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災害との付き合い方

 きっと日本はこれから毎年のように大規模災害と共存していくことになると思う。

 海水温の上昇に伴う低気圧の大型化、偏西風の蛇行による暖かい風の流れ込みやすさ、大雨を発生させやすい山の多い地形。日本の風土を作ってきた特異な自然が、自分の首を絞める原因になろうとは、昔の人たちは想像もしなかっただろう。

 僕だって想像しなかった。学生の頃は青春18切符を使って日本全国を旅した。共通して感じたのは、景色の美しさと食の美味しさだ。自然に恵まれた地形が、地域特有の美食を生み出し、視覚的にも味覚的にも幸福を生み出していることに気付いたのは大きかった。

 熊本・鹿児島で起きた今回の大雨災害、あのエリアは海風が直接山を登っていく、大雨を降らす線状降水帯が作られやすいエリアで、この先毎年、災害レベルの大雨が予想される。

 雨のたびに街が土砂に埋もれていたのでは、生活は成り立たない。補助金出して家を再建したところで、ふたたび濁流に押し流されたら元も子もない。

 インフラが崩壊して物資が届かないことも大きいが、個人的に苦痛なのはトイレが使えなくなることだ。下水道にも泥が詰まれば、汚物が街に流出する。衛生環境は最悪だ。

 地球温暖化が鈍化する兆しすら見えない現状、命を守るために本気で移住を考えねばならないと思う。

 故郷を自分の意志で離れるのは大変辛きこと。特に地方は地元愛が強くいと聞くから、その葛藤は想像に容易い。

 ただ、死んでは元も子もない。

 もはや日本はどこにいても安全という神話を捨て去る必要がある。これは地方だけではなく、都心の人も持つべき新たな価値観だ。

 海外20カ国みたけれど、日本人は移住者に対し、特に排他的な気質を持っているように思える。懐に入れば優しくなるが、それまでに時間がかかる。

 また東京のように人が多すぎると、他人と関わることを拒む人は多い。だから「東京の人はそっけない」と言われるのではないか。

 被災者が越してきたら、普通に受けている気構えが必要に思えるのだ。気持ちを分かち合い、その場で暮らしていくためのルールを優しく教えてあげられたらと思う。

 義援金を送ることも支援の一手だが、それ以上に、もっと大きな心を持つべき時がきているように感じる。

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