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日本酒造り未経験の私が3週間、末廣酒造での体験を経て【感想】

 2月11〜28日まで日本酒造りをしに福島県の会津に蔵を構える末廣酒造に行ってきました。福島県が主宰する「ふくしまふるさとワーキングホリデー」のプログラムを利用する形で今回の酒造りが実現したわけです。

 蔵では、末廣酒造でもっとも高価な大吟醸酒を始めとした酒造りはもちろん、出荷を作業を行うべく製品ラインにも携わりましたし、酒粕のパッキングなど様々な経験をさせてもらいました。

 このnoteでは酒造りをするにあたって役に立った準備や経験、自分への課題や酒蔵、日本酒業界に対する"個人的"な意見を綴っていきます。もし将来、日本酒造り、日本酒業界での仕事を志される方、日本酒ファンの参考になれば幸いです。

 そして酒造りのクソ忙しい時期に受け入れていただき、業務として酒造りを体験させていただいた末廣酒造さまに心から感謝申し上げます。

※項目ごとに執筆していくので目次の順番通りに記事が掲載される訳ではありませんのでお見知り置きを。

1.蔵に行く前にしたこと

 蔵の仕事にあたりもっとも心配だったのが体力、特に筋力面でした。私は筋肉がほとんどないガリガリ体型(174cm 55kg)。「一升瓶6本持ち上げられる体力のある方」なんて求人要項を見たことがあり、すなわち20kgの持ち運びが可能な筋力が必要とわかります。

 蔵で仕事することを決めた3ヶ月ほど前から筋トレを実施、私なりの戦略と混ぜて綴ります。

1-1筋トレ

 で、ジムでトレーナー付けて鍛えるのがもっとも効率良いのでしょうが、いきなり筋肉増やしても腱や関節はすぐに強くなりません。そのうち歪みが蓄積し怪我に繋がりかねないし、ジムが無い環境に身をおいた場合、何もできない人間になりそうだったので、自宅でできる方法を模索しました。

 YouTubeってホントに便利で、実績を伴った筋肉マンが結構いますよね。あと某筋肉体操とか(笑)。

 で、重いものを持ち運びすることを逆算し僕に必要な筋肉は腕、体幹、下半身、まぁほぼ全身という結論に至り、かつ時間をかけず継続できるメニューをYouTubeから探しました。筋トレに限らずスキルや結果を得るために一番重要なのは筋トレの方法ではなく継続することです。なので続けられるメニューを、1日のどこに組み込むか、というグローバルな視点で考え、取り組んでいきました。

 私はメトロンさんの筋トレを参考にしました。鍛えたい部位別に色々紹介していて、いくつかは今でも継続しています。

 筋トレ動画のいいところは、画面越しに一緒に同じトレーニングすると何だか仲間意識が湧いて頑張れるところです。慣れるまでは画面見ながら筋トレするといいでしょう。

1-2ストレッチ

 もれなく筋肉痛になることが予測されたので、ストレッチのスキルも保有しておくと良いです。私は普段からマシンを使ったストレッチができるジムに通っていたので、これはラッキーでした。

 ただ、マシンがない環境ではセルフストレッチがマストになるので、これもYouTubeで探しておき、効果を感じる自分に合ったものを選んでいきました。

1-3応募

 酒造りは一般的に寒い冬の時期に行われるため、逆算すると10月頃から募集の記事が出始めると思いますので、忘れないようにしたいところ。

 考えうる酒蔵への応募方法は

・ハローワーク
・バイト広告
・FacebookやTwtterなど
・indeedから横断検索


と言ったところでしょうか。

 大きな酒蔵を除いて、ほとんどの蔵がハローワークを通じて求人を出しています。タウンワークやバイトルみたいに気軽に応募できない雰囲気が心理的なハードルになるかもしれませんね。

 んで母体の大きなところだと有名なバイト広告に求人票を出していることがあるので要チェックです。

 最近はSNSを通じて積極的に発信する酒蔵さんが増えてきました。こういう酒蔵さんは比較的オープンなマインドを持っていると考えられるのでメッセージを送ってみるのもいいかもしれません(メールはタダです)。最近は日本酒ブームもあって若手の多い酒蔵も目立ちますし、SNS上で蔵人募集を見ることも珍しくありません。アンテナはつねに立てておきたいところ。

