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カスタマーサクセスが顧客のニーズに応えて生成AIベースの英文添削システムを開発した話

こちらは mikan advent calender 2023の4日目の記事です。
昨日はAndroidエンジニアのgumioさんの「AndroidエンジニアがmikanでGrowthやりたいと宣言して実行できた話」という記事でした。
エンジニアでありつつも、施策の検討から分析、実装までやってしまうgumioさんの話をぜひ読んでください!


はじめに

株式会社mikanで、学校・塾向けサービスのmikan for Schoolのカスタマーサクセスを担当している鈴木です。
入社当初はコンテンツチームにジョインしていましたが、新たにmikan for Schoolが立ち上がり、僕は教育の現場での経験が10年ほどあることもあり、こちらに異動してきました。
今回は、僕が顧客のサクセスと向き合うなかで、顧客のニーズに応えて英文添削システムのベータ版を爆速で開発し、それが顧客に受け入れられてプロダクトに本番導入された話をします。

背景

まずは、英文添削システムを開発するに至った背景を説明します。
僕は今年の1月からmikan for Schoolで主にカスタマーサクセスというボジションで、顧客である学校や塾の導入支援を行っておりました。
その中の1つの顧客である学校のサクセス施策として、英検対策の特別コースをmikan for Schoolを用いて行うことになりました。
その講座は英検の1次試験を合格するための内容になっていましたが、mikanはスピーキング・リスニングは問題の学習から採点までできるものの、ライティングは採点ができないという課題がありました。
英検は4技能で均等に配点されてスコア・合否が決まるため、ライティングの学習は必要です。さらに、英検のライティングは他のリーディングやリスニングに比べて、直前の学習がスコアに反映されやすいものでもあります。
受講している生徒たちに良い学習体験を提供し、なんとしても合格してもらうために、mikan for Schoolで英文添削システムを開発できないかという話になりました。

そこで、最近技術の進歩が著しく気軽に利用できるAPIも充実してきた生成AIの技術を使えば、そこまで工数が嵩むことなく英文添削システムを開発できるのではないかとなったのが今回の話のきっかけです。

実際にやったこと

技術選定

まずはどのような要件で今回のシステムを作ればいいのかを考えました。
まだベータ版でマーケットにフィットするかどうかを検証していく段階だったので、素早く実装できることを優先して考えた結果、以下のようなTech Stackでシステムを作ることに決めました

  • Framework: Next.js

  • Language: TypeScript

  • Styling: TailwindCSS

  • Database: PlanetScale

  • ORM: Prisma

  • Deployment: Vercel

上記にした最も大きな理由は、僕が個人開発で上記の構成でWebアプリを開発した経験があったからということになりますが、Next.jsのプロジェクトをVercelでデプロイするのは本当に簡単ですし、上記の構成であればコストがかからずにアプリケーションを作ることができるので、MVP(Minimum Viable Product)をさくっと作りたいときにはおすすめの構成です。(非技術者の意見なので、過度な信頼はご遠慮くださいw)

時間がない!

そこから実際の開発に進んでいくわけですが、僕は開発者ではなく、あくまでカスタマーサクセスなので、なかなか開発の工数が取れず、この方針が決まってからしばらくは時間が取れませんでした。
もっと言うと、その英検対策の特別コースのメインコンテンツはあくまで既存のmikanアプリであり、この英文添削システムはオプショナルな位置づけでした。そういう状態では、多くの顧客と対峙するなかで優先度の高いタスクが日々舞い降りてくるなかで、なかなか工数が取れません。
簡単に作れる想定であるとはいえ、開発者でない僕がシステムを作るのには多くの時間がかかってしまうかもしれないという恐れもあったので、いったん既存の機能だけでコースを進めようかと思ったこともありました。

しかし、10年間も教育の現場にいて今でも心は教育者であるからか、生徒に自分たちのサービスを提供するならば、やはりなんとかしてライティングにも対応してあげたいと思い、開発を始めました。

4日間で完成

まずは npx create-next-app@latest コマンドでNext.jsでプロジェクトを立ち上げ、そこからデータベースのスキーマや問題データの作成、一番肝となるプロンプトの作り込みを経て、なんと4日間で完成させることができました。

