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#余白 #ひと休み

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深呼吸。
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2021年7月の記事一覧

「よはく」の難しさ

何の心配ごとも気がかりなこともなく、まっさらな気持ちで過ごせた休日。 最後にそんな休日を過ごしたのはいつだろうか。 仕事のこと、家族のこと、人間関係のこと、そんなあれこれが常に頭の片隅にあると、体は休めていても心が休まらない。 そうと分かっていても、「心を休め、余白をつくること」は難しくて、脳内では過去の後悔や未来への不安ばかりが目立ってしまう。たとえそれがほんの少しの割合でも。 片付いていない仕事、返さなきゃいけないメール、追いつかない数字、進展のない二人の関係、そ

キネマの神様に、逢いに行きたい

人生を旅に喩えた人は知っているけれど、映画を旅に喩えた人は知らない。 そして、エンドロールは旅の終着駅。訪れた先々を、出逢った人々を懐かしむ追想の場所だ。だから長くたっていい。それだけじっくりと、思い出に浸れるのだから。 こんなにも無性に映画館で映画を観たくなるような文章に、僕は今まで出会ったことがなかった。『キネマの神様』を読むまでは。 奇しくも、こんな世の中でこの1冊と出会ったことが、何とも言い難い気持ちにさせられる。 「映画館」は、間違いなくこのご時世で大きな打

眠れない週末

眠れない。 いたずらに時間が過ぎていくのを、布団の冷たいところを足で探しながらただただ感じている。 眠れないのはどうしてだろう。 さっきまでブルーライトを浴びていたからなのか、今日はあまり疲れていないからなのか、それとも、何かやり残したことがあるからなのか。 眠れない時に限って、頭の中は忙しい。 日中頭を悩ませていた問題の解決策が思い付いたり、新しいアイデアが思い浮かんだりする。目を背けている何かに憂うこともある。 そうして冴え渡って、ますます眠れなくなる。 大

眠れない夜が好きだった

眠れない夜、眠る前のあの余白の時間が好きだった。 まだ幼かった時、真っ暗な部屋の中で僕は宇宙にいた。 人に話してもあまり共感されなかったけれど、眠れない時はたいてい、宇宙や死、「眠る」という行為について考えを巡らせていた。 真っ暗な部屋がそうさせていたのか、眠る前独特の心理がそうさせていたのか、はたまたただの好奇心か、どうだったのかは分からない。 「宇宙ってどこまで続いているんだろう?」 「死ぬってどういうことなんだろう?」 「眠る瞬間ってどんな感じなんだろう?」