静寂のせい
静寂のせい
息を吸う 私が見つかってしまう
布団をかぶり 衣擦れの音も立てぬ様に
どうか今夜も 気付かれませんように
今日は12月30日。
仕事納めで自宅にいる方や、正月の買い出しに忙しくしている家族連れ。
住宅街はいつもより人口密度が高いはずなのに
何故だか静かだ。
年の瀬の、まるで空気がシンシンと鳴っている様な静けさ。
子供の頃はワクワクしたものだけど、ここ数年は胸の奥がザワザワとして少しの不安を覚える様になった。
あの空気感は、まるで苔で湿ったトンネルだ。
人生には、ここを通り抜けないと先には行けませんよと言われている関門がいくつもある。
一年何も役に立たなかったそこのダメなあなた、この先に進めるとでもお思いですか?と言われている気分で、とてもじゃないけれど前には進めない。
じっとして、ごめんなさいを唱えながら、少しだけ息を吸うように。身体が揺れないように少しずつ息を吐いて。
そうして、ダメな私に誰も気づかないように、このシンシンとなる空気の中を過ごしている。もしかしたらどさくさに紛れて、あの神聖な苔むすトンネルを通過出来るかもしれない。そんな小賢しい事を考えている私には、たとえトンネルを通過出来てもそれほど陽当たりの良い所には出られないだろう。
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