 さて私が今回の酒蔵就業につながったのがindeed経由でした。indeedで酒造求人なんて検索してみたら、「ふくしまふるさとワーホリ」にヒットしました。ちなみにふるさとワーホリ制度は各県が主幹するもので、全国でもまだ数県しか取り組んでいない制度です。たしか酒蔵での就業体験ができるのは、確か福島県、新潟県、岐阜県、北海道だった気がします(見落としていたら一報ください)。

 そこで、ちょうど募集していた福島県の案件に応募しました。受け入れ可能時期や必要なもの(運転免許とか)、宿泊の段取りを確認した上で希望の就業先をワーホリ事務局に伝えます。事務局がマッチングをしてくれて、応募数との兼ね合いなど調整し、晴れて末廣酒造での「ワーホリ」が決まったわけです。

 ちなみに末廣での就業中はユースホステルに宿泊しており、宿泊費用の一部を県が負担してくれたので大変助かりました。これからワーホリの利用を考える方は求人要項を必ずチェックしましょう。

2.蔵でやったこと

 予め日本酒の造り方を本でザックリ読んではいましたが、菌の発酵など目に見えない中で起きる変化などの要素がイメージしづらく、酒造りを実際にやってみて理解できたことが多くありました。

 都合上、酒造りの全行程を体験したわけではないので、どのように日本酒が造られていくのか興味のある方は「ゼロから分かる!図解日本酒入門【電子書籍】[ 山本洋子 ]」が分かりやすいです。

 また日本酒のキーワードを調べるならSAKE TIMESの「日本酒用語」や、沢の鶴が主幹する「酒みづき」がオススメです。

2-1洗米、浸漬

 精米された米を洗い、水を含ませる工程。ストップウオッチを使って時間管理されて行われます。もっぱら浸漬具合はその日その場の湿度や温度にも影響してくるため、水が含まれる具合を目視確認しながら、浸漬時間を微調整してました。

 米粒の白い部分は水を吸ったところ、透明な部分は吸水が乏しいところ。素人でも見分けやすかったです。

2-2蒸し米運び

 蒸し米の使い道は、「麹造り」と「3段仕込み(添え)」。木桶に移された米を担ぎ、米を布が敷かれた木の板に出し、温度を一定のレンジにすべく、しゃもじと手作業で均します。

 木桶は大体15kg前後だったのでそんなにキツくなかった。(後述の酒粕はやばかった)

 麹造りの章でも述べますがとにかく温度管理が大切。温度が均等に落ち着いてきたら、麹造りのために麹室に蒸し米を持ち込むor添えのために酒母が入ったタンクに入れていきます。

 タンクの高さが胸くらい(僕の身長は173cm)で地味に高く、二人掛かりで米を持ち上げました。

 ちなみに僕が作業した期間は幸い?にも繁忙期を過ぎていたので作業量はそこまで多くありませんでしたが、仕込みの最盛期だと、この作業を相当数くりかえす必要があるんでしょうね。考えただけでも酒造りする人の体力に感服します。。

2-3麹造り

 蒸し米から麹を造ります。麹室は麹菌の活動を活発化させるべく室温が35℃前後と、日本の猛暑日のような環境下。その中で米(麹)の温度が均等になるよう手作業で攪拌します(この時は高いお酒を造りました)。

「人間ができることはすべてやる」が日本酒造りの特徴で、温度計を逐一確認しながら温度が一定のレンジに落ち着くまで、米を均します。温度を間違えれば菌の活動に影響します。つまり味に影響が出るのです。(AIなど駆使して菌の活動をコントロールできないもんかなぁ。できてないし人間の感覚がまだ凌駕しているとも言えるか)

 地味にキツかったのは麹室から出入りするときの温度差。麹室でガッツリ仕事をすれば当然汗だくになります。その状態で(当時)5℃前後の作業場に出れば当然カラダが冷えるんですが、これがキツイ。(こまめに着替えましょう)

 身体がしっかりしていないと続かない仕事という所以を実感しました。

2-4酒絞り

 数日間、酒母とともに熟成させた醪(もろみ)を絞り、いよいよ"日本酒"にしていきます。

 僕が絞ったのは末廣酒造の中でもっとも高価なお酒「玄宰」。嫌でも気合が入りますよ。

 もろみを袋詰めして、自重で日本酒を絞ります。タンクからホースを介して袋にもろみを流していきます。もろみを注ぎ終え、日本酒が滴り落ち切ったら、最後は手で袋を絞り、最後の一滴を出し切ります。

