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プレゼントは夜

 昨日の夜、千葉に住んでいる友達とお酒を飲みました。私は次の日が休みで、その友達は仕事だったので、私が友達の家の最寄りまで行くことになりました。

 19時前の津田沼行きの総武線はスーツ姿のサラリーマンでごった返していて、私は車両の隅に追いやられ、ドアと背中に挟まれてひたすら同じを繰り返し聴いていました。

 そういえば、こんな時間に電車に乗って家から離れたところへ向かうのはとても久しぶりなのではないでしょうか。

 私は朝型です。ですが、消極的な朝型人間です。どういうことかというと、シフト制の仕事をしていて早いと7時出社なのに加え、夜勤があるからです。早番の日の前日は22時過ぎには布団に入るし、夜勤中の夜はもちろん働いていて夜勤明けの次の日は休み、そしてその次がまた早番だったりするので、夜勤明けの昼はちょっと仮眠するにとどめて夜も眠れるようにしています。

 そうしていると、どうしても夜は自由にする時間が少ないのです。それに、そんな生活をしているからか、休みの日に出かけていても18時くらいには家に帰らないとソワソワします。

 ギュウギュウ詰めの車内から見える窓の外の灯りは橙色をしています。誰かを待つ家の灯りです。車内のサラリーマンたちも、みな我が家へ帰るのでしょう。

 そんな中、私は家からどんどん遠ざかって知らない町へ行きます。今日はソワソワしません。

 私は自分の暮らしの中にあまり夜を持っていないのだなと思いました。特に今の時期は日も長く夜は短いですしね。

 だから今夜は特別なプレゼントをもらったみたいにワクワクしています。たまにはこうやって、皆が家へ帰る時間にどこかへ向かうのもいいなと思います。

 「プレゼントなんてねどっかで的外れ?」
 私に夜をプレゼントしてくれたのはいったいどこの誰でしょう。夜をうまく扱えない私に。そんな的外れなプレゼントでもちゃんとキャッチしたら、きっと楽しい。

 もしも私の暮らしに夜がたくさんあったら、いったいどんなことができるかな?

 そんなことをぼーっと考えているうちに、一人、また一人と電車を降りて、私もまた知らない夜の街に降り立ったのでした。

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