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広報・マーケのプロが100人を集めて17の質問に答えてみた!(12,000字)

8月1日(木)に開催されたBar VIZZ〜そこがおかしい!マーケvsPRの誤解 - 100の質問に答えます!〜の音声メモとなります。なるべく登壇者の表現をそのままに使用していますので、会場に来れなかった方や、もう一度復習したい方は是非ご覧ください。



登壇者一覧

桜井さんX
田岡さんX
下村さんX
浜内さんX
大﨑X

イベントのきっかけ

引用元ツイート

役立つマーケ・広報ノウハウ編

この章では、明日から使える広報・マーケティングのテクニックについて登壇者に質問していきます。

1, ブランディングとマーケティングそれぞれの言葉をどのように説明されているか伺いたいです。

桜井:これ僕の解釈なんですけど、ブランディング を一言で言うと、「両思いになること」かなと思ってて、両方っていうのは、消費者とブランド両方ですね。両方の心証を合わせていく活動をブランディングというかなと思ういます。マーケティングは一言で言うと、「売り上げを作る、価値を作る」だと思っててます。

田岡:おっしゃる通りですね。加えて個人的には、マーケティングとブランディングの違いは、ターゲットを分けるかどうかである、という整理をしています。人の深い課題みたいなのって実は共通しているんで、そこに対するパーパスを掲げるとか、そこに対するコミュニケーションをするってブランディングだと思うんですね。一方で、人によって異なる課題もあると思うので、ここを分けて、aさんには〇〇、bさんには△△はマーケティングかなと思います。
あらゆるクリエイティブだったりと活動って、ブランディングレイヤーの話もあれば、マーケティングレイヤーの話もあるなっていう風に思います。


2,できる広報、PRパーソンの定義を教えて下さい

浜内:PRは「社会と対話する」ことなので、「コミュニケーション能力が高い」ことはもちろんですが、できる広報、PRパーソンの“できる”というのがポイントだと思っていて。やはり言葉に重みとか愛情を乗せないと響いたり相手に届かないなと思ってるので、携わっている会社やサービスへの愛情が深い方でそれが発信から伝わってくる方ができるPRパーソンだなと特に思いますね。

下村:広報って関係構築が仕事なので、コミュニケーションが仕事ではあるんですが、 大事なのってもっと先にある目的だと思います。「広報PR活動を通して、関係構築をする」っていうことをゴールに置くんじゃなくて、その先にあるマーケティング価値とか採用インパクトとか、投資家からどう見られるかとか、企業がどう成長していくのかっていうところを、 各CXOと基礎知識を持って対等にディスカッションできるかなと思っています。

3, マーケティングを学ぶにはどうしたらいいですか?

田岡:自分がマーケティング1番学んだなって思う経験を振り返った時に、自分で商品を作って売るような全プロセスできることが大事だと思います。
コミュニケーションだけ、商品作りだけより全体のプロセスを経験することがとても大切です。

小さい単位でもいいから、何か作って売ってみる、イベントをする、飲み会をするなどでも勉強になると思います。

4, メディアリレーションで一番大切なことは?

下村:最近記者さんとお話をしてた時に聞いたのですが、記者宛に大体1日に200件から300件ぐらいメールが届くんですよね。流石に見切れないのでフォルダ分けしてるっておっしゃっていて、この広報から来たメールはどれだけ忙しくても後で見るっていう分類があるとおっしゃっていました。そのフォルダに入れてもらえるかが1番大事かなと思っています。

大﨑:そのフォルダに入れてもらえるための秘訣はありますか?

下村:相互理解かなと思います。媒体特性、どんなコーナーがあるか、どんなことを取り上げているのか、あと記者の担当領域とか興味領域を理解していることなどメディア側を正しく広報が理解することが大切です。

5, できるマーケターはどんな人?

