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#9 『ぼけますから、よろしくお願いします。』 Review

『ぼけますから、よろしくお願いします。』
(2018年|日本|102分)


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ポスター




1|私キャッチコピー

愛を試されるとき、家族の絆が輝きだす✨


公式サイト


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2|出逢い

日本映画専門チャンネル📺


予告編


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3|感想

副音声ではなく、解説的なレビューになったかもしれません。老々介護のことや、高齢者福祉のことを知る、教科書のような素晴らしい作品です。

映画を観ながらメモをとったので、今回は初めての箇条書きスタイルで✏️


■お父さんの90歳を超えても衰えない知識欲。これは見習いたい、かっこいい!

■お父さん、近所のスーパーに買い物に行くのも途中、休み休み大変。カートは無いのかなと思った? そんな物には頼らず、自力で行くことを(妻を守ることを)誇りに思っていたようなオーラを感じました。

■要支援なのかな? ヘルパー制度を活用して買い物の同行をしてほしい。高齢者の方々の訪問介護をしていた僕としては、直子さんだけに介護がのしかかるのは精神的にしんどいだろうと思った。(詳しい当時の事情が分からないけど)

■お母さん、横になります。訪問介護先で皆さんそうでした。となりでお父さん凛としていて家事も行い素晴らしい。

■ヘルパーを断る(利用しない)理由として、他人を家にあげること、イコールそれはお客様扱いであり、ヘルパーさんが来る前に掃除をしたりして面倒だなとか、逆に疲労させてしまうこともあります。

■お父さん、包括センターの人を迎え入れるとき玄関に正座してお辞儀。男の美学と言っていた、素晴らしい心構えだと思う。けれど歳には勝てないのかもしれない。人はみんな最後赤ちゃんになるのだろう。そのように人体は元々作られているのだろう。人は誰かに優しくするためにこの世に生まれてきた。その仕組みを介護というものをとおして私たちは体現する。

■育児や介護は避けられない。何らかの理由でそれをできない人もいるかもしれないけど、自分の知らないところで、みんな誰かを助けて支えている存在だと信じたい。

■お父さんの淹れたコーヒーを飲んでみたい☕️
歳をとると何でもいい(どうでもいい)、となりがちだけどお父さんはこだわって豆から淹れていた。そういうこだわり、好きなことがあると生活にメリハリが生まれて良いと思う。若いうちから自分の中でこだわりや趣味は持っておいた方がいい。(仕事が趣味とかっていう、カッコつけるのは今の時代ダサいよ)

■地方のヘルパーさんの方言での声かけ、いいなぁと思いました。日本語によりあたたかみが加わり、人と人とが助け合いながら生きる姿って美しいなぁと思いました。(きっとカメラが回っていないところでも同じ対応なはず)


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4|監督コメント

■涙ながらに母の生き様を被写体に捉えた直子さんはジャーナリストの鏡👏
前回の『愛について語るときにイケダの語ること』の記事でも書きましたが、父の闘病生活を撮影していました。亡くなった後、撮影した映像を2度と見返したことはありません。勇気がないんです。直子さんと同じ映画監督で映像に携わる者として僕は弱者です。この映画をきっかけに父の最期を編集してみようかな。作品にはならなくても、素材のまとめにはなり、当時気づけなかった家族の想いに触れ、本当の意味で供養になるかも。

■超高齢化社会で100万人以上もヘルパー不足だとも言われています。もったいない。おじいちゃんおばあちゃんは戦前戦中戦後の体験を話してくれます。その話は学校では聴けない財産になったりします。僕はデイサービスでたくさん話を聴けました。ブルマの前はもんぺのようなブルオスとか。(画像検索しても出てこない)
将校さんと恋をして裏でこっそり闇米をもらっていた、生きるか死ぬかの恋愛トークも。本人が体験したことを思い出しながら語ってくださるので、リアルすぎて怖かった。周りにいた通所の方々も「そうだったわね〜、あの時は」と話が盛り上がりお昼ご飯が遅くなったことも。(回想法は脳の活性にも良い)

■戦前戦中戦後の利用者さんはヘルパーさんに「ご迷惑をかけます」と言いますが、時代背景によるところもあるかなと思います。欲しがりません勝つまでは、我慢を強いられた世代です。人のお世話になることに対して申し訳ないという気持ちがあります。しかし、これからの超高齢化社会のデイサービスや特別養護老人ホームなどを利用される方は団塊の世代以下であり、物に恵まれて育った世代となります。つまりあまり我慢ができなくなり、介助に対しても遠慮なく何でもかんでもサービスを問うような、今までと同じような介護では通用しなくなることを懸念しています。ヘルパーは100万人足りないとも言われ、少子高齢化です。外国人やロボットに頼る新しい時代が始まっています。

