食日記09:緊急企画! 北陸新幹線開業SP「金沢でんまいもん食べてくまっし!」
2015年3月14日、
ついに新幹線が金沢までやってまいりました!
これ、地元民には「悲願達成」とも言えるほどの一大事。
50年ほど前に立ち上がった構想が何度も棚上げにされ、
その後たび重なる計画変更などもあり、
もう生きてる間には無理ないんじゃないか、
と正直何度も思いました。
しかしそれが本当に完成した。
これまでは新幹線と特急を乗り継いで約4時間。
「東京からもっとも遠い県の一つ」などという揶揄も生まれ、
「裏日本」とまで言われていた北陸、石川県。
それが2時間半を切る速さでつながったのです。
あ、申し遅れました。
今でこそ東京で本を作ったりしてはおりますが
ワタクシ生まれも育ちも石川・金沢でございまして。
もう毎日ニュースを見るのも楽しいくらいに
これでもかとテレビでは金沢の話題が出るし、
開業初日の今日は懐かしい故郷の映像もたくさん見られたし。
残念ながらしばらく乗る予定はないけれど(笑)
なにはともあれ北陸新幹線バンザイ、なのです。
このテンションを抑えることもできないので
ぼくらしく北陸新幹線開業を全力で祝う
テキストを書くことにしました。
どのへんが「らしい」かというと
もちろん食いしんぼ目線での金沢紹介、ってことです。
これしかないもんね、どう考えても。
それで早速参りましょう。
まず皆さんに知っていただきたいのがコレ。
よく太った甘エビと、身がブリンブリンで脂の乗った寒ブリ。
お次は
鮮やかな朱色が麗しい加能ガニ。
ぶっとい脚肉が甘うまのオスと
ミソと卵が呑兵衛にはたまんないメス
(メスのみ香箱とか紅箱と呼ばれる)。
3つ合わせて「北陸のAKB」であります!!
A(アマエビ)K(カニ)B(ブリ)でAKBです。
冗談みたいですが地元ではこうやって売り出そうと
本気でそう呼んでいる大人が多数いるとのこと。
正気ですか!? と思わずつっこみたくなります。
(笑)とかつけるのも悲しくなるセンスなのでスルーしますが
上記3品は帰郷すると必ず食いたくなる冬の味覚の代表選手。
こればっかりは築地の最上級のやつ食っても負けないですね。
鮮度とかが主な理由かもしんないけど。
そんなこんなでAKBはともかく
地元っ子が本気ですすめる金沢グルメ、お送りしたいと思います。
あ、タイトルの「んまいもん食べてくまっし」ですが
これは金沢あたりの言葉で
「うまいもの食べていくといいよ」ぐらいの意味。
しゃべり出しが「ん」になりがちなのが特徴です。
これ付けるだけで簡単に金沢テイストのトークになります。
あと最大のポイントは「まっし」の使い方。
まっし=なさいよ、が基本の用法ですが、
やや強めに○○しなさいよ、の場合は
「しまっしま!」となります。
最後の「ま」が命令に近いニュアンスを含んでいます。
金沢っ子ともしつき合ってたとして
ある朝「今日なに着よっかなぁ?」などと質問しようものなら
だいたいこう答えられるはずです。
「シマシマにしまっしま!」と。
標準語で「ボーダー着ればいいじゃん」と言っているのですが
金沢弁ではこうなるわけです。
早い話がダジャレなんですが
ほとんどの金沢っ子はなぜかこう答えます。
面白いのでやってみてください(笑)。
余談が長くなったのであわてて本題に参ります。
今回の名物の選択基準は個人的な趣味をベースに
「お酒に合う珍しい物」でいこうかと。
せっかくご覧いただいてるので
ガイドブックなんかにあんまり載ってない感じでいきます。
ようやく一品目。
こちら!
ふぐの一夜干し
他のお魚よりも明らかに筋肉質のフグは
軽く干してやると
その歯ごたえもさらにアップし
噛みしめるほどに淡白な旨味が
じゅばぁ~、っと口中にほとばしります。
サッと炙ってお酒のアテにすると最高です。
フグつながりで
ふぐこ。
この前ちょこっと乗せたんですが
フグの卵巣です。
たらこなんかより遥かに強いプチプチ感と
滋味あふれる魚卵のエッセンスが濃い一品。
肝に並びとんでもなく危険な量のフグ毒を含んでいる場所だそうですが
これを糠や塩で漬けることによって解毒して食うわけです。
なんで石川県の人がこんなに命がけでフグが好きなのかはナゾですが
とにかくいろんな手を尽くし
フグを食ってやろうとしているのは確か。
糠漬けといえばこんなのも。
こんかにしん
ニシンを糠と塩で漬けこんだもの。
炙ってもいいしこのままでもいいというアバウトなやつ(笑)。
サバの「へしこ」なんかと同じですが
石川県ではニシンがポピュラー。
脂の多いゆるいニシンの身がギッシギシに締まってるので
そのままスライスしてツマミにするのもいいし、
なんといってもお茶漬けの具にはもってこいです。
海の幸ラストは塩辛の裏日本SP(笑)
イカの黒作り
イカの塩辛にイカスミを一緒に入れ込んだやつ。
スミってこんなにうまかったのか、
としみじみ感動できる塩辛です。
ま、皆さんの想像通り
海の幸に恵まれた地域ならではの名物がいっぱいです。
最後は地のモノではないけれど
だいぶお酒も進んだことでしょうしシメの麺をば。
金沢の人がみんな食ってるラーメンがこれ。
イトメンのチャンポンめん
ご存じない方も多いかと思いますが
このインスタント麺、関西以西ではなかなかの人気麺。
不思議なことに関西よりもだいぶ東に位置する
石川県でも定番のインスタント麺として
サッポロ一番とかを超える扱いを受けています。
薄味というか
干しエビと干しシイタケのエキスが効いた塩ベースのスープが
肉に野菜に魚介、どんな食材とも合うと評判で
基本的には
タンメンのように野菜炒めをどっさりのせて食うのが金沢スタイル。
シンプルに男らしく
溶き卵+ラー油ってのも絶品。
イトメン社の広報部さんによると
「出汁の効いた薄味が金沢の繊細な食材に合うので人気なのでは」
だそうだ。
いくつかのテレビで「紹介されなそう」な
かなりシブめの金沢の味をお送りしてみました。
新幹線で食いに行くほどのものかよ!
みたいなツッコミは想定内ですが(笑)
どれも変わった体験につながると思いますので
この機会にお試しいただけましたら幸いでございます。
いい街ですよ、金沢。
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