愛しのRIVER SIDE

ジャズを生演奏で、ステージで歌いたい。

そう思っていたとき、初めて訪れたのがRIVERSIDE というジャズバーだった。
歌うにはピアノ、ドラム、コントラバス奏者用の楽譜を3枚用意とのこと。月に1回の企画で、他の日は外部の奏者によるライブが行われていた。
最初は聴くつもりでいたのだが、周りの誰かが楽譜本を渡してくれ「せっかくだから歌いなよ」という言葉に甘えて、サマータイムなどを歌った。ジャズバーでボーカルセッションを始めた通称・先生は実に落ち着いた方で、本にない楽曲の譜面を作ってくれもした。
諸々の事情で行けないこともあったが、生演奏で歌うと楽曲が背中を包むように支えてくれる。ステージに立つと、聴いてくれている人々に歌詞まで届けと思いながら、渾身の力で歌う。緊張で震えることも多々あった。
 そんなRIVERSIDE もコロナ禍による影響で4月をもって閉店することになった。
 とても悲しい。
 誕生日にセッションが被った日はケーキを出してくれ、友人が結婚するというので、お祝いの歌を録音して送ったこともある。
 ひとり歌って2曲、30人以上参加することもあった。
 ジャズが好き、歌うことが好き。
 仕事帰りの月末の平日に、多くの人が県外からも来た。北陸で唯一のボーカルセッションができる場所だからだ。
 バーのママにも感謝。
 優しくて楽しい空間は、非日常。

 いつか、また。

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