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男の手料理とウイスキー、豚肩ロースの林檎ソテー煮


朝ヨガの後はとても気分が良い。

今朝も、いつものカフェに入り、ほっと一息ついた。

「いらっしゃいませ。今日は何にいたしますか?」
「いつものやつ」と、言ってみた。

なんか大人じゃん!!と思いながら。えへへ。

いつもの私のテンションと違うのを知ってなのか、メガネの彼は「えっ・・・」という顔をし、クスッとした。

違う言葉を使うだけで、テンションや気分が変わる。言葉って面白い!同じ話をしていても、ユーモアに聞こえる人と、暗く深刻に聞こえる人がいるのは、こういうことなんだろうね、と思う。
歳を重ねた大人は、ますますユーモアが大切だと思う。
ユーモアも含めた”心の遊び”を忘れてはいけない。

今年は、コロナ渦だったせいか、あっという間に12月がきた。
クリスマス前の賑やかなスーパーで、私は買い物をしながら、レジに並び、お会計を済ませた。買い物かごの野菜と肉をマイバックに詰めていたら、隣の男性のかごの中に何故か目がいった。
白ネギ、白菜、ポッキー、チョコレート、いちご、ウイスキー、上等な和牛肉・・・、私もさっき手に取った和牛肉だった。
でも、値段を見て豚肩ロースにかえた。きっと、このひと今夜はすき焼きかしゃぶしゃぶだ、ウイスキーとポッキーは、食前?それとも食後かな?材料から見ると、2人分だ。奥さんかな?それとも彼女?どっちでもいいけど、いいなあ、料理ができる男!

実は、私も一度、男の料理に招待されたことがある。20代前半の頃だ。背が高く爽やかな男性(菊池さん)は、取引先の食品メーカーの営業マンだった。クリスマス商戦が終わった12月の終り、

「前やん(私)、あんたも行けるやろ?菊池さんとこ」大阪弁の上司に声をかけられ、「えっ、あっ、はい。」行けます、行けます、絶対にいきます、と私は飛び上がった!
私の22回目の誕生日の日だ。憧れのあの人の家で鍋!!これは偶然なのか?それともチャンスなのか…。
上司に誘われたのは、私一人だった。上司はすでに結婚している既婚者だ。独身の私を、独身の菊池さん(独身)家に招待…。

これは絶対にチャンス、それ以外思いつかなかった私は、幸せすぎてパンクしそうだった。

菊池さんのマンションについた。1LDKのお部屋は、菊池さんらしくシンプルで、センスが良かった。リビングの大きなガラス窓からは、大阪の街らしい賑やかなネオン風景が見えた。最高だわあ~。菊池さんは、キッチンで野菜を切っている。テーブルの上には土鍋が置いてあり、どうやら今夜はお鍋のようだ。菊池さんは、鍋料理にめちゃくちゃこだわりがあるらしくて、私の社内でも評判だった。

「もうじきできますよ、とりあえず乾杯しましょう!」と言い、スパークリング日本酒を出した。ほのかに甘いお米の味に、少しずつ食欲が呼び覚まされた。蟹のダシがどっとしみた白菜は、もうびっくりするほど美味しかった。
「すごい。美味しすぎます」とすごいすごいしか言えなかった私(語彙力乏しすぎ)。
「白ワインもあるで~」と上司が言い、「それでは遠慮なくいただきます」と菊池さんが栓を抜いた。

いい気分になってきた私は、これまでの上司の嫌なこともすべて忘れ、この場を与えてくれた上司に本気で感謝した。

「ピンポーン」チャイムがなった。
あれ?誰か他に来るのかな?と考える間もなく菊池さんが口を開いた…。
「お二人に紹介したい人がいます」成績トップの営業マンらしく、菊池さんは背筋をのばした。

「僕の彼女です。来年、結婚することになりました!」

ガッチーーーーーン!!! ガクリッ。 と肩を落とした私。急に酔いが覚め背中からゾクゾクと冷えてきた。

その後の時間の長かったこと!!私は、私を誘った上司を呪った。なんで私だったのか。他にも女性社員はいたはずなのに…。

今でも時々思い出し笑える、エピソード話。
あれから、私たちも28年経ち、菊池さんは53歳、上司は還暦をこし定年退職した。
私は、あの頃の自分と同じ歳の息子と娘がいる。
失恋のショックで会社にも行きたくないし、生きる希望も無くなっていたあの出来事が、今では面白い話のネタになっている。
深刻な出来事を抱えてる時こそ、ユーモアが大切だと思う。

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家に着き、息子と料理をした。
「女の子にもてる男の料理を教えて」との息子のリクエストに応えて、「豚肩ロース肉のりんごソテー添え」を作りました。
クリスマスシーズンにピッタリだと思います。

Merry Xmas  皆さん素敵な一日を。

豚肉の表面に塩と胡椒をもみこむ。しばらく置いといて、その間にりんごを皮付きのまま8等分に切って、フライパンにオリーブオイルをしき、豚肉を入れ全面を焼く(表裏横)。香ばしい焼き色がついたら取り出し、フライパンの油をペーパーでふきとる。ふき取ったフライパンに、赤ワインン、蜂蜜を入れ、ひと煮立ちさせる。そのフライパンに切ったりんごと焼き色をつけた豚肉、香りづけのローズマリー(後で取りだす)と、レモンを入れアルミホイルで落とし蓋をし、鍋の蓋もかぶせて火にかける。途中豚肉の上下を返しながら弱火で10分加熱する。火からおろし余熱を通す。器に盛りつけるときに豚肉を1cm厚さに切り、煮汁を少し煮詰め塩コショウで味を整える。

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材料
豚肩ロース肉(塊)・・・400~500g
林檎・・・1個
レモン薄切り・・・4枚(あれば)
ローズマリー・・・1枝
赤ワイン・・・160cc
蜂蜜・・・大さじ2
塩・・・小さじ1
胡椒
オリーブオイル・・・大さじ1
粒マスタード

 



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