田岡:一言で言うと、顧客を作れて、 価値を作れて、売り上げを作れる人だと思います。例えば会社員を想像した時に、給料いただいて、その会社の人は食べていけるので、売り上げ立たないと話にならないです。いかにコミットできるかだと思います。とはいえ、ほとんどの戦略は失敗するので、あらゆる手を尽くして価値を作ることができるかが大切です。そのためにはブランドへの愛が必要だと思います。

あとは執念みたいのもあるかなと思います。

6, リリースの書き方で最も抑えるべき型はありますか?

浜内:プレスリリースは公式文書であるということを意識して、正確な日本語を使い、感嘆符(ビックリマーク)の多用や絵文字、砕けた表現の使用は避けることですね。とある新聞媒体の記者の方とお話しした際に、タイトルにビックリマークがついてるプレスリリースは読まないとお聞きして、ビックリマークを多用しないようにしています。また、ニュースバリューを意識しています。例えば時流に乗っていることや季節性、意外性、希少性も入れつつ書くのがいいかなと思っています。

田岡:タイトルとかサムネイルとかってすごい大事なんじゃないかなと思っており、実際どれぐらい大事なのかなと思っています。

下村:タイトル95パーセントぐらいかなって思っていて、タイトルとKVでほとんど決まると思っています。記者は忙しいので、興味を持って読んでくれてもタイトルととリード文ぐらいで決まると思ってます。


7,マーケティング戦略の重要性をどのように社内orクライアントに浸透させ実行に移しているのか?


桜井:この手の質問も多いですよね。社内とクライアントによっても結構違う気がしてて。社内結構苦手でした、失敗して階級を落とされて干されてるので(笑)

大﨑:僕も桜井さんも退職note(※有料)出していてそこに赤裸々に書いています。

桜井:組織の課題があるから、売り上げが下がったり、実装ができないって言うんですけど、逆で、売り上げが下がるから、組織の課題が顕在化するってロジックになります。売り上げは全てを癒すみたいなことを言うんですけど、あれは癒されるんじゃなくて、ただ隠れてるだけ。

売り上げが落ちると成長が止まり、問題探しが行われ、ネガティブ思考になり、犯人探しが始まってしまう。売り上げが下がってるタイミングで実装って結構難しいと思うんですよ。売上が上がったタイミングで実装に着手する、悪い時はじっとしています(笑)

8, インナーブランディングを築くための具体的な広報活動を教えて下さい

下村:どんな共通認識を社内で持ちたいかだと思っています。 「自社は何者で、どこを目指していて、何が特徴で、どんな組織なのか」という共通認識を全社員が同じように考えられるかが重要です。自分の部署のことは詳しいけど、 隣の部署のことは詳しくなかったりして、全社としての武器とか価値を理解していないケースって全然あるかなと思っています。

具体的な活動で言うと、社内の勉強会、社内報を作る、ステークホルダーを巻き込んでイベントやるなどと、具体的な方法は無限にあります。

大﨑:まさに経営に紐づく活動なんですね。

浜内:自分以外の部署で何をやってるのか知らない人が多いんですよ。インナーブランディングの役割として、 この部署はこういうことやってるよっていうのを全社員に知ってもらうのも重要だと思っています。

9, マーケターとして、マーケティング以外で必要なスキルセット

田岡:ちょっとわかんないですね(笑)なぜかというとマーケティングとそれ以外って分けてないからだと思います。

私もネスレの時にマーケティングってキラキラしてるなと思ってたんですが、実際の仕事って95%はオペレーションで、マスター登録したり、顧客に土下座しに行ったりとかも重要な仕事です。まず 自分が1人目の消費者・顧客だと思うし、周りの人もその次の顧客だと思うし、そこからって広がっていくので、インナーブランディングもマーケティングだと思っています。そこも含めてあらゆる手を尽くして、価値を作り、売り上げを作るってことで言うと、全部マーケティングだよっていうのは結構あるんじゃないかなと思っています。

桜井:僕も犯罪以外はやると決めてるんで(笑)

大﨑:この2人に質問したのがよくなかったです!飛んじゃってます(笑)

10, メディアリレーションにおいて、どれくらいの頻度でメディアとコミュニケーションを取られてますか?

