2・夫に憧れすぎていた

夫に憧れていた。
彼の見ている世界を見たいと思って結婚した。
しかしそれがやや行きすぎていた。
自分の性格上そうなりやすい。
0か100になってしまいがちなのだ。
いつだって夫以外の人がたっすく見えていた。夫が尊敬する人はとんでもなく素晴らしい方のようにうつった。私のものさしはすべて夫だったのだ。

造形が美しく、孤高で雰囲気があり、初恋はあめご(渓流魚)だと本気で語れるほどに釣りに夢中な少年時代を過ごし、サーフィンを愛し、そぼ降る雨とともにギターを奏でる夫。ぶれず流されず、意に反することはしない夫。すべてを見抜くような静かで力強い眼差し。
自分とは対極にあるそのあり方に憧れて、一方で自分を必要以上に卑下していた。
自分も夫のようにありたい、そうあれない、そんな自分はだめだ・・・
結婚して12年、憧れるほどに自分にバツをつけてきたのかもしれない。

夫がコロナになり、初めて一週間自分と子どもだけで過ごし気がついた。
私は私のままでやれるし、日々は自由で軽やかで豊かであり、私はこの暮らしを愛しいと感じられている。
子どもたちも笑っている。だったらそれでマルってことだろう。

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