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120%の好きで埋め尽くしたら、六本木で泣いた。

2022年4月17日、ピンクムーン。

身のまわりを好きで埋め尽くしたら、
六本木で、泣いた。

今日僕はインスタライブをする。満月の夜に六本木で踊る。ドキドキしながら踊るんだと思う。ワクワクしながら踊るんだと思う。ひさしぶりに自分の好きを選んで。

好きな人と、好きな場所で、好きな事を。

120%の好きで自分の世界を埋め尽くしたら一体どんな世界がみえるんだろう?

いつもの自分の常識を越えて、脳みそがスパークしてしまうような「好き」だけで構成された世界で踊れたら最高なんじゃないかと思った。でも一人ではなにもできないので、大好きな3人に声をかけた。

好きな人

一人目、

僕が20代の頃から写真を撮ってくれているえびすけちゃん。踊りを撮るのがすげぇうまい。

二人目、

今まで一緒にたくさん作品を作ってきたじんちゃん。めちゃくちゃにうつくしい曲をつくる人。

三人目、

最近動画の撮影で毎日のように会っているゴーちゃん。ロケハンはグーグルマップ。

僕のオールスター、最強のスタメン。みんな連絡したらすぐにOKしてくれた。ありがてぇ。

日程と場所を決めていく。

テーマだけは「踊る瞑想」に決めていたので、満月の日にやることにした。でもこの時点で4月10日くらいだったので、4月の満月は残すところ17日の一日のみ。あと一週間しかない。でも、この日程で話しているときのみんなの感じがめちゃくちゃよかったので、どうしてもこの日程にしたいと思った。

場所は、ずっと踊ってみたかった大きな撮影スタジオで探すことにした。白い床で、床と壁の境目が曲線になっている(Rホリゾントというらしい)のがいいなと思った。照明を吊るバーの色は黒で自動で床まで降りてくるタイプで、天井の高さとスタジオの広さもある程度はほしい。あと電話したときのスタッフさんの声のトーンや対応も超大事で僕が好きになれないとだめ。120%の好きで埋め尽くしたいので、どれも妥協はできない。80%では脳みそはスパークしないのだ。
いくつか問い合わせてみたけど結局ひとつも空いてなかったので、仕方なくキャンセル待ちをすることにした。脳みそがスパークしそうな条件をすべて満たしている奇跡のスタジオの写真を一人で見ながら、このスタジオの喫煙所で最高に美味い煙草を吸っている自分を想像してテンションを上げて待つ。2.3日して狙っていたスタジオからキャンセルが出たと連絡がきたときは嬉しくて完全に脳みそがスパークした。光の速さで申し込んで場所と日程が決まった。

本番までの残りの数日間、みんなと連絡を取り合いながらホクホクした気持ちで過ごした。アイデアを思いつくとすぐにみんなにラインして、どんどん楽しみが増えていくのが楽しかった。どのタイミングでなにを言っても、いつだって力を貸してくれて苦笑いしながら付き合ってくれるこの人たちのことを僕は好きだと思う。

                               ・・・

4月17日

STUDIO MOURIS - 六本木


スタジオに到着したので準備をする。いろいろやりたいけれどそこをグッとこらえて!僕は喫煙所を目指す。脳みそスパークに焦りは禁物だ。ひとつひとつ味わおう。大好きなものが目の前にある状態で吸う煙草が一番美味しいし、もはやこの一服のためにスタジオを抑えたと言っても過言ではない。

スタジオに戻るとじんちゃんがコーヒーを淹れていた。こういうスタジオで飲む、こういうコーヒーって、なんでこんなに美味いのか。誰か教えてほしい。何杯でも永遠にいけてしまう。最高にしあわせだ。誰も準備をはじめない。

今日の目的は、楽しむこと。

楽しむのに焦りは禁物だ。一つ一つ「味わう」ように体験したいし、その瞬間の「楽しい」っていう感覚をちゃんと身体で感じていたい。いつも忙しい心と頭には今日だけはお休みしてもらって、今日、僕たちは、楽しむことに、全生命を捧げる。最高の一日にしたいのだ。好きなときにコーヒーをガバガバ飲み、煙草が吸いたくなったらすぐに喫煙所へ走る。それぞれが好きなときに好きなことをしてしまうので、タイムスケジュールはない。と言うか、組めない。でもそれでいい。上手くやりたいんじゃない、ただバカみたいに楽しみたいから。