下村:頻度を先に決めちゃうのはナンセンスかなと思ってます。大事なのは、自社のことをどのくらいちゃんと理解してくださってるかと、自分たちがどのくらいメディアのことを理解しているかだと思います。電話をかけて不在だった時に、 折り返ししてくれるような関係性ですか?、覚えられてますか?とかも含めてですね。

例えばメディア・担当者ごとに関係性をa、b、c、dとかに分けてました。
・メールを送れるだけ、アドレス持ってるだけの人がd、
自社のことを理解してくれていて、情報をウォッチしてくださっている、連絡をしたら基本的に返信があるがa
ちゃんと関係値をつくりたい媒体の人たちがa郡に上がっているかどうかが重要で、接触頻度を上げれば関係値が上がるっていうものではないと思います。

なぜaに上がっていないのかを分析して、頻度を上げた方がよければ頻度を上げるし、そうじゃなくて会社の理解が必要なんだったらそれをしていただけるようなアクションをすることが重要です。

浜内:会食することが目的になってしまうので、「記者と繋がるために、こういう文脈でこういうイベントをやり、そこで繋がってコミュニケーションを取っていこう」など記者と良い関わりができることを企画し実行していました。どれだけ効果のあるアウトプットができるかに重きを置いていたので、とりあえず記者と飲みに行こうとかは一切しなかったです。

マーケ×広報 お互いの疑問編

この章では、マーケ・広報お互いが日々感じる疑問をぶつけ合い、ディスカッション形式で深掘っていきます。

11,ご自身がマーケを離れてPR・マーケ担当になったらどんな立ち回りをするか?

田岡:PRっていう役割の前に、そもそもビジネス目的なんなのか、 何をしていきたいのかの戦略の合意が重要かなって思います。 その上でパブリックリレーションズだとしたら、メディアやステークホルダーを理解を深めるって、顧客の理解を深めると同じかなと思います。自分はまだメディアのことはよくわからないんで、まず会いに行ってその中でのいわゆるインサイト的な、何に困って、 何が嬉しいのかなみたいなことを勉強しに行くんじゃないか思います。

大﨑:下村さんがPR担当から離れてマーケ担当になったらどうしますか?

下村:私も顧客のことをすごく理解するのと、市場、競合、業界とかがどうなっているかを分析するので、結構 今やってることと実はそんなに変わらないと思います。その上で、目的がそのステークホルダーとどう関係構築をするかじゃなくて、どう売り上げを上げるかに比重が変わると思うので、会社を成長させるために 何をするべきかのHowが変わってくるかなと思います。

大﨑:マーケティングで顧客理解のために、インタビューとかよくやるじゃないですか。PRでもやったりしますか?

下村:ニュースになるのって、やはり一次情報なんですよ。例えば ですが、トウモロコシの市場価格がこのぐらい上がってます。「トウモロコシの農家さんはこう言っていて、この産地の農家さんも、この産地の農家さんも、ここの産地の農家さんもこう言ってます」みたいなのがニュースになったりするので、いかに顧客を理解するか、しかも超解像度高く会話レベルで 出てくるぐらい理解できているかが重要だと思ってます。

大﨑:逆に田岡さん、先ほど言ったインナーブランディングみたいな観点でどのように立ち回りすると思いますか?

田岡:インナーブランディングって、何を目的にやるかとか、なぜ必要なのかって、ほとんどの人は言語化できなと思っています。そこから多分始めるのすごい大事なのかなと思うんですよね。ブランドって、「一般的にマーケがするんでしょ」と思うんですけど、実は他の社員や業務委託の方も含めてワンチームだよねみたいな話が大切だと思います。

広報やPR施策に費用を投じるとしたらリターンをどのように計測して承認しますか?

桜井:大体僕、販促比率いつも5%ぐらいで見てるんですよ。仮に50万かけたら、その20倍ぐらいが実際の売上数字になってくるので、果たしてそれだけ売れるビジネスモデルなのか。だったらそのメディアやんない方がいいですねとかの議論になりそうですね。
まず数字で見た上で、回収できなくても認知になるよねとかですね。2~3年後に聞いてくるのか、5年後なのかなど結構なんか営業戦略に似た要素もあると思います。

大﨑:逆にマーケも広報も兼任された浜内さんはどう考えてますか?

