『最近聴いてる音楽の話』 #9月
9月、残暑残暑の残暑祭り開催中の9月。フェスシーズンもひと段落してゆっくり音楽を聴けると思ったらあまりのリリースの多さに聴ききれない。飲み込みきれない。過剰摂取で吐き出しそう。もうこうなってしまうと処理し切る体力が残っていない。だから今回のnoteはもう適当です。ざっくりしてます。ざっくり人生にはちょうどいいざっくり。ざっくりってなんかいいな。りんご買いに行こかな。
これまで歴史を辿れば膨大な数の音楽がリリースされていて、新譜を追う必要なんてあるのか?と思う人もいるかもしれない。過去の音楽だって聴けてないのに今の音楽を聴くなんてできないと考える人もいるかもしれない。でもね、新しい音楽を聴いていて1番大切なポイントっていうのはどれだけ"今の社会のこと"、"今の自分たちのこと"を歌っているかっていうところなんです。音楽は社会を映すし、音楽は僕らの日々を映す。
自分が今日、同じ時間を生きている証が今の音楽の中には込められている。
そんなのどうだっていいとか、自分には関係ないと思う人がいたとしても、音楽は毎日誰かの手から誰かの手へと渡されているのです。その手がかりを、その足がかりをただ見つけたいだけのことなのだ。誰かの明日のヒントになればいいなと思うわけだ。
SONG
Official髭男dism "日常"
■ここ数年ヒゲダンがリリースする曲はどれもあまりに良くて、毎回noteで取り上げてしまう。この曲はニュースZEROのエンディングとして今年起用されてきた楽曲で、ようやくのフルコーラスでのリリースとなる。"日常"というタイトルをつけたように、どこかの街で暮らすそれぞれの誰かの「日常」を歌っている。いい日でも悪い日でも、僕らのただ進んでいく日常にただ寄り添ってくれる彼らの存在はポップミュージックとしてこれほど心強いことはない。この曲が明日へ向けて踏み出すその一歩目に、帰り道に歯を食いしばる足下のアスファルトを照らす歌になりますように。
RIIZE "Get A Guitar"
■SMからまた新たな最高なダンスアンドボーカルグループが現れたと俺を賑わせている。友達に教えてもらうまでデビューのことすら知らなかったのだけど、9月4日に"Get A Guitar"で正式にデビューしたRIIZE。SMの先輩であるSHINeeを彷彿とさせる余裕感のあるキャッチーなR&Bサウンドとコーラスワークに思わずグッときてしまう。SMとしてもNCT内のグループではなく、新規に作られたグループというところにも新たな風を感じている。ダンスもボーカルも軽快で、ギターのバッキングにリフを主体としたMichael Jackson的な90'sボーイバンドを彷彿とさせるポップさと、Queenの"Another One Bites the Dust"を軸としたビートをリファレンスとして楽曲をリードしていく。プレデビュー曲の"Memories"のエモい楽曲の方向性も併せて、今後どんな展開をしていくのかが楽しみだ。
half・alive "subliminal"
◽️踊るバンドとして、"still feel."で一躍話題になったアメリカの3ピースバンドhalf・alive。今回の楽曲のMVでもしっかり踊っていて、実にhalf・aliveらしさが詰まっている。疾走感と2000'sのポストパンクやニューウェイブを彷彿とさせるような楽曲で、どこか懐かしくもあるね。
Yumi Zouma "KPR"
■Yumi Zoumaはどの曲をリリースしてもイントロを聴いただけで自分の心の琴線をグワングワンに揺さぶってくる。浮遊感のあるギターのサウンドも心地よいノイズもグッとくるリフも、心の奥底にいつも存在している感情。今回の新曲の"KPR"は、これまでのバンドの雰囲気はありつつも、より感情が前に出ているエモーショナルな楽曲になっている。
Troye Sivan "Got Me Started"
■印象的なイントロのシンセのリフと2stepのビートが心地よいTroyeの新曲。コーラスの言葉のリズムが気持ちいい。寂しさと湧き上がる感情の波間に揺られて、深夜に聴いたら心の内側から掴まれる。少しずつ涼しくなる夜の空気に混ぜて踊りたい。10月リリースのアルバムに収録される楽曲。
モーニング娘。'23 "Wake-up Call ~目覚めるとき~"
■モーニング娘。の新曲がバズっている。それだけで嬉しいのにバズっている理由にちゃんとした背景があることが何よりも嬉しい。この曲は自分たちが自分のために歌っている。ハロー!プロジェクトは長い歴史の中でも、自分たちのために歌う曲が多い。自分たちのために歌いながらも同時に世代やジェンダーや時代を代表して、誰かのために歌っている。どこかひとつの歌詞をピックアップしようと思っても、切り取ることすら無粋なくらい社会へのメッセージが込められている。"時代は回る 幸せへと向かって 変わり続ける それはきっと変わらない"、この曲を彼女たちに歌わせる製作陣もすごいけど、それは同じように楽曲のメッセージを体現する彼女たちのアーティシズムへの信頼でもある。明るい言葉で世界を前進させていきたい勇気が湧いてくる。
羊文学 "more than words"
■喉元を通らない言葉や気持ちは心の底に沈殿していく。その重力でどうしようもなく立てなくなる日もある。傷つけたくなくて、失敗したくなくて、いつも正しくいようとするばかりに、ぼんやりといろんなものを見失っていく。こんなにも優しい人が損をする時代に"more than words"、言葉以上の想いを、ただそばにいることで今日も耳の奥に心の底に光のように差し込んでくれるのが羊文学というバンドだ。あと一歩進めない時の一瞬の追い風、立ち上がれない日の一握の勇気、そういう存在でいてくれる。今日も誰かの孤独の夜のそばに羊文学がいる。"just be by your side ,and give you
more than words"。
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