〜6ヶ月間の挑戦から学んだ〜IVRy流事業開発で得られる5つのキャリアスキル
はじめましての方も、そうでない方もこんにちは。IVRyで事業開発(BizDev)をやっているyohei (@yohei03)と申します。IVRy のアドベントカレンダー11日目として、事業開発で得られる5つのスキルについてお話ししようと思います。
IVRy のアドベントカレンダーは毎年職種に限らず全職種でやっています!今年初参加の私ですが、様々な職種の記事を見ていただくことで 現在のIVRy のことがかなり立体的に見えてくると思います。是非ご一読いただけると嬉しいです。
テーマと私について
自己紹介は以下の入社エントリーをご覧いただきたいのですが、IVRyに入社して約半年が経った人間です。
これまでは大きな規模の会社でマーケティング戦略や事業戦略などを担って来たのですが、IVRyで初めての事業開発職のチャレンジを始め、徐々に色々なものが見えてきました。
今回はこの記事では、事業開発とはなんぞやを語ることより、IVRyでの事業開発職によって得られる経験と職業人としてのキャリアにフォーカスを当てて、書いてみたいと思います。私が今取り組んでいるものはまだ世に出していないものが多いので、それの苦労話はまた別の機会にお話ししたいと思っています。
IVRyの事業開発そのものについては事業開発のVP of BizDevである宮原(@shinobu_m814)の記事もご参照ください。
大企業とスタートアップにおける事業開発の違い
読者の方には「事業開発ってよく聞くようになったけど、実際何やってる人かわかんないよね。なんか大変そうだけど、何をやってるかはわからない」というのがありそうです。実際に私も知人や友人からIVRyに入社した時によく言われたのです。
一般的には多少の言葉の違いはあれど、定義は以下のような定義がGoogleやChatGPTで検索しても出てくることが多いです。一言で言えば「新規事業担当」と言われることもしばしばです。
ただし、スタートアップと大企業では、以下の点で大きく変わるのだろうと感じています。私もこれまでどちらかと言えば大企業で働いていたキャリアのため、その違いを半年でも感じています。
リソースの違い
大企業は豊富なリソース(資本、人材、ブランド、顧客基盤)を持っています。
一方で、スタートアップは明確なブランド基盤や安定した顧客層をまだ持っていないケースも多く、事業開発は未知の市場を素早く開拓することを求められます。プロダクトマーケットフィット(PMF)を達成するまで、顧客との対話を繰り返し、継続的なビジネスモデルを磨いていく必要があると考えます。
既存事業とのシナジーや社内のプロセス・ガバナンス
大企業では、すでに確立した事業領域とのシナジー(相乗効果)を念頭においた事業開発が多いです。私がいた前職のメルカリもそうして事業領域を拡大していました。既存の顧客基盤や技術資産、チャネル網をどう活かして新規事業を作るかということが前提条件になっていることもしばしばです。
スタートアップにおいてはまだそこまで既存事業とのクロスセルやシナジーが絶対条件ではない状況なので、大企業のように多くの社内調整や精緻な承認プロセスを重視する必要がある環境とは異なります。
スピードとアジリティ(俊敏性)の重視
大企業ではコンプライアンスやガバナンス、リスク管理のルールが厳格であり、事業開発もそれらに則る必要があります。そのため、スピードよりも手続きや精緻な検証プロセスを重視する傾向があります。
スタートアップの場合は限られたリソース(ヒト・モノ・カネ)で素早く市場にアプローチし、プロダクト/サービスの価値仮説を検証をとにかく高速で回して、事業モデルを洗練させることが必要なので、事業開発担当はスピード感のある意思決定や試行錯誤が求められ、仮説検証ベースで行動する必要があると思います。
キャリアにとっての5つのメリット(私見)
前置きが長くなりましたが、事業開発に挑戦するのは皆さんのキャリアにとってどんなメリットがありそうなのかを私自身の視点で話したいと思います。
初めに結論ですが、私自身はこのチャレンジをして良かったと思っています。40代で初めてのスタートアップで、SaaS経験もないなかで心折れそうな時もないといえば嘘になります。産みの苦しみがある仕事です。若い方が多いスタートアップの中では遅いタイミングかもしれないですが、それをさし引いても意味と意義が大きいと思っています。