浜内:各部署のKPIに対して広報がいかに貢献できるかを意識していました。営業部や海外部など各部署のマネージャーに時間をもらい、各部署の今期目標をヒアリングして把握した上で、PR視点から「広報部がこういうことやればそのKPIに寄与できますよね」などを議論して、全部署のPR施策を作り、社長に提案していました。

下村:メディア露出などをきっかけに問い合わせが5件来ましたってなったら、2ヶ月分の営業マンの稼働がペイできるとか。採用応募も同様で、応募してきた人がすごく自社理解が良くて、歩留りが高いとか、そういうデータを出して、 採用やマーケや営業に、どう貢献できたかを振り返って数値化するのもよいと思います。

大﨑:ブランディング22の法則っていう古い本が好きなんですけど、そこに書いてあるのは、ブランドを始めるのは広告じゃなくてパブリッシティーブランドを離陸させるのはパブリッシティーだって書いてあったんで、PRは数値が曖昧で見えない部分も大きいけど、採用だったり営業だったり多角的な視点で考える必要がありまね。

13, マーケとPRは1人で担えるのか?

桜井:地方ってマーケ部もないし、広報部とか絶対ないですよね。だからだから兼任せざるを得ない。
僕も大体今2万5000人ぐらいフォロワーがいて、1日30投稿ぐらいして、月に9万字ぐらい書くようにしてるんですよ。僕みたいに小さい会社は社長が広報やらないといけないので、もういいからやれよと思ってます。

大﨑:スタートアップのシードフェーズからご経験のある下村さんいかがでしょうか?

下村:フェーズによっては人件費をかけられず、まずは営業で目の前のクライアントに営業していくってことがビジネスモデルによっては先決だったりするケースもあると思うので。マーケと広報兼任のケースも多いと思います。

大﨑:「1人広報」って本はよく見ますが、「1人マーケ」って本を見たことがないのは何故だと思いますか?

下村:自論なんですけど、PRって一概に目の前の売り上げを作る部署じゃないので、投資しにくいんですよね。多分1人専任を置くこと自体、結構投資してると思っていて、マーケはわかりやすく売り上げを作れるし、その人件費に対するロジックも立てやすいんで経営としても投資しやすいと思います。なので会社が大きくなるまでは1人広報でよろしくってなることが多いと思います。

田岡:あえて、広報をやらないとかマーケをやらない選択をする会社は正直あってもいいかなと思います。やっぱりその世の中に対して価値を想像していく時に、やらないこと決めるのが大事かなと。

14,マーケターと仕事をする広報PRパーソンに意識してほしいことはありますか?

田岡:事業理解、顧客理解、ブランド理解が大事だと思います。実はその商品のこと知らなかったり、使ったこともなかったり。もしその製造業だったら工場に行くとか、なんかそういうこともすごい大事なんじゃないかな
と思っています。

浜内:マーケティングは、広告費をかけて自分の言いたいことを広告に乗せてできるじゃないですか。でも広報になった時に、言いたいことをメディアがそのまま書いてくれるわけではないので、メディアに言いたいことを取り上げてもらう上でそれって社会にとってどういうメッセージがいいのかを意識することが大切になってきます。マーケターにもニュースバリューを意識してもらうことも大切だと思います。

桜井:向かう場所は若干違いますけど、やっぱ共通のKPIとか共有できてるといいかもしんないですね。被ってる仕事なので、リードまではマーケだけど、広報PRでメディアに取り入れると一気に跳ねるケースも多いので。
その辺りの勘どころを共有できてると、戦略が変わってきそうな気がするんで仲良くしとくといいかもしれないですね。

下村:相互理解に尽きるんですけど、各チームがどんな課題を持ってどんなミッションを持っていて、どんな強みを持っているので、広報として助けられる・一緒に動ける部分ってどこなんだろうとかは考えていました。

大﨑:社内の相互理解を進めるのは広報だけでなくマーケでも大切ですか?

