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介護福祉士への待遇改善は日本の未来を救う、かもしれない

少し前の話。
映画と映像の仕事が立て込んで投稿できずにいました。寝かせて有料マガジンで、と思っていましたがお題「2020年代の未来予想図」が開催されていることを知り、こちらの方へ応募投稿します。

切実と笑顔の板挟み

2019年10月12日(土)、台風19号がやってくる当日の早朝より訪問介護。利用者さんのお宅に入室して、いつものようにモーニングケアを始める。
しかし、朝食の用意をしようと台所に行くと、よく見る光景がそこにあります。ヘルパーあるあるかもしれませんが、まるである意味、台風が過ぎ去ったかのような後にも見えるんです。
それは食器入れに水切りされてない、ビショビショのお皿たちが乱雑に置かれてあり、食器たちが可愛そうに思えてならないのです。
昨夜のヘルパーさんは洗ったままで拭かない人。夜の介助は忙しくないはずなのに。こういう細部に人間性が出ます。食器を拭くか拭かないか、きちんと棚にしまうかしまわないか。家でもこうなのだろうか。
もしそのヘルパーに奥さんがいたら毎回怒られているだろう。「あなたが洗い物するとかえって汚くなるからやめて!」容易に想像できる。ちなみに直行直帰なので同じ利用者さんに入っているヘルパーでも、実は顔も知らない人が割と多いんです。

間に利用者さんを挟んでの仕事だから我慢できているけど... 研修で何を教わったのだろう。こういった事態はどの利用者さんのお宅でも起こっています。とくにチームケアをしている他事業所には言いにくい場合もあるし、利用者さん任せで介護コーディネーターやケアマネージャーが実態を把握していないことも多々あります。つまり当事者の自己決定・自己責任というやつです。
フィリピンや中国といった海外から来ているヘルパーさんたちの方がよっぽど仕事ができるのではと思う場合も。
日本の介護士、人によるけど実は質が低いと感じることもあります。以前いた特別養護老人ホームでは、放置という虐待=ネグレストの現場を見たことも。看護師も入所者の尊厳を無視するような言動を連発。テレビのニュースなんかで見る介護現場の実態は誇張ではなく本当だったんだと愕然しました。だから経験を積んだ国家資格を持つ介護福祉士の給料の見直しを切に希望します。離職防止のためにも! 何よりも利用者さんや、そのご家族のためにも。今回の記事はそんなお話。

話を戻して台風直撃の日。私の妻は難病です。本当は妻の側にいたかったです。それに映像の仕事の納期が迫っているので、利用者さんの家に泊まらず帰りたかった。そういうことを振り払って介護福祉士として何を優先するべきかを第一に考えました
電車が止まる前、帰れたら早く切り上げて退出できたかもしれませんが、未曾有の台風の時、利用者さんを1人にして帰っていいのか?と、私の方から泊まり介助を会社へ伝えました。夜1人でいる時に水が逆流してきたら? 物が飛んできてガラスが割れたら? 利用者さんは脳性麻痺、ほぼ全介助なので翌日のヘルパーが来るまで恐怖に怯え心細いでしょう。なので残りました。当たり前かもしれませんが、そういった行動ひとつひとつが待遇面に反映されないと多くの人はこの仕事、長くは続かないでしょう。(この日の介助時間は28時間)
一度は憧れて介護業界に入ったけど、イメージしていた世界とは違う..... 給料安いし、友達の方が稼いでるし休みも多いしボーナスもある! 離職するのは当然です。
新しい介護ビジネスのモデルが必要になります。結局誰が近い未来の日本を支えるのでしょうか? 超高齢化社会で少子化です。この問題、いい加減国も本気で考えてほしい。縁の下の力持ちのサポートをしてくれたら、私たちはもっと笑顔で多くの人たちをサポートできるのに。思いやりが根底にある素晴らしい職業の未来、どうかよろしくお願いします。このままだと外国人とロボットの業界になり、日本人の介護福祉士がいなくなってしまいます。

現に、私のSNSを通して数社から「うちで働いてくれませんか?」というメッセージをここ最近よくもらいます。事業者は10年以上勤務を継続している介護福祉士を探してスカウト(引き抜き)しています。もちろん今までのオファーは全てお断りしました。なのでこれから貴重な存在になるでしょう。もしこの記事を読まれいる介護福祉士の方がいましたら、どうか誇りを持って辞めずにこの仕事を続けてください。絶対に必要な存在になりますから。将来的には日本から海外派遣などあり得るかもしれません。同じアジア・中国を見ても物凄く桁違いの超高齢化社会ですから。メイドインジャパンの介護技術を伝えに行く日が来るかも。これまでとは想定外のことが起こると常識にとらわれず気持ちの準備をしていてください。


台風19号・15号の時のツイート

台風当日のツイートには、このように励ましと感謝の言葉であふれ、同業の方々も大変だったことが分かります。間接的にこういったツイートを見て勇気が湧いてきたりもするものです。

そうだッ、僕たちは一人じゃない。みんなで命を守る行動をとり、生きて家に帰るんだって!


ちなみに台風15号の時は、訪問介護に向かう最中、いつもなら30分ほどで着く区間を3時間ほどかけて行きました。


2020年代は介護士不足と災害対策。この問題を私なりのやり方で改善できるようクリエイティブに解決していくことが目標です。

2020年東京パラリンピックを目前に控えた今、介護士という職業に憧れて介護の勉強をする人がほぼいません。
全国の福祉学校の介護科が次々と閉校しています。障がい者のアスリートたちが活躍している姿が見られる時代に、障がい者と繋がりたい人たちが減ってきているのです。これは本当にまさかの事態で、ボランティアをする人たちも減少傾向にあります。

こちらのサイトに深刻な介護福祉士の不足についてデータが掲載されています。


希望はある

先日、ある中学校でボッチャ体験をした時です。ヘルパーとして参加していた私を見て駆け寄り、声をかけてくれた女子生徒がいました。
「私は将来、介護士になりたいです。今できる勉強って何ですか? 何が1番大切ですか?」
と、目をキラキラさせて質問されたことがあります。そんな希望の芽を増やしていけたらと奮闘の日々。

その時の私のアンサーは「笑顔でコミュニケーションだよ」結局、現場で問われるのはコレ! 移乗や食事介助が下手でも笑顔でカバー、コミュニケーションがとれれば利用者さんと笑って楽しい時間を共有できます。そうすると利用者さんの体調なんかにも自然と気がつくんです。



ボランティア・レポート動画『ここがすき』南相馬より

南相馬でボランティアをさせていただき、レポート動画を作りました。2013年5月26,27,28日の3日間。震災から3年目むかえた障がい者施設。原発事故の影響でヘルパー流出。人手不足により避難できない残った障がい者の方々に、満足のいく介助ができません。ボランティアでつなぐしか方法がなく、展望がない現状を知ってほしい。



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スタジオウーニッシュ代表
映画監督と介護福祉士:堀河洋平


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