 寒い環境下で冷たくアルコールを含んだ袋を絞ると、もれなく手が真っ赤になります。めちゃくちゃ冷たいんです。酒造りしてる人にはホントに頭が下がります。。

2-5 洗浄作業

 酒造りの世界でも特に重要だと感じたのがこの洗浄作業です。わずかな米ぬか、菌が酒の味を変えてしまう世界。酒造りに必要な容器や機材は当然使い回しますから入念な洗浄が必要になります。

 大物はウォーターガンを使いますが、それ以外は洗浄液など駆使して手作業で洗うのは想像に容易いでしょう。

 もれなく下を向きながらの作業になるので首腰が悲鳴をあげます。つねに首を回すなどストレッチしながらやりましたがやっぱり大変。(カイゼン好きな方には嬉しい環境かもしれませんね)

 念には念を入れて洗浄した道具たちは、ふたたび酒造りの縁の下を支えるべく仕事に向かいます。

2-6酒粕剥き

 もろみに圧をかけて酒を絞ると、もろみの粕=酒粕が圧搾機の板面(1.5m×2mくらい)にこびりつきます。これを手作業で剥がしていくのですが、板の枚数が200を超えることも珍しくないのでスピーディに落としていく必要があります。

 終盤になると筋肉の疲労を感じ、作業ペースが衰えるので一発ですべて落とせるようなコツを早く掴めるかがポイントです。

 剥がした酒粕は、甘酒の素になるべく商品化されます。

2-7酒粕パッキング

 字のごとく剥がした酒粕を袋詰めし商品として出せるよう整えていきます。一袋1kgとしても、手作業でこれを延々と繰り返すわけですから大変な労力が伴っています。1日に100kg以上パッキングした日もあった気がします。

2-8ラベル剥がし

 ここからは酒瓶の話し。酒瓶に貼られるラベルは機械で貼るのと手作業との2パターンがあります。機械で貼った際、ラベルに隙や浮きができるのは商品上よくないってことで剥がして貼り直しになります。

 剥がすには一旦水につけてシールを浮かせるのです、極寒の中の水作業ですよ。。

 一日にそう何十本とやるわけではないですが、やりたいとは思わないですね笑

2-9瓶流し

 これからお酒を詰める空の瓶を洗浄機に送るべく、瓶をラインに流していきます。(なぜかアナログなので)手作業でラインに瓶を上げていくのですが、繰り返し少々重いものを持ち上げるのでもれなく筋肉痛になります。この作業がもっとも筋肉痛を誘発してきた気がします。

 ラインに流すときは基本的に手作業で、出荷本数が増えれば自ずと作業も増える。嬉しい悩みとしておきましょう。

2-10箱作り

 大吟醸や頒布会に出すお酒は専用の箱に詰めて出荷されます。この箱を作るのですが、当然それ相応の量を作る必要があります。

 正直箱を作って並べての繰り返しなので、飽きるとミスが出やすくなります。メンタルをうまくコントロールするか、システムを工夫するなど、とにかく自分の頭を使っていないと流れ作業になって飽きます。

 ちなみに寒く乾燥した時期はダンボールで手を切りやすいのでグローブなどして対策を講じています。

3.予めやっておいて良かったこと

 筋トレしておいてホント良かったです。特に体幹トレーニングをしておいたおかげで米袋を始めとした重いものを持ち上げるのにさほど苦労せずに済みました。

 あと書籍や動画を通じて日本酒製造の知識、単語などを把握しておいたおかげで職場での会話についていけました。業界や会社を超えると、同じ日本語でも専門用語が溢れていると、まるで母国語が違う異国を訪れた気分になるものです。ある種「言語の壁」を越境できたのはデカかったと思います。

 そして普段から工夫する思考を持ち合わせていたのも功を奏しました。例えば仕事は時短することで費用対効果が上がるわけで、効率UPの工夫は自分にも企業にも恩恵をもたらしますよね。こればかりは自分の頭でアイデアをひねり出さねばならないし、現場とのコミュニケーションや状況の読解力は日々鍛えておいた成果が出たのかなと思います。

