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原作を映画化ドラマ化することに関して、私の意見

ここで、長くなりますが、原作を映画化ドラマ化することに関して、私の意見を申します。

私は映画監督の視点から申します。
例えば黒沢明ですが、彼はよく原作を扱います。山本周五郎などよく使っています。

しかし勘違いする若い人たちも大勢いるようなので申しますが
「映画監督(正統的な)というのは、“小説を映画化”しようとしているわけではない」ということです。
彼らは芸術家であり、商売人とはちょっと違います。製作者はそのようなことをします。しかし監督は違うのです。飽くまで自分の作品を作るための素材にするのです。
では自分で物語を作ればいいじゃないかとあなたは申すでしょうが、それはとても難しいことなのです。
楽器は弾けるけど作曲できないという人もいるでしょう。それに似ています。映画の才能と物語を構築するのは必ずしも一致しないのです。
それに「物語」は特別優れていなければなりません。ただ話があればいいというわけではいけないのです。
それを探すために作家たちは日々模索します。キューブリックなどもそうです。
キューブリックはキングのシャイニングを映画にしましたが、キングは原作と違うと怒ったそうです。しかしキューブリックはキングの小説を映画化した、というより、自分の作品の素材にしただけのつもりだったわけです。
ですから、原作というのはあってないようなもので、小説と映画というのは別物と考えた方がいいです。

しかしヒッチコックは完全な小説は映画にできない、と言います。
なぜなら、完全な小説はどこも省略できないから。もしそんなものを映画化したら10時間くらいの作品になってしまう、というわけです。ドストエフスキーの「罪と罰」などそうだ、と。
言い換えるなら、娯楽小説などいくらでもいじって、面白い映像づくりの素材にできるというわけで、彼はそのような小説を選んで映画化していました。

黒沢もそうです。彼は実際にドストエフスキーの「白痴」を映画化しましたが、5,6時間の作品になってしまいました。
すると1日、1回の上映しかできません。そこで映画会社は黒沢に無断で作品を2時間くらいに切ってしまいました。
職人気質の黒沢が激怒したというエピソードがあります。
それくらい、完成された小説は切れないということで、逆に言えば、娯楽小説や短編小説はいじりようがあり、アレンジの隙があり、映画作家はそれを素材にするというわけなのです。

つまり、職人的映画監督らにとっては、小説は素材であり、その通りに映画化しようとハナから思っていないということなのです。
もし小説通りに作るならそれは自分でなくてもいいということになります。ロボットでも誰でもそんなことは出来ます。
そうではなく、プライドがあり、芸術家であり、自分の作品を作ろうと思っている人は飽くまで小説=原作は素材に過ぎないというわけなのです。

ここで小説家の視点を見てみます。

上記のキングですが、私は彼の作品をいくつか読みましたが、シャイニングは読んでいません。
ですから憶測ですが、シャイニングはホテルで起こる幽霊騒動を描いたものですが、主軸は「霊能力」にあると思います。
しかしキューブリックは単なるホラーにしてしまいました。
そうすると原作者は自分の意図したものと全く違うと怒らざるを得ないわけです。
ただ、これは小説家が自分の作品が映像化される際、全く意図しない自分の作品ではなくなるとあらかじめ知っておくべきだと私は思うわけです。

赤川次郎も数々映像化され、不満を述べていましたし、
都筑道夫も、テレビシリーズの脚本会議で、自分の意見が取り入れられなかったと言っています。

しかしキングなど映画=ドラマを監督したことがあるのですが、酷い出来でした。

つまり、その人にはその人に合った畑があるということです。
映画監督はあまり小説が上手ではないだろうし、小説家は映像化がうまいとは限らない。

たまにとくいになって兼業する人もいるが、私はそのような人たちにはもっと謙虚になる必要がある、と言いたい。
なぜならヒッチコックや黒沢みたいに、その仕事しかできない人間がおり、その仕事をしたくてたまらない人たちもいるからだ。

だからお笑い芸人が監督ぶるのは好きではないし、歌手やアイドルが小説を書くことも気に入らない。
もしそれをするなら、他の稼業は止め、それ一本に命をかけるくらいしなければいけません。

結論として

映画と小説=漫画であれ原作、音楽、絵画、そのようなものは似て非なるもの。
違う次元のものと理解した方がいい、ということなのです。

そして私はそれらを作る人たちが芸術家であるべきで、それは活動であり、いい加減な決心でするべきではないと。
女性にいたずらをする映画監督など消えるべきで、
片手間に映画を作り、小説を書く人も改めるべきであると、私は思います。


ココナラ
姓名判断

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