皆さん、こんにちは。ガッコム&オープン川崎/Code for Kawasakiの山田です。

新型コロナウイルスの発生により、人類の歴史においても非常に大きなターニングポイントとなった2020年。教育・子育ての世界においても、学校が休校になり、オンライン授業が始まり、各種イベントの形式が変わり、子どもたちの居場所がなくなり……等々、様々な変化や影響がありました。

そんな2020年における、教育データ×ITのベンチャーであるガッコムの取り組みを振り返ってみたいと思います。

学校データ×シビックテック

2011年から運営している『学校教育情報サイト「ガッコム」』。

新型コロナウイルスの影響という意味では、3月からの学校の一斉休校に伴い、3~6月は例年に比べて15~30%近くPVが減少しました。皆さんの関心は例年よりも学校以外に向いていたようでして。

そのような状況下でしたが、ガッコムとしては主に以下の機能を追加。

・教科書採択に小学校英語を追加&副教科(音楽・道徳など)も対応
・校則・規定(いわゆる「ブラック校則」)に関する質問項目追加
・小学校⇔中学校の共通学区情報を追加
・学区地図で学校データを確認・比較できる機能の追加

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今年は特に学区に関する動きが活発だったかもしれません。私が足掛け3期携わってきた総務省&VLEDデータ運用検討分科会の成果として、今年9月に「小中学校通学区域情報」が推奨データセットへ追加されました。

また、VLEDのオープンデータ・ビッグデータに関する優れた取り組みの表彰いわゆる勝手表彰では、今年1月にガッコムがOKJP賞を受賞させていただきました。

弊社以外でも、Wikidataによる学校基礎情報の整備に関する活動や、学校ID統一に向けた動きなどもあり、来年以降も学校データに関して様々な変化が出てくることと思います。

安全データ×シビックテック

2016年から運営している『不審者・治安情報サービス「ガッコム安全ナビ」』。

新型コロナウイルスの影響という意味では、不審者や犯罪の手口や傾向に大きな変化が。不審者・犯罪においても「密」を避けるようになった、または「密」な状況を作ることが難しくなったようです。
※詳しくは以下の記事をご参照ください。

また、アーバンデータチャレンジでは、今年3月にガッコム安全ナビが銀賞を受賞させていただきました。

「子どもの安全」という面では、MS&ADインターリスク総研株式会社様と提携し、新サービス児童・生徒の「登下校時の安全確保支援」のサポートを同じく今年3月に開始。教職員に対する安全確保の研修において、安全ナビのデータをご利用いただきます。

他にも、都会に発生したイノシシ「アーバンイノシシ」に関して取材協力を受けたり、警察からの捜査協力依頼を受けたり、テレビ・ネット媒体等でサービスについて詳細にご紹介いただいたり等々、安全ナビの認知度の高まりを少しずつ実感しています。

来年でサービス開始から丸5年。「治安情報のインフラとして子どもに笑顔を」のミッション実現に向け、今後もサービス改善に努めて参りたいと思います。

こども食堂データ×シビックテック

とある方のご紹介で知り合った、『年越し派遣村』の”村長”としても知られる湯浅誠さん。理事長を務める「全国こども食堂支援センター・むすびえ」では、「すべての学区に子ども食堂を!」の実現に向けて活動なさっていました。

そんな活動に賛同させていただき、「学区ならお力になれます!」とお話しているうちに、あれよあれよと今年7月にβ版、9月に正式版をローンチすることとなった「ガッコム・むすびえ こども食堂マップ

コロナ禍においては、「フードパントリー」の取り組みも活発化したこども食堂。諸般の事情により、地図上でのピンポイント表示が難しいこども食堂の情報ですが、学区単位に地図上でこども食堂の数を色塗りして表示することで、自分の近所のこども食堂有無を知ることができます。エリア単位には提供されている地域もありますが、全国まとめてはこれまでなかったサービスです。

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β版の際のむすびえさんのプレスリリースの中でも、その想いが綴られていました。

今後は具体的なこども食堂情報にもアクセスできるようにしたり、広く居場所という意味で対象を広げたりと、こちらの活動も来年以降の発展が楽しみです。

放課後児童クラブ・児童館データ×シビックテック

待機児童というと、真っ先に思いつくのは保育園。しかし、昨今は未就学児だけでなく、小学生でも待機児童が発生しています。それが放課後児童クラブ、いわゆる学童保育です。小1の壁という言葉があるように、放課後児童クラブの登録児童数は年々増加し、待機児童も解消できていません。

コロナ禍においては、学校が休校となって居場所のなくなった児童たちの受け皿として、放課後児童クラブや児童館の役割がこれまで以上にクローズアップされました。

では、そんな放課後児童クラブや児童館のオープンデータ化はどうなっているか。まずそもそも公開されていない地域も多くあります。そして、公開されていても、そのフォーマットはExcel、CSV、PDF、HTMLなどまちまち。項目も地域によってバラバラです。

これでは全国統一サービスの提供は難しく、またエビデンスに基づく政策決定につながる研究も進みにくいです。

そこで、テーマを「健康・医療・介護・子育て」とした今年のオープンデータ官民ラウンドテーブルにて、ガッコムは放課後児童クラブと児童館のオープンデータ化を厚生労働省に要望しました。

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厚生労働省からは、

・推奨データセットへの追加
・各自治体へのオープンデータ化の促進依頼の通知

を対応するとご返答いただきました。放課後児童クラブと児童館のオープンデータ化に向け、まずは大きな一歩を踏み出せたのかなと思います。

オープンデータ化することで、弊社や各地のシビックテッカーなどの民間による学童情報提供サービス新規参入の促進、他データとの組合せによる価値ある新情報の創出、情報透明化に伴う保護者による学童選び最適化の促進
、施設毎の提供サービス差別化の促進と施設数過不足の最適化エビデンスに基づく放課後保育政策決定の促進などにつながることを期待しています。

さいごに

そんなこんなでコロナ禍の中を走り抜けてきた2020年……。いろいろなことに取り組んできましたし、いろいろな方に大変お世話にもなりました。

新型コロナウイルスがまだまだ収束しそうにない現状を鑑みると、来年以降も教育・子育てデータ界隈は大きな動きがありそうです。

「Open Data & Open Choice for Children」

このガッコムのビジョンを胸に、来年以降も我々は教育・子育てデータ×シビックテックの道を邁進して参りたいと思います。ひっそりと。

ということで皆さん、ちょっと早いですが、良いお年を!


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