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言葉の宝箱 1208【現世に生きるものはしばしば、己の過ちを見失ってしまう。歴史はそれを気付かせてくれる師でもある】

『明日香の皇子』内田康夫(角川文庫1986/6/10)

・繁栄は堕落を生み、やがて日本民族の滅亡に繋がるかもしれん P15

・< いったい、この国の人々は、何を考えているのだろう?―― >(略)自分もまたその一員であることを忘れ、
その感覚と良識を疑ったものである。
明日香はまだしも、開発の汚染が進んでいない。
いや、
そういう人種に言わせれば「遅れている」ことになるのかもしれない。
ともかくも、まだ、素朴な田園風景は残っていた。
しかし、押し寄せる観光客と時代の流れには抗しきれないのだろう。
資料館や休憩所、駐車場、遊歩道などの施設が整備されつつある。
高松塚古墳発見以前の明日香の姿は、もう見ることはできない P154

・国を愛することを思想に結びつけて考えなければならないなんて、
おかしいです。
その上、それを商売の道具にしようという企業があるのですから、
たまったものじゃありません P190

・科学的なデータや分析がいくら警鐘を鳴らしても、
人間の生の目で見たショックには及ばないということを証明する、
これは貴重な体験です。
現世に生きるものはしばしば、己の過ちを見失ってしまう。
歴史はそれを気付かせてくれる師でもあるわけですな P268


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