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独学研究のススメ(検索対象データベース一覧とリサーチ・ナビ)


検索対象データベース

 両者共に国会図書館が展開するデータベースです。

 前者はデータベースの説明とリンク集、後者は「調査やリサーチするにはどうしたらいいの?」みたいな疑問や方法を簡潔に教えてくれたり、「国会図書館の名のもとでこの資料をおすすめするよ!」みたいなおすすめ書籍や資料を教えてくれます。

「検索対象データベース一覧」は非常に明快です。
「国立国会図書館」「学術情報機関」「公共図書館」「大学図書館」「専門図書館」「博物館」「その他」のジャンルに合わせて、「こういう機関がこういうデータベースやアーカイブを紹介しているよ!」と一覧を並べているだけです。それ以上でもそれ以下でもありません。

 本当にデータベースやアーカイブを探す為だけに特化したサイトと言えるでしょう。サイトそのものはリンク集に近いので面白味はそこまでありません。

 よって、メリット・デメリットはあげるほど無いです。

「リンク集で殺風景だけど、日本中の研究関係リンク集を集めていて自分が求めているデータベースやアーカイブに近いものがあるかどうか確認できるよ!」といえば、大体解決できそうです。

強いてあげるとするならば、普段見落としがちになってしまう地方自治体や大学がやっているデータベースやアーカイブをしっかり紹介している事でしょうか。

地方自治体の図書館や博物館資料館は運営に手いっぱいで宣伝が殆ど上手くいっていないという例が結構あるので、ここを覗いてみると「へえこんなところがこんなものを出しているのか」と感心する事もあります。

しかも、丁寧にリンクと概要、更新頻度まで掲載しているのは個人的に高ポイントです。

「地味で口数も少ないけど、しっかり仕事や情報提供をこなしてくれる手堅い賢人」

 というような印象を漂わせています。

(リサーチナビ)

一方のリサーチナビは非常にフレンドリーな印象を与えます。「リサーチ」と名を冠している通り、「これを調べたければこの本やこのサイトがいいよ!」という情報を国会図書館の信頼の下で与えてくれる。これだけでも意義は大きすぎるほどあります。

「主題から調べる」「資料の種類から調べる」「テーマ別データベース」と大きく三つの柱からなっており、好きな方法で調べられるのも嬉しい限りです。

「まず全体的な様子を調べたい」「テーマは既に見当がついているけど何から読めばいいのかわからない」という人には「主題から調べる」。

「主題はあるけどどういう媒体で調べればいいのかわからない」「本以外で知れる資料はあるのか」という人は「資料の種類から調べる」。

「ある程度の調査研究は出来ているけどもっと深く調べたい」という人には「テーマ別データベース」。

このように棲み分けもしっかりされているのも使いやすいポイントです。
 
また、「「探す」ギャラリー」という学習コーナーも展開されており、これはなかなか面白いです。

誰でも読める「国会図書館デジタルコレクション」の資料を基盤に「こんな事があったよ」「こういう資料が読めるよ」と平易な文章と資料付きで、ある一点のテーマを元に色々と紹介してくれます。
 
さらに「よく利用される画像」というデータベースも展開され、無料で読む事の出来る資料、「解体新書」や浮世絵といった教科書や歴史書に出てくる絵画や資料のURLを貼ってくれています。

「ああ、これは見たことがある」

という資料も結構あります。それらを目で追っているだけでも楽しいです。普段使いもできます。

老若男女、検索機能の強弱問わず、平等に接するような平易なサイトの作りは、「誰でも学問を志していいし、こういう調べ方もある」と国会図書館が教え導いてくれているような印象さえ感じます。

使い勝手とフレンドリーさは学術サイトの中でもずば抜けていると思います。

リサーチ・ナビのデメリットをあげると、「紹介してくれる資料が殆ど読めない、自力で探すしかない」という事でしょうか。

デジタルコレクションで見られる場合はそちらに誘導してくれますが、著作権状態にある資料は最近出された資料では「こういうことが書いてあるよ! 国会にもあるよ! よかったら読んでね!」という状態で終わっています。

なんだか焦らされるような気もしなくはないです。
 
ただ「主題をリサーチする」という建前で運営されている以上、それは仕方ない事でしょう。

むしろ、目処をつけられるだけ研究は結構捗ります。ナビで紹介されている資料は基本的に流通していたり、図書館や研究室に置かれているものが多く、「探すまでに苦労に苦労を重ねる」というものは案外少ないです。

全集や総集編だと個人で所有するのが難しく、「ウゲー」というような高額な資料もなきにしもあらずですが、こういうのは図書館や資料館に置いてあることが多いので、そこまで気にする必要はないでしょう。

とにかく「基礎的な資料が欲しい!人物や事象をまとめた事典や通史が欲しい!」みたいな人にはこのサイトの閲覧をおすすめします。

リサーチナビはおしゃべり好きで、おせっかいなギルド案内人のようなサイト――

 というべきでしょうか。

色々な雑学やクエストの内容までは教えてくれるが、詳細や実態はプレイヤー(ここでは個人個人の調査人)個人で見て下さい、という突き放した所があります。


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