見出し画像

花散る姿も美しい

少し遅めのお花見。気候はやや肌寒く、もっと暖かい格好をしてくればよかったなぁとプルプル身を震わせながらいなり寿司をほおばる。花より団子。

幼稚園の入園式帰りのお子さんや、おめかししたワンちゃんを被写体に笑顔で写真を撮る人たちを眺める。

春は何だかみんなの笑顔がやさしい。キラキラと陽光が差すように輝いている。自然と自分も頬がゆるむ。

一昨日の雨にも耐え、薄いピンクの花を咲かせ、今年も満開の桜の姿を拝むことができた。空を覆うほどの花を見上げると、ただこうして目に映る桜を眺めるだけで幸せだと感じた。

最近は幸せと感謝をごくごく身近なところに感じるようになってきている。意識しているせいもあるが、そうすると自分の奥深くから慈しみの光がふわりと灯る。

ありきたりな表現だけど、何でもない日常が本当にありがたく、そして愛おしい。だっていなり寿司の甘みがたまらなくしみるもの。花より団子(2回目)。

風がやや強い今日の午後は桜の花も散り、真っ正面から花吹雪を浴びるという稀な体験もできた。咲く花も美しいが、散る花もまた物憂げでひときわ美しい。

川面に散った花を「花筏(はないかだ)」と言うそうだが、公園のアスファルトも薄ピンクの花びらに覆われて、まるで花筏のそれのようだ。

今年も春が来て桜が咲いた。目の前をサーッと通り過ぎていくように彼女は散ってゆく。散り際も、そして散った後でさえ、その姿は美しい。

また来年も会えるだろうか。少しは足踏みしながら春をゆっくり感じさせてくれたらいいのに。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?