ではそう思った理由を5つお話します。
1. 多面的なスキル獲得・スキルポートフォリオの強化
前述の通り、大企業はリソースが豊富で機能分担しており、事業開発担当は戦略立案や組織内調整、アライアンス調整に時間を割くことが多いと思われます。(それはそれで重要なスキルなのですが)
スタートアップでは、マーケットリサーチ、プランニング、プロダクト改善フィードバック、外部提携交渉、顧客開拓など多岐にわたる業務に直接携わることになります。
さらに、IVRyのBizDevは事業責任者として1つのプロジェクトのオーナーになることが多く、IVRyは開発チームも自プロジェクトの中に入ってもらい、開発プロダクトについても意思決定しリードします。テクノロジーとビジネスを両方見れる仕事というのは、通常の企業で言えば、経営に限りなく近いのではないかと僕自身は捉えています。
こちらの図では、宮原がBizDev人材のスキルセットを整理していますので、ご紹介します。
これが、経営層に近いポジションでの将来キャリアや、独立・起業を考える上での総合的なビジネススキルポートフォリオの強化につながります(ビジネスって大変だ。。。改めて)
ただ、ご安心ください。もちろん全てを自分でやる必要はなく、そのためにプロジェクトチームがあります。例えば私の場合は、チームにPdMがおり、開発アイテムに関しては彼と二人で意思決定をしていくようなスタイルをとっています。
2.スピードと実行力の強化
良くも悪くも大企業では戦略立案や意思決定に時間がかかりがちで、その中で事業開発担当者は特定業務の一部分を担うこともしばしばです。
スタートアップでは、事業開発担当者は単なるプランナーではなく、営業活動、提携交渉、ユーザーヒアリング、製品改善へのフィードバックなど、幅広いタスクを自ら手を動かして行います。組織規模が小さいため、権限の範囲が広くなり、実行能力が重視されます。これまで培った戦略思考に加え、自ら手を動かして事業を前進させる実行力を鍛えられます。
これにより「考えるだけ」でなく「動かす」能力を自分のスキルセットに追加できるため、キャリアの幅が広がっていると考えています。
私の場合で言うと、自分で顧客リサーチをし、ソリューション仮説(≒プロダクト)をたて、事業計画を作ったものを、自らが顧客を集客し、商談してテスト販売するという、プランニングから実行まで全てに関わっています。
そこで得た顧客の課題やユースケースをさらに紐解いていき、戦略や事業計画を見直すなどはリアルにこの半年に幾度も起こっています。
この体験ができるのは今のIVRyのフェーズと規模だからこそとも思っていますし、貴重な経験ができていると思っています。
3.経営視点・ゼロから価値を創出する経験の獲得
僕らもですが、スタートアップは大企業と比較し、事業基盤が盤石ではないこともあるため、その顧客開拓、サービス改善、パートナーシップ構築、資金調達など、事業を生み育てるプロセスに初期段階から関われる機会も特徴だと思います。
これにより一層事業全体を俯瞰する能力が磨かれ、ミクロ(施策レベル)からマクロ(経営戦略レベル)まで一貫した視点で価値創造をリードできる知見が深まります。
私の場合も、自分の事業がどのように経営にインパクトするのかしないのか、それは次の資金調達や時価総額にどう影響するのか、PLを短期と中期両方の視点で、事業成長だけじゃなく企業全体の成長視点で見ているか、など企業の一部門にいるだけでは見えないものに多く関われるのはビジネスパーソンとしての視座が高まっていると日々感じています。
こちらの図では、宮原がIVRyのようなコンパウンドスタートアップにおける、BizDev人材の主要領域を整理しています。IVRyのBizDevは、事業がPoCフェーズからGrowthフェーズへと進化する過程で、新規事業の立ち上げにとどまらず、1つの会社を運営し、成長させていくような広範な責任を担います。
4.市場における価値向上
スタートアップ界隈にいると少し麻痺してくるのですが、実際の世の中の多くのビジネスパーソンはその企業の既存事業に関わる部門で働いている人が比率としては高く、新規事業にはリソースや経営意思、タイミングなども影響し、関わる人はそもそも多くはないはずです。
