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あの子は確かに

あの子は確かにここにいた
背丈が腰ほどにしかなくて
つま先立ちでのぞき込み
にっこり笑って微笑んだ

あの子は確かにここにいて
お母さん、お母さんと二度呼んで
おんぶして欲しいと背中にまわり
重たくなった体を乗せた

あの子は確かにここにいたけれど
いつの日にか面影だけを
あちこちに残していなくなった
返らぬ日々と知りながら
素知らぬ顔で撫でている
いつかのあの子が消えてしまわないように
一生懸命愛でている

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