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仕事の引き継ぎとジョブローテーション

転職、転勤、転籍、出向、配属変更・・・おそらく生涯、同じ仕事、同じ環境、同じメンバーで仕事をし続ける人はいませんよね。
誰もがどこかで、移動したり、新しいことに挑戦したり、違う仕事に携わるようになります。

逆に考えると、自分の仕事を誰かに引き継いだり、教えたりする機会が必ずでてきます。

私たちは、生産性を上げたり、ダイバーシティを進める上でも、多能工化の推進が非常に重要と考え、常に挑戦と改善を進めています。

さて、みなさんは自分の仕事を引き継ぐ際には、どのような事をしていますか?

海外子会社に学ぶ、仕事の引き継ぎ術とは?


当社はベトナムに子会社があります。

ベトナム社会では、女性の社会進出が非常に進んでいたり、スキルや待遇をアップさせるためのジョブホッピング(転職)が、ごく当たり前です。

男性、女性を問わず、どんどん自分がますます活躍できる職場、高い評価を貰える職場に、転職していきます。

また、最近のベトナム子会社では、産休の業務引継が相次いでいます。
(驚くべきことに、出産前日までバイクに乗って普通に出勤したり、出産後の復帰も、日本よりもずっと早かったり、とにかく女性のバイタリティーには、驚かされますが・・・)

そんなベトナムですが、一方で当社のスタッフは、仕事の引き継ぎもとても上手に行ってくれます。
ケースとしては、新人に引き継ぐ場合、同僚や上司に引き継ぐ場合、様々ですが、スムースな引継ぎのために、率先して工夫努力をしてくれています。

決して目新しいノウハウがあるわけではありませんが、日本でも参考になるため、以下に実際の事例を少し紹介していきたいと思います。

間接部門の女性スタッフの事例ですが、彼女たちの取り組みを紹介させていただきながら、生産性の高い多能工化推進、そして社員や組織の成長についてのヒントにできればと思います。

① 業務務の棚卸しをする

チームの業務分担や仕事の配分の最適化、業務生産性の改善の糸口を見つけたりする際に行う、仕事の棚卸し。
どんな仕事をどれくらいの時間や手間を掛けて、どれくらいの頻度でやっているのか?
それぞれの仕事に必要な情報や成立条件は何なのか?
を、徹底的に洗い出します。

間接業務では、特に外から何をしているのかが分かりにくいので、組織で積極的にやる事がたいへん重要です。
(個人が自ら、棚卸しをして開示することは、抵抗感も大きくなかなか難しい)

自分しかわからない、出来ない仕事には、特にスポットライトを当てる必要があります。

② 棚卸しの内容をオープンにし、共有する

意外と想像以上に、仲間や他人のやっている仕事は、解っているようで解っていません
また、お互いの仕事の内容を知ることで、多くのメリットがあります。

- 困ったときに助けてもらい安く、助けやすくなり、チームでの仕事が進めやすくなる。
- 残業削減や休暇取得の際に、仕事を依頼しやすくなる
- ダブって同じこと(データ入力など)をしているのが解る
- 必要な情報の共有などのコミュニケーションが取りやすくなる
- 自分以外の人の改善の知恵を借りることができる
- 仕事の優先順位やムダ削減がしやすくなる
- 本来、その人がやるべき仕事なのか、再配分ができる(上司)
・・・etc

③ マニュアル、手順化する

棚卸しした仕事の手順ややり方をマニュアル化します。

製造業では、製造部門で当たり前の手順書や標準作業も、実は間接部門では不十分なモノが沢山あります。

また、最近ではWebサイトでの申請や入力の仕事も多く、常にシステムも更新されていくために、意外とパソコン上の手順化の重要性も増しています。

最近では、クラウド、Web上で管理できる動画マニュアルなどもあるため、パソコン操作が絡む手順に関しては、格段にわかりやすい手段が増しています。

この時点で、手順書を作成する担当者は、今までやってきた自分の作業の問題点に気づくことがありますし、問題と解っていても解決に至っていないことも、きちんと課題として明確にした上で、合わせて引き継ぐことも可能です。

そして、同じ仕事に複数の人が携わる中で、より多くの知恵や知見が入り、マニュアル、手順も改善、進化改善されていけば、より組織で多能工化するメリットにも近づきます。

④ フローチャートを作る

手順書やマニュアルで明確にできることはいいのですが、以外と、途中で誰かの判断を仰ぎ、その結果で仕事の進め方を変えたり、定量化基準化が難しかったり、複数の関係者を巻き込んでのルールだったりする場合は、無理矢理手順書を作るよりも、フローチャートにしておくほうが効果があります。

役割と権限、そして仕事の流れを、フローチャートにすることで、仕事の全体像が明確になります。

引継ぎの後に起こる問題として、

「誰がこの件は判断するのか解らない」
「次に誰が何をするのか解らない」(外部機関などが絡むと特に)
「この件は誰に聞いたら良いのか解らない」
「仕事のフローの途中で、保留や中断や、変更が頻発する」

ということが多々起こります。

それを防ぐためにも、仕事(プロセス)の大きな流れをフローチャートにしておくのは重要ですね。

⑤ 過去の資料、記録を整理しておく

意外と自分だけが解っているファイル、ハードディスクのフォルダ、インデックス・・・沢山あります。
誰が探しても、すぐに目的の資料や記録を探し出せること。

実は、引き継ぎには非常に重要です。

ファイリングの見出し、順番、タグ、場所・・・誰でも解るようになっていますか?

引き渡すデータは、ちゃんと適切なフォルダ名やファイル名、日付の履歴などが解るようになっていますか?

チームで記録保管のルールを日常から決めていますか?

⑥ 過去トラと対策のリスト

実際に、自分が経験したトラブルや問題と、その際の解決策をリストに整理して引き継ぐことで、次の人が同じ失敗をしなくてすみます

製造部では過去トラが重要視されますが、意外と間接業務では軽視されやすいので、せひお勧めです。

必ずしも対策、解決、に至っていなくても、例えば、

- このお客様と過去にこんなトラブルがあった
- この業者はこういう過去にトラブルがあるので、注意
- この手順を間違えると、こんなリスクがある

など、事前に情報が整理されていると、引き継ぐ側の心の負担も大きく変わります。

全社で言えることですが、過去トラや改善の履歴はチームで残していきたいですね。
会社のノウハウとして、きっと生きてきます。

産休復帰は成長の機会

以上、こんなことを何も言われず進んでやってくれているベトナム女性スタッフですが、産休明けの復帰後は、多くの場合、また新たなステージの仕事についてもらい、本人もチームも成長していきます。

留守中に、仕事を任された部下も、大きく成長しているからです・・・。

産休や長期の休みを、キャリアの停滞と捉えず、むしろキャリアアップ、スキルアップのチャンスとして活かしていることは、素晴らしいことですね!

「休みが取りにくい」会社から「休みやすい」会社に。
「休みやすい」ことは、「引き継ぎやすい」会社。
「引き継ぎやすい」会社は、「人が成長する」会社。

働き方改革を進めるためにも、「引き継ぎ方」の改善を皆で考えて実践したいですね!

※ 2018 社長VOICEより

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