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はじめまして

note始めてみました。初投稿なのでまずは自己紹介を。

現在アメリカ、ロサンゼルスを拠点に活動しているギタリスト中村陽平です。

神奈川県川崎市出身。15歳からギターを始め日本では東京コミュニケーションアート専門学校に通い、アメリカに渡った後はロサンゼルスのLAMA(Los Angeles Music Academy)とボストンのバークリー音楽大学に通い音楽を学びました。

バークリー卒業後ロサンゼルスに戻りセッションギタリストとしてこれまで様々なアーティストと演奏してきました。

noteを通じて自分の活動の記録や身近のギターや音楽に関する事などを綴っていこうと思っています。

初回の投稿は2013年から現在に至るまですごくたくさんの経験をさせてもらってるスティービー・ワンダーのお仕事に関するエピソードをひとつ。

僕は今まで何回かインタビューを受けた事があるのですが、その時によく聞かれる質問で、スティービーの仕事を始める事になったいきさつについてお話します。

スティービーの仕事は2013年にオーディションを通じて始める事になりました。

ある日、ロサンゼルス郊外のとあるホテルのラウンジで演奏する仕事で一緒に演奏していたベーシストから「スティービー・ワンダーがギタリストのオーディションをやるらしい」と聞いたのです。

ひと昔前ならまだしも今時ミュージシャンを探すのにオーディションなど滅多にやらないのです。何十人もオーディションするとなると時間がかかるし、スタジオを押さえないといけないのでお金もかかります。人づてに誰かいい人いない?って聞けばギタリストなんていくらでもすぐに見つかるし、ましてやスティービー・ワンダーともなれば周りの人間に聞けばすぐ一流のギタリストが見つかりそうなもんです。

だからオーディションの話を聞いた時、最初は半信半疑でした。

スティービーのバンドメンバーにはロサンゼルス在住のミュージシャンも何人かいて、僕はすでに当時のスティービーバンドのギタリストとも知り合いでした。そこで彼に聞いてみるとなんとオーディションは本当との事。スティービーは普段二人のギタリストを使うんだけど、他のツアーでスケジュールが合わないなどの理由でどちらかのギタリストが出来ない時の穴を埋めるためギタリストを探していたそう。

オーディションの情報自体は口コミだったので何百人も押しかけるって事にはならなかったけど、当日集合時間のお昼の12時にスタジオに行ってみると30〜40人ほどのギタリストが来ていました。

相当気合いが入っているのであろう、それ絶対にスティービーの音楽に使わないだろうと思われるエフェクトをたくさん乗せた超巨大ペダルボードを持って来たおそらくロック系のギタリストやどこでオーディションの話を聞き付けたんだろうというようなギター担いだおばあちゃんまで色んな人がいてちょっと面白かったです。

なんの曲を弾くか等の事前情報は一切なかったので有名な曲は大体おさらいして行きました。当日発表された課題曲は「Higher Ground」「Lookin' for another pure love」「Send one your love」の3曲。

「Higher Ground」は有名なので知ってる人も多いでしょう。

「Lookin' for another pure love」はアルバム「Talking Book」に入っていてジェフ・ベックがギターソロを弾いている曲です。スティービーのファンなら知っている方もいるかもしれません。オーディションではそのギターソロも弾かされました。

最大の難関は「Send one your love」。かなりマニアックな曲でコード進行がかなり複雑です。

15分後にオーディション開始すると言われ急いで携帯を取り出して「Send one your love」のコード進行を一生懸命さらいました。ヘッドホンも持ってきていなかったので携帯のスピーカーから流れる、しかもYouTubeに上がってたベース音もわからないくらい低音質のライブ音源を聞きながら何度か曲をさらっていると、なんと1番目に呼ばれてしまいました。

スタジオの中はわざわざこのオーディションのために本番ステージさながらに全ての楽器がセットアップされていて、ギタリスト以外のスティービーのバンドメンバー達もそこにいて一緒に課題曲を弾く、という流れでした。スティービー本人はそこにはいなくてスティービーの長年のミュージックディレクターでベーシストでもあるNate Watts(ネイト・ワッツ)が仕切ってオーディションを進めていました。

曲もうる覚えの状態でなんとか全曲弾き終えるとネイトから、夜に戻って来て第二審査を受けろと言われました。

第二審査で何をするのかと思ったら全く同じ3曲を弾くとの事。しかしスタジオに入るとなんとそこにはスティービー本人がいたのでした。

すでにチャカ・カーンやシーラE.などのアーティストと共演していた僕はよっぽどの事がない限り緊張する事はないと思っていましたが、これはよっぽどな事だったのです。

すでに昼間弾いた曲だったのに緊張でガチガチになっていた僕は普段の半分の力も出せずボロボロの演奏だったのです。正直オーディションが終わった時には絶対に落ちたと思っていました。また一から出直そうと決意しつつガックリうなだれて家路に向かったのでした。

ところが後日ネイトから電話があり、第三審査をやるので今度のスティービーのニューヨークでのショーに一緒に来いと。第二審査を受けた中で僕ともう一人が選ばれてニューヨークのショーの前のサウンドチェックで弾け、との事でした。

バンドメンバーやスタッフ全員サウンドチェックでバタバタしながらの中で自分の音も満足に聞こえなくて正直スティービーもうちらの音聞こえてるのか?っていうくらいの状況で何曲か弾いてその場は終わり。

本番のショーは僕ももう一人のギタリストも傍で普通にショーを観て翌日ロサンゼルスに戻りました。

結局どうなったんだろう?と思いつつ数週間ほど経ったある日またネイトから電話があり、今度のスティービーの香港でのショーで演奏しろと言われたのでした。

この香港でのショーが僕の初めてのスティービーとの仕事となり、それ以来数々のショーで演奏する事になるのでした。香港の時の話はまた別の機会に書こうと思います。

絶対落ちると思ったオーディションからまさか人生ひっくり返るくらいの大きな仕事に繋がる事になるなんてアメリカ特にロサンゼルスはどこにチャンスが転がってるかわかりません。すごく夢のある街だなと思います。

これからも色々な経験談をこのnoteに書き綴っていこうと思うのでよろしくお願いします。

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