もちろん、そのあとも何度か修正の実装は行いましたが、ベースとなるものは4日間でできてしまいました。
これはVercelで素早くアプリケーションをデプロイできることや、AIを組み込むパッケージが充実してきたこと、そしてなによりChatGPTやGitHub Copilotのおかげで開発経験が乏しくても簡単なシステムであれば素早く開発できるようになってきたおかげです。
技術の発展の素晴らしさを感じました。

ベータ版で好評をもらい、他の顧客からも好評をもらい、正式にプロダクトに組み込むことに

その英検対策の特別コースが始まるギリギリではありましたがなんとか開発を間に合わせることができ、実際にそのコースの受講生に使ってもらいました。コースの終了後のアンケートやインタビューを行ったところ、嬉しいことにポジティブな声を多く聞くことができました。
実際に生徒たちの学習に役立つものを作って提供できたことを実感し、喜びもひとしおでした。

ユーザーに実際に使ってもらって好評をもらえるプロダクトが作れたので、他の顧客にも提案していくようしました。有り難いことに、多くの顧客からぜひ使いたいという声をもらうことができ、実際にmikan for Schoolに組み込んで本番運用に向けて開発を進めていくことが決まりました。

学んだこと

顧客の解像度を上げて素早く検証することの重要性

今回のような動きができたのは、顧客の解像度を上げて仮説を立て、それをもとに爆速でMVPを開発して検証することができたからです。

顧客の解像度を上げられたのは、もちろん教育現場での過去の経験もありますが、なによりカスタマーサクセスとして顧客とのコミュニケーションを重ねてこられたからです。僕が教育現場にいた当時はコロナ前でITはいまほど現場に浸透しておらず、非常にアナログな環境でした。カスタマーサクセスとして現場に足を運んで先生方や生徒たちとコミュニケーションを取るなかで顧客の解像度をアップデートすることで、筋の良い仮説を立てることができました。

その仮説を素早く検証することができたのは、自分がカスタマーサクセスという立場に閉じず、顧客のために自分に何ができるのかを考え、開発するところまで行ったからです。もちろん何も開発経験がない人がシステムを作るのはいまは難しいかもしれませんが、ここ最近の技術の進歩を見ると、技術的な知識がなくてもMVPが作れるようになる未来も遠くないはずです。自分の立場にとらわれず、顧客にとって何が必要か、事業を推進するために何ができるのかをゼロベースで考えました。

その結果、素早くMVPを作り顧客へ使ってもらい検証を進め、顧客に受け入れられるものを作ることができました。

自ら機会を作り出来ることを広げて、自分や事業の価値を高めていくスタンスの重要性

自分はカスタマーサクセスというポジションにとらわれず顧客に使ってもらえるものを提供したいという思いで開発を行い、実際に価値を作れたことで、自分のスキルアップにもなった上に、事業の価値を高めることにも成功し、そしてなにより、顧客に価値を届けることに成功しました。

「自分はあくまでカスタマーサクセスだから顧客の要望をヒアリングするまでだ」という意識では今回のような経験は得られませんでした。そのような意識では、立ち上げ間もないmikan for Schoolの事業部のリソースでは、それを顧客に提供するところまでいくことはできませんでした。
間接的ではありますが教育に携わる者として、エンドユーザーである生徒たちの学力向上のために何かできないか、先生方がより目の前の生徒たちに向き合う時間を作るために何かできないか、という思いからできることは何でもやろうという意識でいました。
その結果、自分のできることは広がり、事業の価値を高めることに寄与することもできました。

ちなみにmikanには、そういうメンバーが数多くいます!
先日mikan for Schoolのチームにジョインした吉田も、自分の役割に閉じず、日々学びながら顧客に価値を届けようと日々研鑽しています。手前味噌ですが、いいチームだ・・・

最後に

最近の僕の最大の関心事は、やはりAIが教育をどう変えていくかということです。とりわけ英語学習の変化や学校や塾などの教育現場の変化については大きな関心があり、これからどうなっていくか、自分には何ができるのかといつも考えています。今回の一連の出来事から学んだことを活かして、引き続き、顧客やテクノロジーのインプットを増やして解像度を上げていきながら、自ら機会を模索し必要なことはなんでも実行して、mikan for Schoolを通じて社会に価値を提供していきたいと思っています。

そのあたりのことについて話してくれる方がいればぜひ!

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