■「死にたい、包丁持ってこい」と叫ぶ場面があります。僕も訪問介護で「死にたい、殺してくれ、早く迎えに来てくれ!」とおばあちゃんに泣き叫ばれたことがあります。みんなこうなることは分かります。自分がどこの誰だか分からなくなり混乱するからです。だけど家族のことは顔や名前が分からなくても理解できる。家族には迷惑をかけれない。私がいたら迷惑だと自分の存在を消したくなるんだと思います。これは他者を想う究極の愛だともいえます。そのときに周りにいる家族(あなたが)どのような言葉をかけてあげられるか? 愛がなければきっと言葉は出てこないでしょう。私たちは試されています。愛を。この世に生まれたのは他人と自分を愛するためです。


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チラシ


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5|マニアックコラム

■広島県呉市は、祖父と祖母の新婚旅行の場所です。この地でひょっとしたら直子さんのご両親と町ですれ違っていたのかもしれないと思うと、ワンカットワンカットが僕の中で特別な風景となり、映画とは別の感動が押し寄せてきました。(コロナが落ち着いたら呉に行くぞー)

■人は自分が分からなくなったときパニックになります。高齢者にかぎらず若い人も自暴自棄になると混乱する、うつになるあれです。信頼できる人がそばにいて、安心できる言葉をもらったり、ハグをされたり、背中をさすってもらうと落ち着きますよね。そのプロがヘルパー、介護士です。まぁいろんな介護士がいますけど。(看護師さんやカウンセラーさんも) 今後の介護福祉士の実技テストでは、利用者さんの不安を取り除く言葉選びの試験も加えるといいかも。赤ちゃん言葉や、タメ口の介護士がどれだけ多いか現場に行くと驚くでしょう。

■コロナ禍で、命懸けのケアを続ける介護士たちを知ってください。僕は満員電車で往復3時間の県をまたいでの移動をしています。






案の定、4度目の緊急事態宣言になったし、今日(2021.7.14)は東京の感染者が1,149人!

僕の知っている障がいのある人は、コロナになって2020年は2回しか外出していませんよ。その2回は主治医による通院のみ。娯楽を捨て窓を全開で、介助者用のアルコール消毒液も用意して暮らされています。

1年で2回の外出。完璧に自粛を貫き、日替わりでやって来る介助者にもし自分が感染してコロナをばら撒いてしまったら、それぞれが入っている利用者さんにウイルスを移してしまう。そうなれば、寝たきりの人の元へも介助に行けなくなってしまいます。寝たきりですから24時間体制。トイレも水分補給も自分ではできません。あとは想像してみてください。最悪のシナリオです。

そんな人を知っているからこそ訪問介護の際、電車の乗り換えで大勢の人流に毎回驚かされます。これみんな医療や介護従事者なのって! リモートできる企業は家にいてよって。僕らはリモートできず密に向かって仕事しているんだよって。

話はそれましたが、介護職はこの映画、絶対に観てください! 自分が日々行なっている介助(声かけも含め)俯瞰して発見することが多々あります。日々の業務に慣れてはいけません。命と命の対話をもう一度、見つめ直しましょう。何度でも。


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6|新作のお知らせ

当noteの定期購読マガジンでは、ダウン症のある人との映画制作の様子を書いています。新作のメイキングを販売して、その収益をそのまま製作費にする【プロセスエコノミー】を実践中!
初月無料、翌月から月額980円。2ヶ月以降のご購読でブルーレイのプレゼントも行っています💿✨

是非、映画作りの仲間になって応援していただけたら幸いです。
あなたも映画のスポンサー(共犯者)!


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7|「ふるさと」7.31上映会

いつも映像制作でお世話になっているエムズ・カンティーナさんで
【真夏の短編映画上映会2021】が開催されます‼️
ウーニュシュ作品から、第1回目の緊急事態宣言中にリモート制作した『ふるさと Stay home town』の上映が決まりました。当日、会場でお待ちしております😷


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ポスター



別バージョンの「阿蘇編🌋」
本編はこの映像に、リモートで小沢まゆさんのカットが挿入されます♪(どんな物語なんだー)


小沢まゆさん企画の作品です🌟 同郷(熊本)への想いを形に。第3回目の緊急事態宣言によって、池袋HUMAXシネマズでの劇場公開が中止となりました。今回が初のスクリーン上映となります。(プレミア!)


映画ナタリー




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バリアフリー映画のスタジオウーニッシュ代表
映画監督 / 映像クリエーター / 介護福祉士 / 作家(目指し中) / :堀河洋平


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