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人体のメカニズム

人体を取り巻く環境は複雑に絡み合っています。ここでは、以前私が受けたヨガの講習で学んだ知識を皆さんにご紹介できればと思います。スポーツの場面でも活かせることがあるかと思いますので、イメージしながら読み進めてみてください。

筋肉のメカニズム

筋肉には、「相反神経抑制」というメカニズムがあります。例えば肘を屈曲させる時、上腕二頭筋に力が入ればその裏の上腕三頭筋が緩むといったように、筋肉は主に動く主動筋が収縮されると、関節の動きに対して反対の動きをする拮抗筋が弛緩します。

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腸腰筋とハムストリングス。この2つの筋肉も相反する作用の関係性があります。

腸腰筋: 骨盤前傾と股関節屈曲
ハムストリングス: 骨盤の後傾と股関節の伸展

といったようにそれぞれが作用します。相反神経抑制の理論から言うと体の前面にある腸腰筋を活動させると、後面のハムストリングは自動で緩みます。すなわち、腸腰筋が使われるとハムストリングスが伸びやすくなるのです。

骨盤前傾の質

腰を反らして骨盤を前傾させるのは、背筋を使って骨盤を前傾させているため、何度も繰り返すうちに腰痛に繋がる可能性があります。このハイパーになりがちな背筋側(脊柱起立筋)で骨盤を前傾させるのではなく、腸腰筋を用いた骨盤前傾が理想的です。

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Muscle and Motion より出典

ヨガでは骨盤を動かす際に背中側(背筋)ではなく、恥骨側の腸腰筋に注目して骨盤を前傾させます。そうすることで開脚や前屈のポーズでもハムストリングスが伸びやすくなります。また、骨盤を後傾させる時は、尾骨に注目してみましょう。

多くの人は腸腰筋を上手く使えておらず、腸腰筋とハムストリングスの相反神経抑制がきちんと機能していません。つまり、ハムストリングスが緩むことなく、無理やりそこが伸ばされている人が多いということです。このように、体の一部分であるハムストリングスばかりが伸びるということは、オーバーストレッチに繋がります。そして、それが肉離れを引き起こしやすくするのです。

・骨盤前傾
骨盤の傾きに関わる、背中の筋肉(脊柱起立筋)・太ももの前の筋肉(大腿直筋)が作用(筋が短縮)すると前に傾く。腸腰筋も前傾に作用。

・骨盤後傾
骨盤の傾きに関わる、お尻(大臀筋)・もも裏(ハムストリングス)・お腹(腹直筋)が作用(筋が短縮)すると後ろに傾く。


また、手を動かすための骨間筋もこのように、他の筋肉とリンクしています。
背側骨間筋 →多裂筋(回旋)
掌側骨間筋 →腹横筋

このことから、手のアーチがつぶれている(雑に握る)と、この2つの体幹筋は使えていない。体幹の回旋がでにくいと言われています。

手の甲を反らす

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指先を遠くにつまむように意識する


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内臓も筋肉とリンクする

内臓も筋肉であり、下記のように各部位とリンクしています。

・肝臓→大胸筋、菱形筋
・肺→前鋸筋
・十二指腸→腹直筋
・小腸→大腿四頭筋
・大腸→大腿筋膜張筋
・胃→大胸筋
・子宮、膀胱→中殿筋、梨状筋
・腎臓→腸腰筋
・直腸→ハムストリングス

これらが示すように、例えば大腸の動きが不調になれば大腿筋膜張筋にストレスがかかるような繋がりが体の中にはたくさんあります。

また内臓の機能を上げることは、消化吸収による代謝を向上させます。内臓の代謝(消化吸収)を改善させる方法は呼吸の章で詳しく出てきますが、ヨガのウジャイ呼吸という呼吸法を用いることで、迷走神経と繋がっている反回神経を刺激できます。

迷走神経とは肺や心臓といった多くの臓器に広く影響を与えている神経で、代表的なものとして副交感神経があります。ヨガではウジャイ呼吸や、内臓瞑想(鼻からゆっくり吸った空気を各臓器へ送り込むように行う瞑想)で、反回神経を刺激しながら内臓の働きを良くすることができるのです。

意識的・無意識的で筋肉に影響が出る

脊髄には前皮質脊髄路と、外側皮質脊髄路の2本の神経が走っています。またそれぞれは連動しており、意識的・無意識的な動きで作用の仕方が変わっていきます。

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FIRSTSHIP Yoga Academy 出典


上の図が示すように、背外側系が優位になると腹内側系は抑制されます。
・外側系
意識して動かす運動のため、大脳でコントロールする
(初めての時はぎこちない動きになる)
・腹内側系
反射的運動のため、無意識的に筋収縮が行われる
(しなやかな動きになる)
コアはこの部分に該当する

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つまり、コアは無意識で働くべき

ここでは長距離ランナーの動きを例にして紹介していきます。優秀な長距離ランナーは足裏をセンサーのように使い、地面の反力を活かし反射的にコアをコントロールしています。マラソンの世界ではシューズ革命が起こり、日本記録や世界記録が多く更新されるようになりました。その理由はシューズの技術的な進歩だけではなく、選手たちが無意識的にコアをコントロールする力を身に着けたからなのです。


左重心

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体を取り巻く影響は体の中だけではありません。地球の自転・公転は左回り(反時計回り)をしています。そうなると自然と左に重心をかけていくことで簡単に前に引っ張られるため推進力に繋がるといったように、外部の環境にも影響があるのです。実際に北半球の日本の競馬は右回りのコースになっているということで、馬が怪我をしやすいと言われております。右重心はブレーキ・後進力になるためです。

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解剖学や生理学の世界では、左右の感覚が違うのは当たり前とされており、筋肉量や関節や骨の並びであるアライメントで極端な差がないのであれば身体感覚で左右対称にこだわるという必要はありません。

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