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3部作「宝物の樹」

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2019年9月14日、15日に行われた、展示&ライブイベント「まどぎわ」中島尚志展にて行われた公演の脚本のまとめです。3部作の3作目は、音源「泣き虫ウェザー」(当時、入場者特典だ… もっと読む
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宝物の樹 / 【(わたしが大切なソレの全てを埋めた)樹】(音源のみ有料)

宝物の樹 / 【(わたしが大切なソレの全てを埋めた)樹】(音源のみ有料)

演目【(わたしが大切なソレの全てを埋めた)樹】

この物語は、わたしの中の“僕”、彼の友人のN、朽ち果てた夢、祖父母、幽霊の少年、夕暮れの少女、かつての我々の全てへ贈る文芸による追悼です。

→おやすみなさい。

(「おやすみなさい。」これは眠りにつかせるための言葉です。
失ったものを安心させてやる、そして自らまでもが安堵を抱くための呪文なのです。)

あなたは自らの大切なものを思い出せますか。

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宝物の樹 / 【眠り姫】

宝物の樹 / 【眠り姫】

演目【眠り姫】

物語はおとぎ話でありサスペンスでした。

あるところに
オーロールという少年と
ジュールという少女がいました。

オーロールには太陽、
ジュールには月という意味がありました。

少年は太陽、少女は月だったのです。

少女は少年の想像する夜の中に在って、いつまでも眠り続けました。そして、少年もまた、少女の想像する朝の中に在って、いつまでも眠り続けました。

月が目覚めるのは太陽が眠

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宝物の樹 / 【宝物】

宝物の樹 / 【宝物】

演目【宝物】

プロローグI

あるところに、町に雨を降らせ続ける少年がいました。雨が止まないのは少年が雨そのものであり、少年は幽閉された幽霊で、夕景の町の少女が想ってくれていると、そんなおとぎ話を作り出しては、これこそが僕の現実世界だと信じこんでいたのです。

→雨の町、幽霊少年

プロローグII

あるところに、帰り道を彷徨い続ける少年がいました。少年は市場で美しく踊る少女を眺めてはずるいなと

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