 具体的に言えば、ダンボールにタグを貼る工程。作業台の高さを工夫し、スピーディかつ絶対にミスをしない貼り方を考え実践できたのは、露骨なタイムカットにつながっていたので気持ちの良いものです。(改善したいとこは色々ありましたが、すべてできた訳ではないです)

4.不足と感じたスキル

 そりゃもっと筋肉あったらねぇ。筋肉痛を感じたのは普段鍛えられてなかった部分、特に背筋でした。瓶が入った箱をラインに流すべく持ち上げ作業を繰り返すのですが、結構背筋にキます。

 で普段から背筋を鍛えるにはジムで器具を使うか公園で懸垂/チンニングするかになる訳で、自宅での自重トレだと鍛えづらいんです。youtubeも漁りましたが今の所いいトレーニングが見つかっていないので教えて欲しいです。

 それから対人間のコミュニケーションスキルはもっと欲しいですね。いつか一緒に仕事したい思いがあるなら自分を売り込む必要があります。相手が閉鎖的ならそれ相応のコミュニケーションの取り方を考えていく必要がありますし、大前提として、察したら何でもしてもらえる訳ではありません。明確に自分の意思を言葉でわかりやすく説明する能力は生涯役に立つのではないでしょうか。

5.酒蔵と日本酒業界に対する個人的な所感

 以下、個人的な意見が盛りだくさんとなっていますのでご容赦願います。

 酒造りはプロだけど会社経営のセンスには疑問符がつきます。酒造りは手間かけてるし実際に日本酒は美味しくて、それは世界的な視点でも認められていること。ならばもっと高価にしていいと思う。それを低価格で売るとどうなるか?

 単純に売り上げ高が低い。給料が下がる。低賃金でハードワークをこなしたい人がどれだけいるだろうか?

 近々の話しだと、消費税増税によってインフラの値段が上がれば家計を圧迫するわけで。そこで給料が低かったら生活苦へ真っしぐらじゃないですか。

 もし日本酒の価格が上がれば従業員の生活が豊かになるし、さらには米農家の賃金も上がり生活が楽になる方向に振れると思います。

 日本人の誰もが美味しい酒が買えるという理念は賞賛しますが、自分を安売りしないでほしいです。

 日本のアルコール消費量と人口減少を食い止めるというのは、ハードルの高い問題。だったら日本酒の価値を認めてくれている外国の消費者に向けて酒を造っていけばいいと思うんです。

 リマインドですが、自分たちが造っている物、持ち合わせている技術の高さ・貴重さを業界人、日本人とも自覚すべきです。

 海外生活や、外国人と日常的に接している方ならお分かりかと思いますが、自国の文化を誇らしげに語れることは財産なのです。愛国心に近いところがあるかもしれませんね。

 それを説明できない時、疎外感というか自分の何も無さに失望感を感じるのではないでしょうか?

 人間は歴史の上に成り立っており、良し悪し含めそれを全て受け入れ、継承ないし育てていくは、将来生まれてくる方達に同じ素敵な思いをさせてあげられることに繋がると考えます。

 だからこそ自分たちが育ててきた文化、歴史、技術を大切にすべきと思いました。

6.当方が造りに関わったお酒紹介

 約3週間のうちに製造と製品の仕事を経験さえてもらいましたが、こと製造で間接的に私が関わったお酒の銘柄次の4つです。

・玄宰 純米大吟醸
 末廣酒造で一番高いお酒です。末廣酒造のホームページでのみ販売しています。素人の意見ですがハッキリ言って造るのに手間がすごくかかりました。

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うめぇっすよ。

・玄宰 大吟醸
 こちらは玄宰の大吟醸。純米大吟醸に引け劣らず。スッと入る口当たりの滑らかさが特徴の一本。

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・嘉永蔵 大吟醸
 末廣酒造が会津若松市内に構える、嘉永7年創業、今日まで150年に渡り営み続けいている嘉永蔵で仕込んだ大吟醸。みなさまがイメージする酒蔵で造った酒。

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これ現地でしか買えないんですよねぇ。。

・ゆめのかおり 純米大吟醸
 福島・会津の米、「夢の香」を使って造りあげた全てメイド・イン・会津の日本酒。ワインだと製造場のある地元で葡萄を育て、ワインを作りますが、日本は気候の関係で酒米を作る地域が限定されることが珍しくありません。全国の大吟醸に用いられている山田錦も兵庫県産のがほとんどですし。