田岡:めちゃくちゃ重要ですね。社内のことを知らずにマーケティングをしているとしたら、良いマーケティングはできないはずです。マーケティングコミュニケーションしかやってないとかプロダクトマーケティングしかやってないんだと。

あらゆる手を尽くす観点でいろんなところにヒントがあるはずなんで、むしろコミュニケーションがほぼ仕事でしたね。

浜内:
私も会社員時代を振り返ってみたら、記者と飲むよりは、社内の多くの人とあえてご飯に行っていましたね。「これ早く言ってくれればPR的に引きがあるネタだったのに」みたいなことってたくさんあると思うので、いろんな社員とのコミュニケーションをとることで、PR的にいいニュースがあった時に気軽に情報提供してくれるので、社内のいろんな人と顔見知りになっておくことで相談されやすくなると思います。

マーケ×広報 お互いの溝と解決編

この章ではマーケと広報が手を取り合い、会社を強くする最強のパートナーになることを目的としたディスカッションをしていきます。

15, 広報はマーケティング活動のひとつと言われることもあるがその点についてどのようにお考えですか?

桜井:好きですよね、こういう質問(笑)マーケもよく言うじゃないですか、戦略の上流・下流みたいに。確かに類似してるものが多く、広報はマーク活動の1つと言われるし、でもマーケ広報の1つと言えるし円が重なってると思います。なのでやれる人がその部署でやったらいいんじゃないかと思います。

下村:マーケティングの1つだと思いますし、逆も然りです。両方相互関係かと考えています。私も広報という肩書きでお仕事はしてますけど、多分マーケティング的な視点とか、マーケター的強みも備えていると思います。リソースは限られてるんだから、今あるピースで最大限顧客貢献しましょうって話だと思うんです。

でも、概念としては、「マーケティングPR」をやる上で、前提としてマーケティング戦略がないといけないとは思っていて、だから「マーケティングPR」をやる上では、マーケティングの方が先にくると思ってます。その上で、 Howの1つとしてPRがあると思っています。

浜内:マーケターをやっていたから、初めて広報を担当することになった時もうまく適応できたかなと思っています。そもそもマーケティングの概念、すごく簡単に言うと売り上げの仕組みを作ることじゃないですか。その中でPRもマーケティングの一部なのではと思っていて、広報部は社会コミュニケーションが得意な人、マーケティング部は売り上げを伸ばすのが得意な人がスキルとして集まっていると思うので、それぞれ得意な人が担当するのが良いと思います。

田岡:広報とマーケティングの定義問題はありますが、この質問者のスタンスはある意味良いと思います。なぜなら、広報のことをマーケティングだと思っているとしたら、自分が広報もやってるという視点を持つことがすごい大事なんじゃないかと思います。全て含まれてるんだっていう風に思える人こそ、経営者に近いんじゃないかなと思います。

大﨑:今回のイベントもマーケが50人、広報が15人くらいしかいなくて、これはマーケがマウントを取ってるからなのではと思っています。この会場の中で「マーケちょっと苦手」という人いませんか?

Aさん(会場の方):横文字を多用するから苦手

桜井:ちょっと難しく言いがちだし、マーケが一番偉いと思っている人もいると思うます。

下村:マーケと広報では思考回路というか特性が違いますよね。広報の人って社会の潮流とか波みたいなものに敏感ですし、関係構築とか応援・共感してもらうとか、人の気持ちを察知するとか、そっちに比重を置いている印象が強いです。マーケはどちらかというと顧客に対して何を貢献できるのかをひたすら考えている印象があります。広報がマーケ側の強みを持ってたら強いと思いますし、マーケが広報的な強みを持ってたら強いなと思っています。

16, マーケティングと広報PRの連携のメリットはどのようなところにありますか?

