見出し画像

【映画の話】ぐるりのこと

こんにちは
今日から映画を観たら文章にしようと思って
なんとなく書いていきます。ネタバレとかよく分からないので、普通に映画の感想などを書いていきます。

今日は3年くらい前からずっと観よう観ようと思っていて、Amazonプライムでダウンロードはしていたものの何度も観ないまま期限が切れて、その度に更新をしてを繰り返していた『ぐるりのこと』を観ました。
でも正直いまのタイミングで観たことが本当に正解だったように思えた。

ぐるりのこと

今作は2008年に公開された映画。
脚本と監督は橋口亮輔、主演が木村多江、リリーフランキー。
大雑把に言えば夫婦が様々な起こり得る困難を2人で乗り越えていく物語なのだけど、これが本当に素晴らしくよかった。
もちろん様々な賞を受賞しているし、色んなところで名作と呼ばれてるので俺がわざわざ言うまでもないんだけど、泣いたよね。びっくりした。

『一組の夫婦を主人公に、生まれたばかりの子供の死を乗り越える10年の軌跡を描いた』という説明書きを読んで、正直25歳のこんな若造に理解することができるのだろうかと不安もあり、少し観るタイミングを伺っていたのもあったけど観てよかった。
"生まれたばかりの子供の死を乗り越える"ということもすごく物語の中では大きいものの、それよりも夫婦としてどう生きていくかということのテーマの方が濃く描かれていたので、これは色んな人に届いていく作品になっているなあと深く感動した。
もちろんまだ結婚した経験もないし、夫婦の危機なんてことも当然知らないので想像でしか分からないこともたくさんある。しかし"これから起こりうるであろう出来事"ということを演技や脚本などから伝えてくれる、映画という表現の良さが詰まってるように感じた。

まず主演の二人の"夫婦の演技"が本当に素晴らしかった。二人が作る生活の空気感、夫として妻としての目線や仕草がこんなにもリアルに出ていること、そして言葉や表情の出し方による画面のこちらへ伝える情報量が豊富すぎて受け取るので精一杯になりそうになった。
また脇を固めるキャストの豪華さが完璧だった。特に柄本明が演じるいかにもテキトーなベテラン記者が見てるだけで好きになりそうな人柄がとても愛おしく、またリリーフランキー演じるカナオにも雰囲気が似ていて、そこにカナオ自身も惹かれたんだろうなあと思った。俺もああいう風になりたい、ああいう大人に出会いたいなと思った。

また橋口監督の、喋りすぎない伝えすぎない脚本と空気感まで映したような映像の撮り方が完全に好みだった。
一番印象的だったのはこの映画の名シーンだと思う「嵐の夜」のシーンからの流れが本当に美しくて拍手を送りたくなった。
もちろん「嵐の夜」のやりとりは素晴らしいのでそこは映画を観てほしいのだけど、
そこで描かれている嵐→死という流れで生活の不安定さの終着を表し、
その次の場面の和室→アイスキャンディ→ベランダのトマト→日本画の紅葉→雪→花→桜
と四季の流れを映像だけで表現してるのが超風流だな〜〜って思った。
それと同時に嵐が吹き荒れたベランダからトマトを育てるという生活の再起を表していて、これから生きていくというポジティブな場面に変化していく描き方の美しさが素晴らしすぎてグッときた。
ただそれだけじゃなく、社会全体を見回した時に起きている悲しいことや苦しいことを裁判のシーンで表し、その両方をひとつの映画の中で見せることでこの世界の不自然さと気持ち悪さを見事に描いていて、本当によく作られた映画だと思った。かつその裁判のシーンは夫婦の関係が悪かろうが良くなろうがちゃんと見せていく点のバランス感覚も素晴らしいと感じました。

最後にこの映画のキャッチコピー**
**「めんどうくさいけど、いとおしい。いろいろあるけど、一緒にいたい。」

なんてこの映画らしいキャッチコピーなんだろうと思った。これって"愛している"と同じ意味なんじゃないかな。でもその言葉よりも大切なことなのかも、"めんどくさいけど一緒にいたい"最近その意味について深く考えていたからキャッチコピーを見て驚いた。愛っていいなあ。

"ぐるりのこと"とは自分の身の回りの人の意味らしい。人、生活、愛。言葉にすると短くて、簡単そうには思えるけどもっと複雑で、それでもただ生きているだけでいいじゃない。
きっと大丈夫。そんな風に伝えてくれる人がそばにいれば、その人とちゃんと伝え合えれば、きっと大丈夫。
そんな風に思いました。

Akeboshi - "Peruna"

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?