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【さんぽカメラ①】思い出の美術館、煮卵の未練【大崎駅〜北品川駅】

『この電車は大崎止まりです。』

立ったままうつらうつらとしていたみたい。
なんだか細かな夢をたくさんみていた気がします。

慌ててリュックを背負って電車を降ります。
ホームの隙間から覗く空は青空。
小さな雲がぽつぽつと浮かぶ優しい春の空です。

品川まで行く電車は2、3分で来るでしょう。
ただ久しぶりの良い天気に少し歩きたい気分になりました。

夜勤明けの眠たい目を擦ってリュックからカメラを取り出します。

改札をくぐって、さあどっちに向かおうか。


駅前のおにぎり屋さんでおにぎりを買って、北品川駅方面へ歩きます。

この道は何度か歩いたことがあります。
まず目黒川を渡りその先に御殿山というエリアがあります。いわゆる高級住宅地です。

ここには原美術館という美術館がありました。
過去形なのは老朽化のため2021年に閉館してしまったからです。
神秘的な雰囲気があってとても好きな場所でした。

玄関の先にリー・キットの展示と木漏れ日が入る静謐な空間があって、一歩足を踏み入れればまたたく間に心が静まるような気になりました。

現代アートというものを初めて認識したのもこの美術館のソフィ・カルの個展がきっかけでした。

原美術館跡地

さて、さらに行くと緑が豊かな御殿山庭園に着きます。

小さな滝があって跳ね上がる飛沫が風に運ばれてきて涼しいです。

首に巻いたマフラーの裏にカメラを隠して飛沫から守りつつ風が止むのを待ってパシャリ。

庭園を抜けた先のベンチでさっき買ったおにぎりを食べます。

具は梅と高菜。素朴で定番。
夜勤明けの胃袋はグーグーいうけれどここで食べようと思ったとき、チーズ明太子だとか煮卵だとかはなんだか場違いな気がして選べませんでした。
ほんとは食べたかった半熟煮卵おにぎり。

お腹が満たされると眠気が襲ってきてぼーっと歩いてみればもう北品川。

各駅停車にゆられまた夢の中。


Camera:FUJIFILM X-Pro3
Lens:Voigtlander NOKTON 35mm F1.2

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