その中でさらにスタートアップで事業開発に関わった経験はユニークな差別化要素となると考えています。以下のようなキャリアステップが考えられるのではないでしょうか。
新規事業を拡大し、事業部化や事業会社化してその経営リーダーとなる
事業開発ノウハウを発揮し、0→1のスペシャリストになる
「ゼロから事業を立ち上げ、スケールさせた経験」を持って大企業へ転職する
新規事業のコンサルタント・アドバイザーとなる
スペシャリストとはされない事業開発ですが、特定技能はAIに置き換えられていくことも想定される中で、「多面的スキル」「スピード」「経営視点」を持ったビジネスパーソンは市場価値は今後一層高くなるのではないかと個人的には思います。
5.IVRyだからこそ一緒に働ける優秀な事業開発リーダーたち
IVRyは対話型AI SaaSとして、世の中に価値を提供し始めて最近では徐々にその価値に対してありがたく注目度が上がっています。
この記事執筆時点では、事業開発にはファウンダー兼CEOの奥西(@onishiki_plus)、株式会社プレイドで事業開発管掌の執行役員だった宮原、スマートニュース株式会社でプロダクト全体を管掌していた町田(@yumachida)も新たにIVRyに加わり、この3人と壁打ちしながら進めることが多いです。
彼らのキャリアはいうまでもないのですが、何よりもビジネスや顧客に対しての視点が常に本質的なので、自分が見落としていた部分がショートレビュー(短い時間の相談)でもフィードバックとしてすぐ返ってくるのです。
壁打ちと言いながら、マイルドな言葉づかいではありますが、本質突きを見事にくらいボロボロになることもしばしばなのですが、でもそれは非常に稀有な環境であると思います。
「うわーそれ見落としてたなぁ。。。本質的だなあ。。。」といつもフィードバックの後に思うのですが、逆にいうとそれが血肉となり、自分の型になっていく。それが組織が大きくなった時にまた人に私も伝える。それによって成長していく、そういうもんだと思っています。
彼らと同じくらいのレビュワーと日常的に雑談も含めて話せるのはなかなかない機会だと思っていますし、事業開発にチャレンジする環境としては恵まれていると思っています。
苦悩ももちろんあるがそれは成長痛(のはず)
ここまでいいことをたくさん並べましたが、それだとリアルじゃないので、悩むことは日々もちろんあります。僕は鋼のメンタル系人材ではないので、一喜一憂は普通にしています。それも含めて少しオープンにすると、
仮説が間違っていると学びだとはわかりつつもシュンとする
職責範囲が多岐になるので優先度を間違えるとドミノ倒しでタスク管理が崩れる
中期の取組とわかってるけど、短期でも小さくてもモメンタム(outcome)が作れないと焦る
プライシングの難しさで唸る
事業責任者、リーダーならではの孤独
ただ、これらは辛いというより向き合うべき壁だと思っていて、必ず越えられる壁なのだと思っています。
IVRyの場合は事業開発経験者が前述の3人含めて多いのと、"Keep on Groovin'"という互いに認め合って協奏するというバリューに基づいたカルチャーがあり、壁は越えられると思っています。
また、そもそも越えるべき壁も事業責任者として自分で設定できるので、職業人としては幸せな苦悩なのだと言い聞かせています笑(実際振り返るとそう思う)。
キャリアを自分で作る感覚とワクワク
いかがでしたでしょうか。IVRyの事業開発は醍醐味にあふれていて、 私のような40代でスタートアップに挑戦するビジネスパーソンのキャリアにもポジティブなものだと伝われば幸いです。
キャリアの悩みを抱えることも増える40代ですが、IVRyはその選択肢の一つになると、半年が経ち感じています。
間近ではありますが、IVRyの事業開発についてdeepにお話しする機会をいただきました。ぜひご興味あればお越しください!
IVRyがどのような業界でどのようなビジネスに取り組んでいるか、これから新規事業でどういう方向に向かおうとしているのかは奥西の以下の寄稿も参考にしていただけると幸いです。
この未来のための事業を一緒に作りませんか。事業開発の仲間、それ以外も含めて大募集中です。ご興味があれば気軽にご連絡いただけると嬉しいです。
それではみなさま、良いクリスマスと、年末年始をお過ごしください。メリークリスマス&今年もお世話になりました。