重視されすぎる「初動対応」の弊害
初動ミスで対応が後手後手になり事態が深刻化したと客観的に指摘される事案が増えている。
SNS等の普及により「問題発生 → 初動ミス → 炎上」という現象が、日常的に且つ非常に短期のサイクルで発生し、「初動対応」の重要性が以前に増して特別に注目されるようになった。
労使トラブルでも極力スムーズに解決するためには「初動」は勿論重要で、様々な過去事例を引き合いに我々も顧客にそれを説明することがある。
ただ、やはり初動はあくまで燻ぶった火を初期段階で消そう、延焼を抑制しようとする作業に過ぎない。
それよりも遥かに重要な事はそもそも火が燻ぶる状況を作らない努力だ。
初動は問題が起きて初めて必要となる取組であり、問題の本質が「初動」がフォーカスされすぎることによって希薄化されてはならない。
仮に初動対応でその後が大きく左右されるのであれば、それはそもそも大した問題ではないのかもしれない。
その場しのぎのテクニックで対応出来る程度のことだからだ。
また、効果的な初動対応によって望ましい結果をもたらし安堵した場合、ABC理論で言えば、その「安堵という快感情」は問題の原因をReinforceする事もある。
何も起こっていないときに、何かが起こる前に、潜在した問題を見つけ出し、そのリスクレベルを正しく査定し、問題として組織的に認知させ、いかにしてその改善に取り組むか。
「初動」よりも遥かにそれが重要であり、それが出来る人材こそが評価されるべきであろう。
Ⓒ Yodogawa Labor Management Society
社会保険労務士法人 淀川労務協会
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