田岡:連携せずに広報PRできるのかなって思います。広報PRって、何かを広く伝えることだと思いますが、何を広く伝えるかが合致してないと、全然違うベクトル向いてしまいます。ビジネスのインパクトを最大化するためには連携は増すべきだと思っていて、手段が違うだけで、同じ目的に向かうべきだし、1番パワフルにワークするのは同じKGIを持っている時だと思います。

下村:広報PRは会社の情報をマネジメントして、何をどう発信するかを決めて、ステークホルダーと関係構築をしていくっていう仕事なので、売り上げを作る根幹にあるマーケティングと連携をしないっていうのが過去一度も経験がないです。
CMO直下の広報がいるケースや、CEO直下やコーポレート部門にいるのケースもあると思います。CEOの直下だと横断的に広報することも多いですよね。
でもコーポレート部門の直下にいる時って、割と採用広報や投資家向けのコミュニケーションとかに比重が置かれているケースが多いかな、と。でも採用する人って、自社サービスの強みや特性、お客さんってどんな人がいるのとか絶対知りたいはずで。それを発信する広報が、解像度が低いっていうのは避けた方がいいかなと思ってます。

浜内:私が他社で連携がうまいなと思った最近の事例でいうと、資生堂さんが「ファンデ美容液」という新しい化粧文化を提案して日経トレンディ「2024年上半期ヒット大賞」を受賞しています。美容液が多く入っているファンデーションは韓国コスメなどでも昔からあったんですよね。ですが、「ファンデ美容液」というワーディングでその文化・カテゴリーを作りPRでも広告でも発信していくことで、メディアにも多く取り上げられて、インフルエンサーにも広告で、「ファンデ美容液」というキーワードを発信してもらうことで、売り上げも伸ばしている。その事例を見て、PRとマーケが連携して社会記号を一緒に作っていく重要性を感じました。

桜井:マーケってアクセル全開系が多い気がするんですよ。なので結構コンプラとかリスクとかを広報PRの方々が担っていただいてるケースがあるなと思ってます。僕もあんまリスクとか考えないんで(笑)

17, 広報とマーケがそもそも連携してません。どこからメスを入れますか?

田岡:1番真面目にやるとしたら、やっぱりOKRの部分は大きいと思います。
広報の目的はなんなんだ、マーケの目的はなんなんだみたいな。何がオブジェクティブなのかってことがそもそもずれてるパターンの方が多いと思っています。目的が定義された時に、当然連携せざるを得なくなると。なので、そこからメスを入れるっていうのが1番私が やるな多いパターンかなと思います。

桜井:このパターンって、評価制度入れましょうとかってよくあるんですよね。結局運用できなかったみたいなケースも割とよく見るんですよ。評価制度だけじゃなくて、結局ソフトの部分が問題なんじゃないかなという風に思います。その理由が、戦略がないことなのか、上長同士の人間関係の問題なのか、マーケ部が強いなどその会社の文化的なものなのか。どこに課題があるかみたいな、まず色々聞きはあるかもしれないですね。

下村:目的を合意形成しましょうっていうところが1番かなと思っています。それができた前提で、次のステップとしては、 相互理解だと思います。それぞれが今何を課題感持っていて、どこを目指していいのかみたいなところのの理解と、これまでの施策やってどうだったかとかも含めての理解ですかね。

浜内:マーケに限らず営業など数値目標を抱えている部署は、各自の数値目標がありそれに日々追われているかと思います。なので、広報や他部署と連携する余裕がない人も多いのではないかと思います。広報は社内外で関係構築するというのが仕事なので、私がやるとしたら、広報に部署連携をするプロジェクトリーダーを担ってもらって、広報からマーケに歩み寄りに行くと思います。

大﨑:広報1人、マーケ複数人のためパワーバランスが悪くなり分断されてるケースがあるのかなと思うのですがどうでしょうか?