大好きな人達と大好きな場所まで来たので、ここからこの場所をもっと大好きにしていく。まず、えびすけちゃんが照明を調整する。

さすがフォトグラファー。鬼の速さで照明を吊っていくえびすけ先生。みんなで惚れ惚れしながら見守る。

次は、じんちゃんの机をなぜかごーちゃんがモデル感を出しながら作る。

できた。シンプル。

続いて、ごーちゃんがスタイリッシュにただ置いた机の上に、じんちゃんがピアノと機材を置いていく。

できた。さすが音の魔術師。

キャンドルの置く場所も確認して、さぁ準備完了。

ここまで僕はなにもしていない。でも大丈夫。脳みそはスパークしてる。



リハーサルがはじまった。


ここからやることを決めていく。

じんちゃんと二人で、動いたり弾いたりしながらパフォーマンスの感じを決めていく。空間を触って確かめていくみたいなこの作業はたのしい。踊りながらじんちゃんがピアノを弾いているのを見ていたら、やっぱり今回やってよかった!最高だ!と思った。この人のこの姿が見たかった。この人のめちゃくちゃに暗くて死ぬほど柔らかいピアノが僕は大好きなのだ。好きな人の好きなことをやっている姿はなによりもかっこよく見える。もしかしてこれが推しというやつなんだろうか。もしかしてこれが推しというやつなんだろうか。

カメラのアングルと照明は、リクエストだけ出してえびすけちゃんとごーちゃんに任せる。頼もしい。

えびすけちゃんが「よーへーちゃんのnoteを音声で流しながら踊ったら面白そう!」と無茶振りをぶっ込んできたので「終電に駆け込んだぼくは、今日も簡単に酔っ払う」という、好きな女の子に会うために年末の埼京線に駆け込んだ20年くらい前の自分の話で踊ることになってしまった。まさかの展開にどうしたらいいのかわからない。気がついたらごーちゃんが既に録音してくれていた。もうどうしたらいいのかまったくわからない。

なにかを悟った男。



「踊る瞑想」本番。

ついに始まった。なにも決まりのない僕たちのインスタライブ。お客さんのいないスタジオに、ピアノの音とカメラのシャッター音だけが響く。なんとも言えない緊張感のなかで、それぞれが即興で動いて場を作っていく。

ごーちゃんが録音してくれたnoteの音声で踊っていたら、20年前に駅の商店街でみた月を思い出した。電線のあいだからみえた月。本当になんともいえない気持ちになるのでやっぱりどうしたらいいのかわからない。昔の俺よどうしろってんだ。踊るって昔の自分に会いにいくみたいで、ちょっときまずい。

それぞれがそれぞれの視点で世界を見ていて、お互いに影響をあたえあいながら、交差してまじわったりまじわらなかったり。正解もわからない、正解がないけど、ぜんぶ正解の世界で。ひとりひとりがその瞬間の行動を選んでいく。

なにかに飛び込んだときに、誰かが助けてくれることがある。ピアノの一音に思い切って飛び込んだけどどうしたらいいのかわからなくなっているときにカメラのシャッター音がババババッ!!ってくるみたいな。その一手で次が見えたり景色が変わっていくのが面白くて怖くて、でもたのしい。踊るって人生に似ている。

踊っていて不思議なのは、どこかでリミッターがはずれる瞬間があって自分の意識とは関係のないところでもう一人の自分が「おんどりゃぁ!いつまでタラタラやっとんじゃワレェ!」と無理矢理ハンドルを握ってくるときがある(この人のことを、しゃしゃりでる夫と呼んでいる)。これがすごく怖いんだけどこの人には逆らえないのでこうなるともう好き放題やられることになる。
この人のえげつないのは、僕の身体が疲れてパフォーマンスの一番いいところで出てくるところだ。この日も最後の最後に出てきて好き放題しゃべっていった。いろんなことをしゃべりまくるから本当にやめてほしい。もう踊ってないし、両手でキャンドルもってるし、ちょっと笑っている。こいつまじで脳みそスパークしている。自分も髪下ろして白の長めのシャツだったから、最後にキリストが急にしゃべりだしたみたいになってしまった。

カメラは大好きなデザイナーのたけしくん。インスタライブ用の携帯で撮る人がいないことに当日気づいて急遽お願いした。たけしくんありがとう。

そして、最終的にこうなった。

120%の好きで身の回りを埋め尽くしたら、なんかすごく不思議なラストになってしまった。しゃしゃりでる夫もよろこんでいる。

なにはともあれ無事にインスタライブ終了。お疲れ様でした!!

てんやわんやのインスタライブの模様🌙↓

まだすこし時間があったので、えびすけちゃんと写真を撮ったりして遊んだ。


・・・

一日が終わって片付けをしてスタジオを出た。えびすけちゃんとじんちゃんとさよならをして、ごーちゃんと二人で煙草を吸った。月を見上げたらピンクムーンは全然ピンクじゃなくていつもとおなじ満月だった。いつだってこの身体で過ごしているし、この身体で踊ってる。

ごーちゃんがスタイリッシュに月を撮っていた。

パフォーマンスが終わってからずっと身体の震えが止まらなくて、なんか大泣きした後みたいな感じだったんだけど、月をみていたらその理由がすこしわかるような気がした。

120%の好きで埋め尽くしたら、
六本木で、泣いた。

ちいさな好きをあつめたら大好きができて、大好きがうれしさをつれてきた。そんな世界のことが僕は好きだと思う。脳みそがスパークしそうだ。



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