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 末廣の顔は玄宰な気もしますが、個人的には夢の香も主力選手だと思います。

 この他にも2種類造りましたが、品評会向けの酒だっため銘柄を失念しました(商品として店頭には並びません、残念)。ただ、山廃だったことは覚えています。

 あと主力の中に鬼羅という酒があり、これは外国人ウケしているそうです。

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日本酒度+15とあってめちゃくちゃ辛口でスッキリ。油物に相性抜群です。

7. 3週間の間に感じた福島・会津の姿

 福島県、こと会津は全国的にも農作物が育ちやすい恵まれた地形を持っています。年間の最高気温と最低気温の差(年較差)が50℃を越える地域は四季を通して美味しい農作物が育つことが研究の結果明らかになっており、会津は日本に数少ないこの地域に該当しています。

 会津って実は農業に最適だし、きっと有機農法もやりやすい地域なんですね。ゲリラ豪雨を始めとした豪雨災害に見舞われることもなく、お水は美味しくて山間を季節風が流れてくれるから食にも人にも居心地の良い環境と言えます。

 もっとも、2011年3月の震災で発生した原発の放射能問題、これが未だに強く影響しています。会津には都心から電車で移動しましたが、道中、台湾人を始めとしたアジア系の外国人が会津鉄道に多く乗車しておりました。

 正直、風評被害を一番与えているのは日本人なのではないか、なんて錯覚しそうになりましたが、震災前に比べて国内外からの旅行者は総じて減少し、店を畳んだなんて話しは珍しくありません。

 で、実際問題、放射能問題がどれだけ起きたかと言うと会津に影響はなかったそうです。震災直後、地元の会津大学が政府よりも早く放射能の調査を実施。原発から北西方向に流れたことが検証結果として出たそうです。

 当方が説明するまでもないですが、原発の半径20km圏内と近辺一部の地域を除いては数字でもって「安全」が証明されたことになります。確かに原発事故があった地域を訪れるには心理的抵抗がありますが、それを言い始めたら身の回りにある原発や地方よりも大気汚染が進んでいる地域に観光する人はどんな気分なのでしょうか。

 この話しの落とし所は、身の安全は自分の頭で考えるべし、だと思います。

 他人やネット、テレビのバイアス満載の情報に踊らされず、思考を巡らせば、自身の行動に自身で信ぴょう性を与えることができると思います。

 もっとも、ポジティブなことだってたくさんありました。南会津の国権酒造は震災の年を挟んで11年連続で金賞を受賞する酒を作っていますし、こと会津には賞賛される日本酒・酒蔵が多く健在しています。

 気持ちは複雑ですが、宮泉銘醸が出す「写楽」なんて会津の酒屋に行っても買えないんですよ。会津の人が買えない会津の酒、希少価値が付いてネットに売られている様子は、福島の酒が認められている嬉しさ反面、普通に売ってくれや、と言う気持ちが混在します。

 要は、福島は食の宝庫で、しかも皆が認める高品質な食材が豊富にあったと言うことです。スーパーで売ってた弁当の米が美味くてショックでしたよ、えぇ。

 伝統工芸も盛んですし、職人が多く生きている世界なのです。(自分の感情を表現するのが下手くそな人も多いですが笑)

8.まとめ

 美味しい食事を作れる人は素敵だし、だから美食を提供するお店には行列が絶えないのは至って自然な論理ですね。日本酒も美味いやつはマジで美味いです。

 しかし、こんなに美味しい、食卓を明るくする存在が生まれる酒蔵が、毎年少しずつ減少しているのが現実です。最近でこそ日本酒は海外でも造られていますが、貴重な日本の伝統技術、財産だと感じています。

 そんな日本酒造りに携われたのは大変貴重な経験になりましたし、どんな形であれ日本酒に関わる仕事を将来していきたいなと思います。海外に滞在していた頃、いろんな外国人と喋りましたが10人中10人が日本=寿司というイメージを持っていました。

 日本には良いものがたくさんある、その一つである日本酒が未来永劫伝え、残すことは意義があると再認識しました。

 日本酒を造る、伝えていくことならなんでも興味があるので何処でも行きます。是非お声がけください。


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