下村:そういうケースがすごい多いですよね。私の前職の場合は、経営がめっちゃ広報重要視してたので、社長とずっと一体となってできてはいたんですけど、そうじゃない場合は、経営がいて、マーケがいて、広報がいるってなるのはよくあるので、孤立しちゃうと思います。

田岡:まず「お互いのこと深く知らないよね」って前提は結構重要かなと思います。「広報はマーケィテング一部だ」みたいな考え方は別にあってもいいとは思うんですけど、多分その人は広報を専門的には知らないと思うので、その前提でお互いの専門領域を相談しながら成果出していくスタンスは結構重要かなと思います。

大﨑:広報が 関係構築のためにマーケに歩み寄るっていうのはまさに正しいことであるんですけども、僕はマーケの方が広報よりは長いんで思うんですけど、マーケ歩みよれよって思っていて、なんか斜に構えている気がするんですよね。

下村:私は逆のことを思っていて、もっと広報頑張ろうよってずっと思ってます。何故かと言うと、業務の特性上どうしても数値化できなかったり、やってる活動が定量的に分析できない、というところを諦めちゃうケースってすごい多いなと思っています。それはすごいもったいなくて、数値では語れなくてもなにかしらのロジックはつくれるかな、と信じています。なのでマーケと同じ共通言語で、ちゃんとパートナーとして頼ってもらえる広報であるべきだと思います。

私も日々マーケティングのことは勉強してるんですけど、 お互いに研鑽し合う関係性が必要だと思ってます。

田岡:今のマーケですごい広報的視点が足りないとすれば、顧客だけと向き合えばいいみたいなのはあると思うんですよ。社会とどう向き合うか、メディアとどう向き合うかって視点は、多分今のマーケティング業界であまりまだないと思っていて、学ぶべきところもあると思います。

逆に広報がマーケから学んでこれができたらすごい変わるのになって思うところは事業に紐づく数値化をすることが大事かなと思ってます。広く報じてるとしたら、その結果として何かあるはずなので、そこの数値化によって仕事内容をもっとインパクトが出てきたりするかなと思って、お互いまだ業界として足りないとこあるんじゃないかなと思っています。

大﨑:今日の結論としてはマーケPRの分断や連携という話ではなく、マーケ=広報・PRだし広報・PR=マーケなんだから、お互いやれる人がどんどん経営の視座を持ちながら頑張っていきましょう!で良いかなと思ってます。

参加者の皆様へ

今回は132名のお申し込みをいただき、経営者、マーケター、広報・PRの方の質問に答える形でイベントを行いました。誤解だらけのマーケ×PRはお互いの解像度の低さが起因してると思います。

僕はマーケと広報を幸いにも兼任できたことでどちらの仲間の声を聞くことができました。広報はマーケと手を取り合う大切さを感じているが、歩み寄れない難しさに悩んでそうです。逆にマーケは「広報はマーケの一部」と解像度の低い感想を持っているにも関わらず、広報・PRを扱えるマーケターは一握りで、広報の本を読んだことがない人も多いのではないでしょうか。

僕はマーケターと名乗ることも多いので敢えてマーケ側へ辛辣に書いて言いますが、お互い研鑽とリスペクトと対話を増やすしかないと思っています。

来年は広報の方がもっと来てくれるようなイベントにできたらと思うので、またご参加お待ちしております。

Hinotoriについて

業務委託、インターン、エンジェル投資家、ボランティア、宿の娘と愉快です

「地域のまごころが報われる世界を創る」をミッションに掲げた地域観光と旅館向けのスタートアップ企業です。2024年3月1日より創業し、①地域旅館・観光施設のコンサルティングサービス ②地域観光と旅館のショート動画メディアHinotoriの運営 ③地域観光と旅館の予約システム開発を実施しております。

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会場「STUDIO VIZZ EBISU」について

「人々が自由な発想で交じり合い 新しい未来を創造する」 STUDIO VIZZ EBISUは、2021年10月に恵比寿で誕生したレンタルスペースです。 多様な人々が交じり合い自由にクリエイティブに取り組む場所として、 新しいコミュニケーションを発信していくことを掲げています。

・キャパシティ:10〜200人程度のオフラインイベント開催が可能
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