君へ

君は、美しい十代の終わりに
どうして君自身を傷つけるの
寝ることも、
食べることも、
笑うことも、
悲しむことも。

運動することも、
汗をかくことも、
計画することも、
失敗することも。

つながることも、
愛することも、
綴ることや、
読むことだって。

人生にはたくさん
やるべきことがあって
たくさん
学べることがあって
その小さな、
小さな箱の中に入ってることが
すべてじゃないって
君に伝えたいけれど

語りかけると君は
心を閉じたガラス玉の目をして
耳をすっかり塞いでしまう

歩き始めた頃、
しゃべり始めた頃、
歌い始めた頃、
自転車に乗り出した頃。

運動会の頃、
発表会の頃、
卒園式の頃、
入学式の頃。

君を立派な大人にするのが
僕の使命と思ってきたけど
どうやら今はもう、
すりきれたカセットテープみたいに
意味のない言葉になったらしい

俯く君の美しい十代が
すっかり壊れてしまわないよう
ただそれだけを祈ってる

ねえ、今夜は月が綺麗だってさ
君がそれに気づくといいけど

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