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読後感

ユヴァル・ノア・ハラリ氏の21 LESSONSを読んだ。随分前にNHKでサピエンス全史やホモデウスを特集していて気にはしていた。氏の物語を信じて生きているという考え方(自分の解釈です。)は40年以上生きてきた自分にはインパクトが大きかった。

宗教や神話、ドル、資本主義どれも多くの人をまとめるために作り上げられた物語に過ぎない。その物語が本物か偽物かは関係なく皆が安心して暮せることが出来ればいいのだ。

そう考えた時に現代の物語は上手くできでいる様に思う。自分の周りでは。自分の国では。

本当か?

自殺者が交通事故死者やコロナ禍で亡くなった方を上回り、シングルマザーがその日の食べ物に苦労していてもそう言えるのか?
IT革命によって世界の様子がワンクリックで分かるこの時代、世界に目を向けるととても安全な世の中と言う物語ではないことは自明だ。世の中に溢れかえる情報の全てが真実では無い。意図的に物語を信じ込まされているのかもしれない。真実を確かめるために危険な中東に行き帰ってこない人がいた。それは真実なのか?テロを怖がらせるためのフェイクなのか?
氏が言っているように情報はお金を払って手に入れるモノなのかも知れない。

本書ではIT革命(主にAI)とバイオ革命によって数年後もしくは数十年後には一部の資産家と無用な人々になり全ての判断はAIがしてくれる。バイオ革命によって寿命は大幅に伸びサイバー空間で生きている世の中になるかもしれないといっている。まさにSFである。
氏は未来は誰にもわからないとハッキリと宣誓している。とするとこの言説は未来予想図なのか?預言なのか?新たな物語を氏が提唱しているのか?

かつて手塚治虫先生はアトムの世界を予想した。一部は本当に実現し一部は夢物語であった。
その頃の子供たちはそんな物語に熱中して毎週を待ちわびていた。貧しいけどささやかな幸せの一ページではなかったのでは。

今の子供達が大人になる頃には、ほとんどの人が無用とされ生きている意味も分からず無料で配給されたものをタダ消費するだけの機械に成り下がった自分を受け入れる事ができるのだろうか?買いたいものはAIが教えてくれる。その買いたいものはAIがアルゴリズムで洗脳したもので本当に欲しいものが何かも知らない世界。資本主義、自由主義の終焉の後に残るのは人類なのか?それとも4億年を生き抜いたゴキブリなのか?

アフターコロナの物語の書き手はまだ現れていない。

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