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言葉の宝箱 1147【日本の政治というのは、結局は無数の利益団体の欲望を調整するだけの機能にすぎないようである】

『街道をゆく 01』司馬遼太郎(朝日新聞社文庫1978/10/20)

『湖西のみち』『竹内街道』『甲州街道』『葛城みち』『長州路』

・この連載は、道を歩きながらひょっとして日本人の祖形のようなものが
嗅げるならばというかぼそい期待をもちながら歩いている P21

・現実を頭ごなしに否定してしまえば評論というものはじつに鋭利になる。現実を全面的に否定しながら、
否定する自己のみを肯定するわけだから P117

*土蜘蛛というのは穴居人のこと(略)
土窟を掘りて居み、ひとが来ればにわかに穴にかくれ、
ひとが去ればまたそとへ出て遊ぶ、
などといったぐあいにいかにも臆病そうである P174

・日本の政治というのは、
結局は無数の利益団体の欲望を調整するだけの機能にすぎない
ようである P178

・殺す側にとっては理由などはどうでもよろしい P183

・英雄というのは
矛盾にみちた複雑な性格の上に立った強い権力願望者をさすそうだ P189

*「北前船」といった、前というのは、男前、江戸前といったふうに、
意味のない接尾語とみていい P202

・健康な制度上の批判勢力と競争勢力をもたない体制の
――国家であれ、その他の集団であれ――
独裁者はすべてお伽の国の王さまなのである P213

・作家にとって知識は敵であるということだけは、
どうもそうらしいと思っている。
年をとって知識がふえればふえるほど、
物事に感動することがすくなくなるが、
それだけのぶんだけ創作力がなくなってゆく。
知識は、人間の不幸の一つとして
年齢とともにどう防ごうとも殖えてゆくものだ P219


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