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太陽の塔

演目【太陽の塔】

“今夜の太陽の塔は…彼女です。”

ない…ない…ない!
あっちも こっちも…沢山探したのに…!
一体どこへ行ってしまったのかしら…。
まずは正面…そして上の顔…
うしろ…どこを探してももうひとつが見当たらないわ。
4つめ…地底へ眠った…もうひとつの太陽。

→回帰船

「みなさん初めまして、わたしは太陽の塔。
地下へ飾っていたはずの4つめのお顔を失くして数十年経ちます。
今夜はそんなわたしのことを一緒に辿ってゆきましょう。」


人類の進歩と調和?
調和を重んじてしまった結果、息をすることも人の目を気にしている始末。
なんてバカらしい。
あなたも、あなたも、あなたも、同じ顔をしているわ。
わたしが本当に欲しかったものって何だったかしら?
今ではカッコ悪いとも思える変身ベルト。
全てを壊してくれる大怪獣。
わたしを心から愛してくれる王子さま。
何もかも信じられなくなったのはいつからかしら。

→変光星


1970年、わたしの生まれた年は今からだいたい50年くらい前。
あの頃は色とりどりの洋服に、月から持って帰ってきた石…。
たくさんの胸の高鳴りにあふれていたけれど、
こうして夢を忘れてしまうなんて、とても哀しいわね。

あなたも そこのあなたも ちゃんと息をしてる?
現世はまるで死体の海!

夢も自分も殺して調和をとっていても
人類は少しも進歩なんかしないのよ。

→夕暮れ町殺人事件


わたしはたくさんの夢のむくろの上に立っているけれど
あなたは一体どこに立っているわけ?

そこで手に入れる愛さえも指をくわえて眺めているつもりなのかしら。

あなたは
「ずるいな君は…」
なんて言っているけれど、そうじゃないでしょう!
あなたが見つけてくれなくちゃ一体誰が見つけるって言うのよ!

→市場


わたしの父の名はTAROというのだけど、彼は今を予言していたようね。
同じ血の通うわたしもそうよ、おどけて騒いでみたけれど
あなたたちが必死になって他人に同調して、挙げ句の果てに
わたしの顔をうばっちゃうなんて簡単に想像できたもの。
人間ってなんて愚かなの。。。
そうはいってもわたしは進歩と調和のシンボル。
くだらない世界が日々塗り変わっていくその営みをずっと見守っているのよ。

→Magic


もうすぐこの世界もゆっくりとのびるオレンジ色にすべて染まって、
次第に黒く変わるわ。
地底に沈んだわたしの顔は本当にどこへ行ってしまったのかしら。

夕暮れの後に夜が来るように明るかった世界も終わりが近いようね。
終わらせるのって一体だれなのでしょうか。
だれのせいってわけでもない気がしているから
最後の言葉を探しているの。
さようなら?おやすみなさい?さようなら?

→日没オレンジ


♪こんにちは こんにちは 月の宇宙へ
こんにちは こんにちは 地球を飛び出す
こんにちは こんにちは 世界の夢が
こんにちは こんにちは みどりの丘で
1970年の こんにちは
こんにちは こんにちは 握手をしよう

→おとぎの宇宙

よあけのばんは、大阪で世にも小さな音楽劇団として活動しています。どこかで公演を見ていただけたら嬉しいです。応援よろしくお願いします。