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言葉の宝箱 1205【人間が本来の優しい心を取り戻すことができるのは、もはや、葬式や法事の場でしかあり得ないのではないかしら】

『倉敷殺人事件』内田康夫(光文社文庫1988/4/20)


・どんな不幸だって、死ぬことに較べれば、いくらかましなものなのだ。
そう考えると、大抵のことは許すことができる(略)
人間が本来の優しい心を取り戻すことができるのは、
もはや、葬式や法事の場でしかあり得ないのではないかしら P62

・事件は継続するドラマのわずかな断面図である。
新聞記事はその前後をほんの少し紹介する程度のスペースしかないから、
とうてい、ドラマ全体を描ききることはできっこない。
事件の根にあるドロドロした人間同士の葛藤や、愛憎、
喜怒哀楽といったものは、決して事件の直前に生まれたわけではない。
それらはずっと前から『事件』という破局にむかって
芽を出し、成長し続けていたのだ。
それが『事件』という悲劇の花を咲かせることになるなどとは、
誰も予想もしやしない P168

・頭のいいのにかぎっていろいろ考えすぎる。
あれやこれや画策したがるものなのですP218

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